農経しんぽう
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  農経しんぽう  
  令和7年8月18日発行 第3564号  
     
   
     
   
  農・食システム革新を/第10回APEC食料安全保障担当大臣会合  
     
   第10回APEC食料安全保障担当大臣会合が10日、韓国・仁川にて開催された。
 同会合では農業・食料システムにおけるイノベーションの推進等について議論が行われ、成果として、APEC食料安全保障担当大臣共同声明が採択された。日本からは小泉進次郎農林水産大臣が出席し、我が国におけるイノベーションを活用した農業の生産性向上と持続可能性の両立に関する取り組みを紹介するとともに、APEC域内の食料安全保障の強化に向けたより一層の協力を各国に呼びかけた。
 APEC食料安全保障担当大臣共同声明のポイントは次の通り。
 ▽環境問題や人口動態の変化に伴う食料生産基盤の弱体化の懸念等に対応するため、農業資源を効率的に活用し、持続可能な農業生産性の向上に貢献する政策を実施する▽イノベーションが新たな未来を切り開く鍵であることを認識し、先進的かつ実用的なデジタル技術を通して、サプライチェーンの安定化を図る▽国際基準に沿った科学的アプローチ及びリスク評価の重要性を認識し、食料危機に対する多様な対応を追求▽食料安全保障を達成し、持続可能な農業・食料システムを促進する上で重要となる農村再生の役割を踏まえた取り組みを推進▽食料安全保障の強化のための官民連携の重要性を再確認。
 一方、小泉農相は10、11の両日、韓国仁川で行われた日中韓農業大臣会合へ出席するとともに、韓国の宋美玲農林畜産食品部長官及び趙顕外交部長官との会談等を行った。会合では、食料安全保障に関する協力、動物疾病への対応、持続可能な農業、農村の活性化、世界農業遺産(GIAHS)に関する協力、国際協力について議論が行われた。小泉農相はこれらの議題について3カ国で協力する重要性について発言、会合の成果として、共同声明が採択された。
 共同声明では、▽不安定な国際穀物市場・気候変動がもたらす食料供給の脅威等を認識し、食料供給の動向や政策を定期的に共有し、危機時には必要に応じ共同対応を協議▽越境性動物疾病の蔓延に対抗し、畜産の持続的発展を目指すとの共通認識に基づき、既存の連携を強化するため、三国間の首席獣医官(CVO)会合を定期的に開催▽水田の水管理、低メタン飼料、太陽光発電の農業利用に関する先進的な政策を情報交換し、気候変動への対応能力を強化すること、また、スマート農業技術が高齢化や労働力不足の問題に対処する鍵であることを認識し、法制度を含む政策情報や優良事例の共有を含め、協力の機会を引き続き追求する―などで一致した。

 
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  NTT e―Drone Technology、ヤマハ発動機がみどり基盤確立実施計画認定/農林水産省  
     
   農林水産省は6日、みどりの食料システム法に基づく基盤確立事業実施計画を認定し公表した。今回計画が認定されたのは(株)NTT e―Drone Technology、ヤマハ発動機(株)の2件。これにより、累計94事業者の事業計画が認定された。また、同日、(株)オーレックの乗用草刈機ラビットモアーシリーズ7型式が「みどり投資促進税制」対象機械に認定された。それぞれの概要は次の通り。
 ▽NTT e―Drone Technology=営農支援システム(ザルビオ)を活用し、生育データに基づく肥料の可変散布が可能な自動飛行機能搭載の農業用ドローンを普及拡大し、化学肥料の使用低減に寄与するため、ドローンスクールでの使用方法の指導、購入後のアフターサービスや法定耐用年数内の部品供給を全国で実施。また、現地説明会の開催、各種展示会への出展を通じて販路の開拓を行う。
 ▽ヤマハ発動機=ヤマハ営農支援システム等を活用し、生育データに基づく肥料の可変散布が可能な自動飛行機能搭載の農業用無人ヘリコプターを普及拡大し、化学肥料の使用低減に寄与するため、導入が見込まれる大規模農家をモデルとした投資回収に関する評価・分析を行い、農業現場への訴求力を高める。また、全国の販売拠点や農機メーカーと連携し、各地で実演デモや実証試験を実施する。
 ▽オーレック=乗用草刈機ラビットモアーシリーズのRM983X、RM983Xターフタイヤ仕様、RM984X、RM983FX、RMT110、RMK151X、RMK180Xの7型式が、環境負荷の低減に資する製品として、「みどり投資促進税制」の対象機械として認定された。

 
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  斑点米カメムシ類で追加防除を支援/農林水産省  
     
   農林水産省は8日、米の需給及び価格の安定を図るため、主食用米を対象として、臨時的かつ特例的に斑点米カメムシ類に対する追加防除を支援すると発表した。今般の米価高騰を受け、米の安定供給に対して国民の関心が非常に高まっている状況において、渇水・高温といった本年産米の減産につながる要因がある中、斑点米カメムシ類の被害による水稲の品質低下等も懸念されることを背景としたもの。
 対象者は(1)市町村(2)農業共済組合(3)農業者が組織する団体(集落営農組織、大規模営農法人)等。次の要件を満たした地域一斉の追加防除に対し、必要な農薬の購入費やサービス事業体等に防除を依頼する際の委託費を支援する。
 ▽斑点米カメムシ類の注意報が発出されている都道府県▽都道府県が推奨する回数の防除を行った圃場に限る▽都道府県が追加防除に関する指導を行った地区に限る▽推奨防除後に都道府県等の防除水準を超える斑点米カメムシ類の生息が確認された圃場に限る▽1集落もしくは概ね20ヘクタール以上のまとまった面積への一斉防除▽収穫後に次期作に向けて斑点米カメムシ類低減のため、残渣のすきこみや畦畔の草刈り等の管理に取り組むこと。

 
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  電動ユニットを農業ロボの足回りに展開/スズキ  
     
   スズキ(株)次世代モビリティサービス事業部(静岡県浜松市中央区高塚町300)は、これまで約50年もの間培ってきた電動車いすの技術を応用し、電動車いすのノウハウを用いたベースユニット(電動モビリティベースユニット・電動台車)を農業、配送、土木建設補助など様々な用途で活用できるロボットの足回りとして展開することを想定している。
 その特徴は、(1)後輪左右独立モーター(2)前後左右にサスペンション(3)パワーステアリングの前輪操舵(4)防錆・防水・防塵対応(5)低重心で高い走行安定性(6)100キロ積載時に8度の登降坂可能―など。自動車品質の塗装など、自動車や電動車いす製造で培った防錆・防水・防塵機能を確保している。不整地や泥道など、農地のような路面状況でも高い走破性を発揮し、様々な場面で安心して利用できる。自動車を牽引できるパワーを有し、重い荷物の運搬も可能。
 操作方法はラジコンによる遠隔操作、リモコン式、自律走行などに対応している。
 用途として、運搬車の足、点検ロボットの足、配送ロボットの足、除雪ロボットの足、土木/建設ロボットの足、農業用ロボットの足などに使用されている。
 問い合わせは同社(suzukiemobility@hhq.suzuki.co.jp)まで。

 
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  大空間を霧で冷房/いけうち  
     
   (株)いけうち(大阪府大阪市西区阿波座1の15の15 第一協業ビル)が提供する大空間冷房システム「CLJ―Dome (クールジェッタードーム)」は、微細な霧を噴射する専用スプレーノズルを大型ファンに取り付け、ファンの風に乗せて広く拡散させることにより、霧の気化に伴う熱の吸収で空気を冷やすシステム。従来は冷房が困難だった大きな空間の場所でも効果を発揮する。
 同システムは、常時開口している建屋でも冷房が可能で、省エネ・低コスト、かつ排熱が少なく環境にも優しい。電源と水道があれば設置が可能だ。同社試算によれば、業務用エアコンを61台利用する空間体積1万5000立方メートルの大規模工場に同システムを導入した場合、消費電力およびCO2排出量が約87%カットでき、エネルギー消費効率は約8倍アップした。
 農業分野では、大規模選果場の建屋内に設置し、作物や出荷箱を濡らすことなくしっかりした冷房効果を上げている事例がある。

 
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  ラジコン式ハンマーナイフ草刈機「アイラボ」の操作性の良さ評価/オカネツ工業  
     
   オカネツ工業(株)(池上健太郎社長・岡山県岡山市東区九蟠1119の1)は、2024年5月にハンマーナイフ型ラジコン草刈機「AIRAVO(アイラボ)」を発売。1年間で販売台数が200台を突破するなど好調な売れ行きをみせ、草刈り作業の現場で話題をさらった。そんな中、同社はユーザーからの声を反映し、同機をマイナーチェンジした。
 改良点のひとつは、ガードフレームのデザインを一新したこと。これにより給油時とエアクリーナーのメンテナンス時の作業性が向上した。次にノブボルト採用により、工具なしでガードフレームの開閉ができるようにし、マフラーの排気方向を横方向に変更した。
 また、新たに傾斜計とアワーメーターを取り付けた。これらにより、作業限界(最大作業角度は全方位30度)を一目で確認でき、作業時間の目安確認が可能となった。その他の改良点は以下の4点。
 (1)転輪とガイドの形状を変更=これにより草の連れ回りを低減。ゼロターン(その場旋回)機能により作業効率化を実現し、狭所での作業もできる。
 (2)刈取り部にソリを追加=地面へのダメージを低減。刈高さ調節は0〜180ミリ、刈幅は700ミリ。
 (3)リコイルカバーの追加=リコイルへの草の入り込みを低減。メンテナンス性が向上した。
 (4)吊りフックを追加=既存の吊りフックと併用することで、4点吊りをより安全にした。
 一般の刈払機と異なり、アイラボはハンマーナイフで雑草を刈り取り、叩き砕く。そのため刈った草はチップ状になり集草が楽で、土にも還元されやすい。果樹園、スキー場、河川敷、太陽光パネルの下などといった場所での刈り取り作業にアイラボは活用されており、今後のさらなる普及拡大に期待は大きい。

 
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  中型トラクタ向けスタブルカルチを日本向けに開発/ビコンジャパン  
     
   (株)ビコンジャパン(古田森社長・北海道千歳市上長都1121の2)は、マスキオ社が日本の要望に応えて開発した国産中型トラクタ向けスタブルカルチベーターTML200/250の取り扱いを開始している。
 5本タインの2・0メートルのTML200と6本タインの2・5メートルのTML250の2型式をラインアップした。独自形状のタインが踏圧の進んだ土壌下層をその場で反転させる。
 TMLシリーズは、軽量+コンパクトボディーで国産60馬力クラスのトラクタから使用が可能。標準装備のウィングシェアは耕起+ミキシング作業に、ウィングを外すことで簡易サブソイラーとしても使用できる。
 470ミリの広幅ウィングシェアは前後でオーバーラップし、全面を耕起する。作業後の耕盤は平らになり、その後のハローの姿勢も安定。シェアポイントはタングステンコーティングされており、耐久性に優れている。上部のねじりのついたディフレクターは、表層の緑肥や残渣と土塊を混和。理想的な混和状態を生み、有機物の腐食促進につながる。土中の障害物から本機を守るシアボルトを装備している。作業深は8センチから最大25センチ。ピンとシムで細かく正確にローラー位置を調整できる。また、ウィングのみ外すことが可能で、簡易サブソイラーとしても使用できる。
 素早い刺さり込みと優れた反転性能が特徴。土壌条件やトラクタ馬力に合わせ、タイン角度を強と弱の2種類から選び、セットできる。標準装備のサイドディフレクターは、土塊が外へ飛び出すのを防止し、綺麗な仕上がりを実現。移動時はアームをスライドさせ、コンパクトな移動幅に収まる。
 【仕様諸元】
 〔TML200〕
 ▽作業幅=2・0メートル▽タイン数=5▽重量=824キロ▽必要PTO馬力=45キロワット/60馬力〜
 〔TML250〕
 ▽作業幅=2・5メートル▽タイン数=6▽重量=890キロ▽必要PTO馬力=57キロワット/75馬力〜
 (重量は標準装備ケージローラー装着時)

 
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  高機能穀物搬送ベルトをモデルチェンジ/ホクエツ  
     
   (株)ホクエツ(浅野智行社長・新潟県燕市物流センター2の29)は、新製品の穀物搬送ベルトコンベアのプロ仕様「アルコネプロ」ACPシリーズ4・5〜9・9メートルの4型式と8年ぶりのモデルチェンジとなるフレコン計量タンク「フレコンスケール」FK―105、FK―105H、FKK―105、FJ―105の4型式をPRしている。いずれも農業現場の声を取り入れ、従来品をさらにブラッシュアップし、高機能、高耐久、さらなる省力化を実現した。
 穀物搬送用ベルトコンベア「アルコネプロ」ACPシリーズは、乾燥機が大型化する中、従来品のアルコンコネクトの搬送能力を上回るものがほしいといった要望を受け開発。その特徴は、(1)ベルト搬送のため穀物を傷めず残粒ゼロを実現(2)搬送能力は最大20トン/時。従来品同様、ワンモーターで最大9・9メートルまで搬送可能(3)アルミフレームで軽量のため設置が楽で、2人の作業者で設置が可能―など。
 新型フレコンスケールは、プロ農家の負担が増え、大容量タンクが選ばれる傾向が強まっていることから大幅なモデルチェンジを8年ぶりに行い、より使いやすい機能を盛り込んだ。主な特徴は、(1)タンク内満杯時には昇降機排出部先端センサーにより満了ブザーでお知らせ(FJ、FKKは除く)(2)タンクの側板に、点検・清掃の際に便利な簡単に取外しできる「点検口」を採用―など。
 型式はキャスター付きで、タンク容量750キロのFK―105、タンク容量2100キロのFK―105H、タンク容量3880キロで受注生産の強力型FKK―105、所有する玄米タンクにセットできるFJ―105の4タイプを用意している。

 
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  物流関係で特別賞/クボタ  
     
   (株)クボタ(北尾裕一社長)は、公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が実施する「第42回ロジスティクス大賞」で、ロジスティクス大賞社会性特別賞を受けた。
 同賞はロジスティクスで優れた実績をあげた企業・団体を表彰するもので、同協会が5日に発表。大賞には一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会と(株)traevoの「共同輸送データベースの普及によるフィジカルインターネットの実現に向けて」、準大賞は(株)ミスミグループ本社の「機械部品業界のサプライチェーン在庫可視化によるロジスティクス最適化」、技術革新特別賞は花王(株)の「デジタルデータ・先端技術を活用した完全自動化倉庫実現によるドライバー・作業員不足への対応」が選ばれた。
 クボタは、「複数民間企業連携による東京港オフピーク輸送トライアルプロジェクト」が評価された。同社が主導した同トライアルは、民間企業同士の連携により、輸送時間帯の平準化とドライバー負荷の軽減を実現する先駆的な取り組み。東京港の混雑を回避する夜間輸送や午前中搬出入へのシフトにより、待機時間の短縮・輸送効率の向上・温室効果ガス排出量の削減など、複数の効果を実証した。特に、荷主企業と物流企業の連携による制度・業務・意識面を含む多角的なアプローチは単なる実証に留まらず、持続可能な運用の実装可能性を見据えた枠組みとなっており、今後の継続実施や対象企業の拡大によって、社会的課題の解決に資するモデルとしての展開が期待される―と高く評価されている。

 
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  スチールリスト社とパートナーシップ契約/ヤンマー建機  
     
   ヤンマー建機(株)(工藤龍社長・福岡県筑後市大字熊野1717の1)はこのほど、スウェーデンに本社を置く油圧ショベル用チルトローテータ、クイックカプラおよびワークツール(アタッチメント)の世界的なメーカーであるスチールリスト社(CEO=Stefan Stockhaus、本社=スウェーデン・ローゼンバーグ)と日本国内におけるパートナーシップ契約を交わした。
 このパートナーシップは、双方の強みを活かして強固な関係を築き、日本国内市場で、高品質の販売及びアフターセールス活動を推進することを目的としている。
 チルトローテータは、交換可能な複数のワークツールを持ち、左右最大45度の傾きと360度回転を可能にするアタッチメント。
 カプラ機能で、バケット交換をオペレータが乗ったままワンタッチで行え、建設現場でのワークツールの使い分けを可能にする。
 稼働部が増え、法面成型や掘削・埋め戻しなどの作業に柔軟性が生まれ、現場の生産性に劇的な変化をもたらす。
 スチールリスト社は、2005年にスウェーデンで設立され、最初はストックホルム北部のガレージにショップを構えた。それ以来、小さな新興企業から今日の世界的リーダーへと成長し、過去20年間にわたり世界中の何千もの顧客に製品を提供してきた。
 同社が設立当初から重点を置いているのは、油圧ショベルの効率を高めるチルトローテータ、クイックカプラ、ワークツールの開発、製造、販売である。

 
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  山形農機ショー会場から新製品発表を配信/山本製作所  
     
   (株)山本製作所(山本丈実代表取締役・本社=山形県天童市、東根事業所=山形県東根市大字東根甲5800の1)は、8月28〜30日に山形県山形市の山形ビッグウイングで開催される、「第100回山形農業まつり農機ショー」で、新製品を発表する。
 新製品発表に伴い同社は、農機ショーの同社ブースよりYouTubeで、新製品発表会を生配信する。
 本社所在地の山形県で開催される「山形農業まつり」は、今年で開催100回目を迎える。記念すべき大会にふさわしい特別な新製品について、同会場から生配信で情報を届ける。
 同社はこれまでYouTubeチャンネルやインスタグラムを活用し、面白くてタメになるライスセンター情報を随時発信している。新製品発表を農業まつり会場から生配信するのは初めてのこと。史上最速で新製品を大公開する。
 <新製品発表会生配信概要>
 ▽開催日=8月29日(金)▽時間=14時〜(約40分間)▽参加費用=無料▽視聴方法=(1)公式LINEを登録(2)登録後、配信されるYouTubeのURLから視聴する。
 配信では公式LINEから質問を受け付けており、現場から生回答する(配信中に回答できなかった質問は、後日、個別に答える)。
 詳しくは、同社ホームページまで。

 
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  農機用伝動ベルト復調/三ツ星ベルト・2026年3月期第1四半期連結決算  
     
   三ツ星ベルト(株)(池田浩社長・兵庫県神戸市長田区浜添通4の1の21)は8日、2026年3月期第1四半期の連結決算を発表した。それによると、売上高は223億2400万円(前年同期比0・5%減)、営業利益は23億9500万円(同50・5%増)、経常利益は26億6000万円(同14・7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は20億6500万円(同53・5%減)だった。
 セグメント別でみると、国内ベルト事業の売上高は73億1900万円(前年同期比5・6%増)、セグメント利益は18億6100万円(同16・4%減)だった。
 国内ベルトの自動車部品分野では売上高が増加した。産業機械分野も売上高が増加した。伝動ベルトの販売は農業機械、射出成形機、ロボット向けの需要復調により増加した。また、樹脂コンベヤベルトの販売も物流倉庫や食品工場向けに順調に推移した。
 海外ベルト事業の売上高は118億7200万円(前年同期比2・5%減)、セグメント利益は9億400万円(同97・8%増)だった。
 海外ベルトの産業機械分野では農用市場における新製品の投入や新規顧客の獲得が奏功した。

 
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  売上高1008億円、国内20%増/井関農機・2025年12月第2四半期決算  
     
   井関農機(株)(冨安司郎社長)は8日、オンラインで会見し2025年12月期第2四半期(中間期)決算短信を発表した。それによると、売上高は、前年同期比97億3400万円増加し、1008億6800万円(前年同期比10・7%増加)、うち国内は同109億7600万円増加の658億4000万円(同20・0%増加)、海外は同12億4200万円減少の350億2700万円(同3・4%減少)となった。利益面では営業利益は同21億4600万円増加の43億5600万円(同97・1%増加)、経常利益は同13億2200万円増加の37億9200万円(同53・6%増加)となり、大幅な増収増益となった。冨安社長は「手応えのある業績を出すことができた。浮かれることなくプロジェクトZを完遂させることで、次の100年の礎をしっかり作ってまいりたい」と述べた。
 会見には冨安社長が出席した。
 冨安社長は、国内が第1四半期に続いて大幅な増収になったことについて、(1)米価上昇による農家の購買意欲の高まりが続いたこと(2)この7月から価格改定を行い、改定前に駆け込み需要が生じた(3)収支構造改革の柱とする作業機、部品、修理収入が堅調に増加(4)施設工事で大型物件の完工があったと指摘する一方、海外が12億円の減収になったことについては、(1)欧州は為替影響で減少も、フランス堅調(2)イギリスPTC社(プレミアムターフケア社)連結化効果で現地通貨ベースでは続伸(3)北米は市場の弱含み継続により減収(4)アジアでは韓国、インドネシアで増収となった(5)海外売上高比率は34・7%、とした。
 また、米国の関税影響については、2025年の通期影響は「軽微」との見方を示し、OEM先のAGCO社が負うことになっており、「当社の費用計上などはない。通関済みの現地流通在庫が相応にあり、影響は限定的」としつつ、26年以降は「需要動向は不透明であるが、販売量が減少する可能性があり、中長期的には、アメリカにおける現地調達、あるいは現地組立ても検討したい」と述べた。
 通期の連結業績予想は、前回予想(2025年5月15日公表)から売上高、利益とも上方修正し、売上高は1755億円(前回1705億円)、営業利益35億円(同26億円)、経常利益26億円(同18億円)、親会社株主に帰属する当期純利益18億円(同13億円)とした。売上高は連結化後の過去最高売上げ。なお、為替平均レートは1米ドル=143・0円、1ユーロ=165・0円。
 プロジェクトZの進捗は、抜本的構造改革、すなわち生産拠点の再編や販売会社の統合など、主要施策については概ね計画通りに進んでいる。在庫圧縮については国内の売上げ増加により計画を上回る成果を上げている。一方で、開発の最適化による製品利益率の改善、および経費削減に一部遅れが見られるが、2025年はこの2項目についての計画通り利益の発現は果たしていける見込み。
 さらに27年の目標達成に向けて、その修正を図るべくリソースの集中等を図っていく。
 成長戦略においては、海外では欧州の連結子会社間、フランス、ドイツ、イギリス、この3者間の連携を強化し、シナジーの創出を図り始めている。国内では、新たに欧州でブランドを確立している乗用の草刈機を軸とした草刈り事業の本格展開を国内で開始し、成長分野の取り組みを着実に進めている。
 商品別の売上げ状況は次の通り。
 〔国内〕
 整地用機械(トラクタ、耕うん機など)は146億7500万円(同18・9%増加)、
 栽培用機械(田植機、野菜移植機)は56億9000万円(同28・5%増加)、収穫調製用機械(コンバインなど)は73億9500万円(同66・4%増加)、作業機・補修用部品・修理収入は255億8800万円(同17・5%増加)、その他農業関連(施設工事など)は124億9000万円(同5・2%増加)となった。
 〔海外〕
 整地用機械(トラクタ、草刈機など)は252億9700万円(同6・3%増加)、栽培用機械(田植機など)は9億8700万円(前年同期比4・8%増加)、収穫調製用機械(コンバインなど)は4億7300万円(同156・2%増加)、作業機・補修用部品・修理収入は37億6800万円(同5・5%減少)、その他農業関連は45億円(同38・8%減少)となった。

 
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  超耕速の機能PR/ササキコーポレーション  
     
   (株)ササキコーポレーション(佐々木一仁社長・青森県十和田市里ノ沢1の259)は、高い作業精度を維持しつつ作業の迅速化を図り、大規模営農に様々なメリットをもたらす「超耕速シリーズ」の普及浸透に力を入れている。米の収穫作業が終える秋以降は、各地で実演・試乗会を積極的に推進し、その機能を実際に農家に体感してもらい、同シリーズの優位性を理解した上での納得導入を広げていく方針だ。
 作業のスピードアップは、作業時間の短縮、作業回数の減少、燃費低減、余剰時間の他の作業への振り分けなど、生産農家に様々な利点を付与する。超耕速シリーズには、2014年に発表した「マックスハローエース」を皮切りに一貫してその思想が盛り込まれ、その後、アクティブロータリ、畦塗機「カドヌールエース」を加えた超耕速トリオをラインアップ。各機種ともにユーザーの体感を基とした営業対策でファンを増やしてきた。
 また、農機の流通・整備を預かる販売店、JAでは、代かきハロー、ロータリ、畦塗機のいずれも更新需要が主体となるため、更新を促す、買う気を刺激する説得材料には貪欲で、超耕速シリーズの持ち味は、営業マンにとっても時代を捉えるセールスポイントと受け止められた。
 各地で実施される体感会、実演会は、農家ユーザー、農機流通業者の双方、そして同社にとって三方良しをもたらす作業機イベントと位置づけられる。
 シリーズの最新機種「アクティブロータリ」では、新しく(1)作業幅2メートルのACE205RLをラインに加え、ほかに(2)同2・2メートルの同225RL(3)同2・4メートルの同245RLでシリーズを構成。それぞれの適応トラクタ馬力は(1)=45〜75PS(2)=55〜80PS(3)=60〜80PSで、従来シリーズの作業幅1・9メートルモデルと比べ、(1)は上限を75PSにまで広げた。
 機能については、特許取得済みのCK爪の性能をより大きく発揮する新オーバーラップ配列の採用で馬力ロスを低減し、粘土質などの過酷な条件下でも安定した高速作業が行える。作業速度を上げても砕土性能の低下が少なく、最高速度5・5キロ/時で作業効率を大幅に向上。
 これらの特徴がもたらす作業時間の短縮により、人手不足の解消、燃費低減はもとより、水田・畑作・野菜作などの各作業が錯綜する中でも余裕をもって進められるようになり、高能率化と生産性向上が図られる。

 
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  岩手農機展でレーザー均平機などPR/スガノ農機  
     
   スガノ農機(株)(渡邊信夫社長・茨城県稲敷郡美浦村間野天神台300)は、21〜23日に開かれる岩手県全国農業機械展示実演会に出展、大型機・作業機のコーナーで各種製品の機能、特徴をアピールする。出展機種は次の通り。
 ▽本体制御直装レーザーレベラーL20A3AL(作業幅2メートル)▽浅耕リバーシブルプラウR126AACP2(12インチ×6連)▽ミックスロータリG25ADQ1(作業幅2・44メートル/スパイラルローラー)▽ケンブリッジローラA24ACG(作業幅2・4メートル)▽油圧オフセットロータータイプ溝掘機D35CBP2▽スイング機構付きリバーシブルプラウR204CQB(20インチ×4連)▽油圧折りたたみスタブルカルチC3812ETP(12本爪/スパイクローラー)▽折りたたみフレームバーチカルハローV40CQ2(作業幅4メートル/スパイラルローラー)▽バーチカルハローV30CQ2(作業幅3メートル/スパイラルローラー)
 このほか、参考出品として、コンビネーションドリルシーダーシステムを紹介する。ドリルシーダーは10キロ/時程度での高速作業が可能で、施肥機と組み合わせての同時施肥も可能となる。

 
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  売上収益は291億円/バンドー化学・2026年3月期第1四半期連結決算  
     
   バンドー化学(株)(植野富夫社長・兵庫県神戸市中央区港島南町4の6の6)は8日、2026年3月期第1四半期の連結決算を発表した。
 それによると、売上収益は290億9200万円(前年同期比0・9%減)、コア営業利益は20億1800万円(同3・0%増)、営業利益は38億1800万円(同66・6%増)、税引前四半期利益は36億3600万円(同27・3%増)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は26億5200万円(同37・2%増)だった。
 自動車部品事業の売上収益は146億2600万円(前年同期比2・1%減)、セグメント利益は原価低減活動などにより11億7800万円(同4・2%増)だった。
 産業資材事業の売上収益は94億9500万円(前年同期比1・7%減)、セグメント利益は製品構成の変化などにより7億600万円(同5・3%増)となった。
 同事業の国内は一般産業用伝動ベルトについて、産業機械用伝動ベルトの販売が減少した。海外は欧米で産業機械用伝動ベルトの販売が増加、中国では農業機械用伝動ベルトの販売が増加した。アジアは農業機械用伝動ベルトの販売が減少した。運搬ベルトは国内で樹脂コンベヤベルト(サンライン〈登録商標〉ベルト)の販売が増加した。

 
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  物流総合展に出展、各種搬送ベルト展示/バンドー化学  
     
   バンドー化学(株)は、9月10〜12日に東京ビッグサイトで開催される「国際物流総合展2025 INNOVATION EXPO 4th」に出展する。
 同社のブースでは主に以下の製品を出展する。(1)水平搬送向け搬送ベルト(2)傾斜搬送向け搬送ベルト(高グリップ特性)「ミスタークライマー(登録商標)」(3)急停止・急加速するインダクション搬送向け搬送ベルト(耐摩耗特性)(4)横から合流するライン(横滑り特性)(5)シュートライン(滑り特性)―など。
 物流現場では水平ラインだけでなく、傾斜ラインや急停止・急加速するインダクションライン、合流ライン、シュートラインなど、用途によって搬送ベルトには様々な特性が求められる。しかし、搬送ベルトの選定を始めるとその種類は多く、「どれを選べば最適か分からない」「比較しにくい」といった課題に直面する。同社は「そんな悩みがある方へぜひご紹介したい、厳選した新ラインアップをわかりやすく展示いたします」と参観を呼びかける。
 【展示会開催概要】 ▽会期=9月10〜12日▽時間=午前10時〜午後5時▽会場=東京ビッグサイト(東京国際展示場)東4〜8ホール
 ▽展示ブース場所=東8ホール8―05

 
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  売上げ5.7%増の912億円/やまびこ・2025年12月期第2四半期決算  
     
   (株)やまびこ(久保浩社長・東京都青梅市末広町1の7の2)は8日、2025年12月期第2四半期(中間期)の業績を公表した。それによると、売上高は前年中間期比5・7%増の912億8800万円、営業利益は同3・1%増の117億4300万円、経常利益は同14・9%減の107億8600万円となった。チェンソーや刈払機、防除機などの小型屋外作業機械は、国内は同4・3%増の77億2100万円、水田管理作業に使う防除機などの農業用管理機械の国内は同7・7%増の96億6300万円と、国内の農機は順調推移となった。
 売上高は国内、海外ともに伸長し、北米はホームセンター向けを中心に伸び、欧州市場でも新型ロボット芝刈機や小型屋外作業機械が好調で、海外売上高は同6・4%増の682億円となった。国内は米価格上昇を背景に農業従事者の購買意欲回復が継続、同3・4%増の230億円となった。
 他方、海外の一般産業用機械は、米国市場での関税政策に伴う先行き不透明感から現地レンタル会社の買い控えが生じ、主力の発電機を中心に販売が減少した。
 損益については、営業利益は販管費が増加したものの、生産台数増加により生産効率が改善、同3・1%増となった。一方、経常利益は米ドルが円高基調で推移したことから為替差損となり、同14・9%減。この結果、親会社株主に帰属する中間純利益は同25・3%減の75億800万円となった。
 連結業績予想については、「関税率などの不透明な部分もあるが、現時点で分かっている米国の関税政策に対しては価格対応や経費の追加削減により影響を最小限にしていく」とし、5月13日公表の業績予想から変更はない。

 
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  寄付型コーポレートPPA実施/やまびこ  
     
   (株)やまびこ(久保浩社長・東京都青梅市)は、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環として、同社広島事業所(広島県山県郡北広島町)に太陽光発電設備を導入し、5月よりコーポレートPPA(自家発電サポートサービス)を開始している。
 このほど、従来のコーポレートPPAにSDGsの達成に向けた活動を推進する公益法人やNPO法人への寄付を組み込んだ寄付型コーポレートPPAサービスを実施した。
 取り組みの1つとして、広島事業所建屋屋上に自家消費型太陽光発電設備(出力:1469キロワット)を設置し、発電した再生エネルギー由来の電力を事業所にて使用する寄付型のコーポレートPPAを開始した。
 これにより、年間約625・0トン―CO2(初年度見込み)の二酸化炭素を削減する。
 今回実施したサービスは、従来のコーポレートPPA契約に、SDGsの達成に向けた活動を推進する公益法人やNPO法人への寄付を組み込んだ取り組みとなっている。
 同社は、東京都内の森林保全、里山保全活動に継続して取り組むほか、地域社会と連携し、様々な自然環境保全活動を推進している。今回の寄付型コーポレートPPAでは、同サービスの提供事業者である東京センチュリー(株)(東京都千代田区)による、認定NPO法人環境リレーションズ研究所(Present Tree in Tokyo)への寄付を通じて、東京都檜原村への植樹を行い、東京に美しい里山を再生し、人と自然との共存を維持する取り組みにつなげていく。
 同社は、「今後もやまびこグループは、再生可能エネルギーのさらなる利活用やSDGs達成に向けた活動を行う団体への寄付などにより、エネルギーの脱炭素だけでなく、より主体的な環境保護への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献していく」としている。

 
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  電動式高所作業機が電動化促進事業の対象に/やまびこ  
     
   (株)やまびこ(久保浩社長・東京都青梅市)の共立電動高所作業機「KCEB250/R」は、二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(運輸部門の脱炭素化に向けた先進的システム社会実装促進事業のうち、農業機械の電動化促進事業)の対象モデルとして選ばれた(既報)。事業実施は公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会(JATAFF)が行うもので、7月15日から募集が始まっている。詳細はJATAFFのHP内(https://www.jataff.or.jp/project/dendo-nouki/index.html)で確認できる。
 対象モデルである共立電動高所作業機「KCEB250/R」は、共立高所作業機初の電動モデル。高さは最大で2・5メートル、スイング角度60度。モーター駆動のため、走行クラッチを入れる必要がなく、軽快でスムーズな操作感で走行させることが可能。エンジン振動、排気ガス、騒音がなく、快適にクリーンに作業できる環境配慮型製品となっている。
 一度の充電で通常の果樹園作業においては、約2日間の使用が可能。また、充電は同機にバッテリーを搭載したまま行え、機体からバッテリーと充電器を取り外し、持ち帰っての充電も可能。取り外したバッテリーはキャリーケースのように引いて楽に移動できる。
 ブームの昇降と旋回はジョイスティックによる手元の操作で行え、軽快でスムーズな操作感を実現。
 走行と同機の旋回操作を1本に集約した操向レバーで、直感的な操作が可能。デッドマン式を採用し、手を離すとブレーキがかかり停止する。
 走行速度はボリュームにより0〜1・7キロ/時の範囲で調整でき、エンジンでは出せない滑らかな超微速を実現。
 傾斜センサーを装備し、同機が5度(全方位感知)傾くと警報を発し、転倒の危険度が高まっていることを知らせる。
 希望小売価格は税込み197万100円。

 
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  有機農業の拡大へ/土づくり推進フォーラム  
     
   土づくり推進フォーラム(松本聰会長、事務局:一般財団法人日本土壌協会)は7日、都内千代田区の日比谷図書文化館大ホールならびにWebにて、土づくり推進フォーラム講演会を開催した。今回のテーマは「有機農業推進のための土づくりの現状と将来展望」で、これには全国から会場・Web合計で260名以上が参加した。
 開会の挨拶をした松本会長は、国が進めるみどりの食料システム戦略で「耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大」を目標に掲げているものの、実際の面積は1%未満となっており、有機農業がなぜ定着しないのかが難しい課題となっていると指摘。今回はその点について技術的な講演をしてもらうので、積極的な意見交換をしてほしいと呼びかけた。
 講演会では(1)有機農業推進のための土づくり(島根大学生物資源科学部客員教授・金子信博氏)(2)秋まき小麦の有機栽培における安定生産技術(北海道立総合研究機構中央農業試験場主査・小谷野茂和氏)(3)土壌診断に基づいた土壌生物を活かす土づくり(安芸の山里農園はなあふ代表・森昭暢氏(土壌医))(4)ラズベリーの有機栽培に向けた土づくり(秋田県東京事務所あきた売込み課・加藤はなゑ氏(土壌医))―の4講演ならびに総合討論が行われた。
 そのうち金子氏は、有機農業推進のため、耕うんによる管理から不耕起による管理を提案。不耕起により植物根を保全し、土壌生物多様性を向上させるもので、FAOも(1)物理的な土壌攪乱を最小限に(2)カバークロップ活用し地表面を有機物で保護(3)輪作・混作など栽培システムの多様化―を原則とする「保全農法」を提唱しているとした。世界ではローラークリンパーでカバークロップを押し倒し、そのまま不耕起播種機で播種する不耕起有機栽培の技術革新が進んでおり、米国農業では同栽培の普及により燃料消費がこの40年で4割減少したという。有機農産物は健康に良い効果があるとした調査結果なども示し、不耕起・省耕起の有機農業及び有機農産物の重要性を訴えた。

 
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  シートベルト装着義務トラクタ識別ステッカーを制定/日農工  
     
   一般社団法人日本農業工業会(増田長盛会長)はこのほど、シートベルト装着が義務付けられた農耕トラクタを識別するためのステッカーを日農工規格として制定した。令和9(2027)年1月1日以降に製造されるトラクタに適用する。
 国土交通省が6月17日に改正した道路運送車両の保安基準等により、令和9年以降に製造されるトラクタはシートベルト装備が義務付けられることとなった。それに伴い、同トラクタで公道を走行する場合は道路交通法に基づき、シートベルト着用が義務付けられる。
 これを踏まえて、日農工では、9年より前に製造されたトラクタ(ベルト着用が義務付けられない)と、9年以降に製造されたトラクタ(ベルト着用義務)を外観で識別できるようにするため、公道走行分科会で検討を行い、識別用のステッカーに関する日農工規格を7月31日付で制定した。
 ステッカーのデザインは、ISO7000―1702に規定されたシンボルと「座席ベルト着用義務車」の文字を組み合わせたものとし、横型または縦型のいずれかを選択して使用。ステッカーの地色は白色とし、枠線、シンボル及び文字の色は黒色とする。ステッカーの面積及び形状は、面積は3000平方ミリメートル以上、縦横比は横型は約0・25、縦型は約1・2を目安とする。
 また、貼付位置はボンネットの左右の側面に1枚ずつ貼付するものとする。ただし、ボンネットのいずれかの側面にコーナーポストマフラー、燃料給油台等が配置されていることにより同側面の貼付が困難な場合は、同側面の反対側に1枚のみを貼付できる。
 同規格は令和18年12月31日をもって効力を失うものとするが、19年以降もなおステッカーの貼付が必要と判断する場合には、有効期間を延長できるものとしている。

 
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  改善の評価不十分/農協の事業評価調査  
     
   農林水産省は8日、「令和6年度食料・農林水産業・農山漁村に関する意識・意向調査における農業協同組合の経済事業に関する意識・意向調査結果」を取りまとめて公表した。調査対象は農産物販売金額があり、認定農業者または認定新規就農者のいる個人または団体の農業経営体。
 それによると、農協の約8割が生産コスト縮減・農業者の所得向上に向け事業改善に取り組んでいるものの、農業者の評価は、「どちらともいえない」と「肯定的に評価していない」で6割近くとなっており、これを踏まえて同省は、多くの農協が経済事業の改善の取り組みを行っているが、農業者の肯定的な評価を十分に得るには至らず、引き続き、資材価格の高騰抑制・引下げ及び販売単価向上のための取り組みの実施が重要としている。
 調査結果の概要をみると、農協の「正組合員」が96・1%を占め、農業機械の主な購入先は、「農業機械メーカーの販売会社」37・3%、「農協」30・7%、「農機具販売店」25・5%だった。肥料・農薬の主な購入先は「農協」が74・2%、「肥料商等の小売店」12・0%、「農業資材専門店、大型量販店」6・6%となった。農畜産物の主な出荷先は「農協」が63・5%、「集出荷業者・卸売業者」が14・6%、「直接取引」が6・5%だった。
 農協への評価については、生産コスト低減に向けた事業の改善の取り組みを行っているかは、「行っている」が78・2%、「行っていない」が9・1%、「わからない」が11・7%だった。「行っている」と回答した人の評価の内訳については、「肯定的に評価」21・8%、「どちらともいえない」33・7%、「肯定的に評価していない」22・7%となっており、農業資材の国際価格高騰や円安の進行と相まって、取り組みを行っているものの、肯定的な評価を得ることが難しいことが伺えるとしている。
 農協の生産資材購買事業に期待することについては、「価格高騰の抑制や引下げ」が78・8%と最も高く、次いで「新商品情報の提供、使用方法等の相談機能の充実」29・8%、「品揃えの充実」27・5%、「土壌分析結果や農産物販売先のニーズに応じた施肥・農薬使用提案等」25・0%などとなった。
 また、農協は農業者の所得向上に向けた事業の改善の取り組みを行っているかは、「行っている」75・9%、「行っていない」9・0%であった。
「行っている」とした者の評価内訳については、「肯定的に評価している」が24・7%、「どちらともいえない」が32・1%、「肯定的には評価していない」が19・1%。一方、農協は生産コストの上昇を販売価格に転嫁できるような取り組みを行っているかは、「行っている」58・7%、「行っていない」17・2%、「わからない」22・0%だった。「行っている」回答者の評価内訳は「十分な成果が上がっている」6・6%、「どちらともいえない」28・8%、「上がっていない」23・3%となっており、いずれも肯定的に評価してもらうことの難しさが伺える。
 農協の農産物販売事業に期待することについては、「価格交渉力の強化」が59・2%と最も高く、次いで「販売手数料の低減」41・0%、「直接販売をはじめとした販路の拡大」35・0%、「営農指導との連携強化」34・3%などとなっており、農協の価格交渉力の強化の取り組みへの期待が大きい。
 農協は生産資材購買事業や農産物販売事業の改善に向けた取り組みに、組合員の声を反映していると感じているかについては、「反映していると感じている」と回答した割合が13・4%、「感じていない」が50・2%となっており、組合員の声を取り組みに反映するための徹底した話し合いが必要であることが伺える。

 
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  変わる病害虫に対応/ゴルフ場防除技術研究所が研究会開催  
     
   ゴルフ場防除技術研究会(小林由幸会長・神奈川県相模原市淵野辺本町2の16の24)は6日、東京都千代田区のホテルグランドアーク半蔵門で「2025年度・第2回研究会」を開催。会員など約140人が参加して行われた。
 会の冒頭小林会長は、「酷暑の中、多くの方にご参加いただきありがとうございます。今回144名が参加され、過去最高の参加人数になった。本日の講演では、我々が業界に入った時とは全く違う発生症状になっている病害虫について、気候変動を含めて今後どうやって見極め、防除を効率的にやっていくかを学んでいく。また、スズメノカタビラに対する秋季土壌処理剤の2回使用の実証により、常に変化するカタビラの状況、生態を改めて認識し、どうやって対応していくかを共有していきたい。本日は懇親会も開催するので、皆さんと情報交換できればと思う」と挨拶した。
 情報交換会では、会員各社が(1)2025年度・上半期の概況と今年の見通し(2)各地域における業界の現状と変化(3)昨秋から今春の雑草・病害虫防除の実態と問題点(4)暖地型芝草等の生育不良による請負防除への影響(5)市場動向(請負・販売)の変化について―などの発表を行った。
 各会員からは「実績については微増であるが、資材、燃料価格の高騰によるもの。プレー価格は値上げしているが、コース管理予算には反映されていない。最近は猛暑によりプレーする人が減っており、厳しい状況だ。コース管理作業を外注するゴルフ場が増えているが、請負う側も人員不足で対応できずに断っている状況。人材確保が課題となっている」など、厳しい現場の状況が伝えられた。
 その後、(株)ニチノー緑化の大西一弘氏が「芝草害虫の生態とフェロモントラップを活用した防除対策」、丸和バイオケミカル(株)の三浦豊氏が「気候変動に対する除草剤使用の新たな取り組み〜スズメノカタビラに対する周期土壌処理剤2回使用の試み〜」について講演した。

 
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  林業労働災害の撲滅へ、全国6カ所で研修/林野庁・令和7年度事業  
     
   林野庁は、令和7年度も「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策」の一環として「林業労働災害撲滅研修事業」を展開し、特に林業技能1級相当及び2級相当の技能者を対象として、体系的に安全なチェンソー伐木技術のポイント教習を進めていく。林業現場で災害、事故が発生しやすい伐木作業での安全性向上を図るため、技能を有する林業作業員を中心に労働安全に関する学び直しと伐木作業のあり方の研修を主な研修内容とする。とりわけチェンソーを扱う林業従事者の技量・技能アップとともに、意識改革を進めるのを狙いとしている。7年度は、既に7月実施の和歌山県、京都府、8月に北海道で開催済みだが、この先、岩手、山形、福岡の3県で順次開催し、労働安全衛生に対する全体のレベルの底上げを図っていく。
 林野庁は現在、林業の職場を安全で快適なものにすることを目指し、厚生労働省や各都道府県及び林業関係団体等と連携、林業における労働安全衛生対策の徹底を図り、労働災害の防止に向けた取り組みを推進している。
 特に、「現場技能者キャリアアップ対策」をはじめとして、「林業労働安全強化対策」、「林業労働力強化対策」や「林業・木材産業循環成長対策のうち林業の多様な担い手育成」などを展開し、技能・技量の向上や現場の意識改革に取り組んでいる。
 現在、フォレストバリュー(株)と(株)森林環境リアライズの2社を事業実施主体として進められているのが、ベテラン林業作業員を中心に林業労働安全に資する訓練装置を使用した効率的な学び直しと、新しい指導方法を習得する研修を主な内容とする「林業労働災害撲滅研修事業」だ。
 この「林業労働災害撲滅研修事業」では、特にチェンソーでの伐木作業等において経験豊富なベテラン作業員での事故が目立つことに着目し、林業経験年数が25年超かつ50歳代の林業技能者を対象に実施。特に「林業職種」での技能検定制度がスタートしたことを受けて、研修の実技講習レベルを林業技能検定1級及び2級相当として実施し、一定レベルの安全なチェンソーの伐木技術の普及啓発を図る。
 併せて研修参加者が所属する林業事業体の経営者層に研修の一部に参加してもらい、経営体全体の安全意識の高揚を図って、林業労働災害の撲滅を推進する。
 7年度は、7月の和歌山県、京都府に続き8月に北海道で研修を開催。この後、残りの岩手、山形、福岡の3カ所で次の日程で林業労働災害撲滅研修を開き、現場で働くベテラン層の技能向上と意識改革を進めていく。
 【岩手県】9月2日・岩手県青少年会館フラップいわて多目的ホール(盛岡市みたけ)、同3日・盛岡広域森林組合旧南部事業所(紫波町東長岡字天王)
 【山形】10月2日・東北農林専門職大学附属農林大学校緑風館講堂(新庄市大字角沢)、同3日・同校スマート森林業研究・研修センター
 【福岡】11月25日・久留米市シティプラザ中会議室(予定)、11月26日・福岡県緑化センター駐車場(同)

 
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  22日に審判講習会/JLC鳥取実行委員会  
     
   10月18、19日に鳥取県で行われる「第4回日本伐木チャンピオンシップin鳥取(JLC)」の開催に向け、同大会の実行委員会は着々と準備を進めており、8月22日には鳥取県森連湖山土場を会場に審判講習会を実施する。県内の審判員を養成する一環で、経験豊富な青森県の審判団や全森連の協力を得ながら、約60人の審判員誕生を見込んでいる。
 また、9月14日には本番を想定した最後の審判講習会としてプレ大会を行う計画で、併せて同13、14日は伐木競技に取り組む県内外の農林業高校、林業大学校の学生を対象とするアカデミー・ジュニアクラス伐木競技交流会を開催する予定。
 今回のJLCは、来年3月にスロベニアで開かれる世界伐木チャンピオンシップ(WLC)の日本代表選手の選考会を兼ねており、選考会としては西日本初の開催となる。
 それだけに地元関係者は熱い思いを持ちつつ運営に意欲をみせており、抽選で選ばれ参戦する全国80人の選手(県内からは5人が参加)が、日頃鍛錬した技を存分に発揮できるよう、万全の体制づくりに余念がない。
 各イベントの問い合わせ先は同実行委員会事務局(鳥取県林業担い手育成財団)。TEL0857・28・0123。

 
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  地域内エコシステム・茅野市など6地域支援/日本森林技術協会  
     
   一般社団法人日本森林技術協会(小島孝文理事長)はこのほど、令和7年度の林野庁補助事業である「『地域内エコシステム』展開支援事業(実施計画策定支援)」の対象地域として次の6地域を選定した。
 令和7年度事業の実施対象地域として選出されたのは、新規採択となる長野県茅野市をはじめ、過年度採択地域である山形県鶴岡市、山梨県北杜市(一般社団法人ゼロエミやまなし)、長野県小布施市、岐阜県下呂市、長崎県平戸市。
 地域内エコシステムとは、集落や市町村レベルで小規模な木質バイオマスエネルギーの熱利用または熱電併給によって、森林資源を地域内で持続的に循環させる仕組み。
 同事業では、地域での森林資源を持続的に活用し、エネルギーの地産地消によって、地域の活性化や地域関係者への利益還元を目指す取り組みを進める。チップや薪などの木質バイオマスを燃料種として地域内での熱利用もしくは熱電併給のあり方を確立させる。同協会では、これまでの取り組みに関する報告書などの情報をホームページ上で発信、普及・啓発にも力を入れている。

 
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  建機工の需要予測:出荷は2兆8457億円/躍進2025林業機械(30)  
     
   一般社団法人日本建設機械工業会(山本明会長=コベルコ建機(株)社長)は6日、東京都港区の建機工会議室で会長記者会見を開き、2025年8月公表分の建設機械需要予測を発表した。毎年度8月と2月に公表しているもので、今回が68回目。調査対象期間は25年度上下期と26年度上下期の4期。今年7月時点で、建機工正会員である建設機械メーカー60社を対象とした調査から、全体では売上高で2年連続の減少と予測されている現在の状況と今後の予測などをみた。
 調査の対象機種は、トラクタ、油圧ショベル、ミニショベル、建設用クレーン、道路機械、コンクリート機械、基礎機械、油圧ブレーカ・油圧圧砕機、その他建設機械の計9機種。
 発表によると、25年度は国内、輸出ともに減少し、25年度通年の出荷金額は2兆8488億円(前年度比3%減)となり、全体では2年連続の減少と予測される。26年度については、回復する機種があるものの小幅回復に留まり、26年度通年の出荷金額は、2兆8457億円(前年度比±0%)と予測される。
 〈国内〉
 25年度は、金利上昇を見込んだ設備投資意欲低下等により、主力機種である油圧ショベル、ミニショベル、トラクタ等が減少すると予測。上期は、建設用クレーンが前年同期比4%増加、道路機械が同5%増加と2機種が増加するものの、他7機種が減少し、4166億円(前年同期比6%減)と見込まれる。下期は、上期に引き続き、2機種が増加するものの、他7機種が減少となり、4605億円(前年同期比3%減)と予測される。
 この結果、25年度通年では、8771億円(前年度比4%減)となり、2年連続で減少すると予測される。2月に公表した時の予測と比較して529億円下方修正となった。
 26年度は、安定した公共投資等に支えられ、横ばいで推移すると予測。
26年度通年では、8813億円(前年度比±0%)となると予測される。
 〈輸出〉
 25年度は、北米、欧州等での金利高の影響が続き、減少すると予測。
 上期は、ミニショベルが前年同期比6%減少するなど基礎機械を除く8機種で減少し、9838億円(前年同期比4%減)と見込まれる。
 下期は、主力機種である油圧ショベルが前年同期比2%減少する等7機種で減少し、9879億円(前年同期比2%減)と予測される。
 この結果、25年度通年では、1兆9717億円(前年度比3%減)となり、2年連続で減少すると予測される。今年2月公表時の予測と比較し、697億円下方修正。
 26年度は、金利水準も落ち着きミニショベル、トラクタ等が増加に転じ、横ばいで推移すると予測。上期は、4機種が増加となり、9813億円(前年同期比±0%)と予測。下期も、4機種が増加となり、9831億円(前年同期比±0%)と予測。この結果、26年度通年では、1兆9644億円(前年度比±0%)となると予測される。
 会見ではこの他、世界建設機械連合(GACE)による脱炭素化に向けた共同声明についての解説もあった。
 会見終了後、建機工は経済産業省に「カーボンニュートラル実現に向けた要望(2025年版)」を提出した。

 
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  第78回岩手県全国農機展示会/8月21〜23日、滝沢市ツガワ未来館アピオで  
     
   岩手県農業機械協会主催による第78回岩手県全国農業機械実演展示会が21〜23の3日間、滝沢市の岩手産業文化センター「ツガワ未来館アピオ」で開かれる。今年のテーマは、昨年同様に「チャレンジ農業で新時代を拓く希望郷いわて」で、最新のトラクタ、田植機、コンバインのほか、需要が旺盛な草刈機、管理機、作業機、ドローンなど多様な農業機械の実演、展示が行われる。岩手県農機市場は、米価の上昇により、昨年の秋ごろから好調に推移。農家の購買意欲が高まっている。岩手展の特色ともいえる最新の大型機械をはじめ、スマート農機から、中小規模農家向けの各種資機材まで、幅広い出展、実演でアピールし、秋の商戦に弾みをつける。
 岩手県の農業産出額は、令和5年は、過去20年間で最高額となる2975億円で、全国第9位となった。内訳は、耕種部門が1000億円(33・6%)、畜産部門が1975億円(66・4%)。耕種部門では、米が527億円(17・7%)で全国第10位、畜産部門では、鶏が1073億円(36・1%)で全国第2位、豚が388億円(13・0%)で全国第7位。
 令和2年の総農家数は5万2688戸となり、平成12年の9万2438戸と比べ、約43%減少。特に、主業農家数は、平成12年の1万4311戸から、6734戸と約53%減少している。64歳未満の基幹的従事者数は、平成12年の3万7891人から令和2年には1万1674人と、約69%減少。平均年齢は、平成17年の66・7歳から、令和2年には69・0歳と、2・3歳上昇している。
 一方、販売額3000万円以上の経営体の占める割合は、平成12年の12%から、令和2年には41%と、29ポイント増加している。令和2年の農業法人数は703法人となり、平成17年の350法人と比べ、倍増している。
 県はこのほど、令和10年度までの、「いわて農業生産強化ビジョン」を策定した(7面に記事)。それによると、農業経営体の見通しは、総農家数は、令和2年度の5万2688戸から、令和17年度に2万8200戸まで減少する一方で、農業法人数は、令和2年度の840から、令和17年度には910法人に増加することが予想される。
 県では、多様な働き手を確保し、スマート農業技術の活用や新品種の開発等により、農業の生産性を一層向上させていくことが必要だとしている。こうした課題解決に、革新的農業機械の活躍が期待されている。

 
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  更なる省力化、所得向上を図る/岩手県特集  
     
   米価格の上昇で、”経験したことがない追い風”と称する人がいるほどの活況に湧く岩手県農機市場。これまで買い控えていた中小規模の農家が更新に動くなど、購買マインドの高まりがうかがえる。半面、稲作は高温、水不足、カメムシなど不確定要素を抱え、楽観できない状況もある。更なる省力化、農家所得の向上をサポートする県内農機業界の動きをみる。
 
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  市場と各社の動き:個別実演で需要開拓/岩手県特集  
     
   (株)みちのくクボタ(荻野伸充社長)では田植機が好調だった。その要因としては、「米価格の上昇で、担い手層ではない、これまで更新を控えていた小・中規模農家の更新につながった」(石田善孝取締役専務執行役員アグリ事業本部長)とみる。トラクタはスマート化が進展していることから大型化、高性能化し、金額ベースでは伸びている。
 7月から10%の値上げを行ったが、駆け込み需要は若干程度に留まっている。ただ、「これまで地道な推進を続けてきても首を縦に振らなかった農家が、最近ではあちらの方から、この機械はいくらするんだ、と聞いてくるような状況になっている」と、購買マインドの高まりは感じている。
 当面の課題は、メーカーの在庫不足。「秋ものの乾燥・調製機関係が、メーカーの在庫がない状態なので、それへの対応をどうしたら良いか」と苦心している。「モノがなければ売れないので、7月、8月は、乾燥機メーカーさんにお願いして、きちんと点検・整備を実施し、そこから来年に向けての見込み推進を図っていく必要がある」と対策を考えている。
 コンバイン、田植機に関してはここ数年来、リース事業を推進しており、徐々に浸透してきている。「メンテナンス料も含めれば、担い手農家さんなどは安心して利用できるのではないか」とメリットを強調。「値引き抑制の意味もあってリース提案を進めている」。 秋商戦に向けては、「機械はいつでもあるという時代ではないということを農家さんにきちんとアナウンスしていき、我々も、1シーズン早めの提案に努める」。そのためには、早めの受注に結びつける提案力が試されることになる。
 スマート農機については、大規模農家、野菜農家などに年々普及してきており、KSASと連動のスマート農機を一層推進していく。
 荻野社長は「米価の上昇で市場は盛り上がっているので、その商機をつかんで着実に業績につなげていきたい。また、整備事業は、まだやれることがあると思うので、大きな収益源の主力事業として進めていきたい」と今後の方針を語った。
 ヤンマーアグリジャパン(株)北東北営業部岩手ブロックの機械の動きは「いいですね」と福原勝エリアマネージャー。「去年稲刈りが終わった秋から雰囲気が良くなってきた」との感触を得ている。「米の値段が良かったことと、4月の価格改定の前倒しの受注の相乗効果が大きかった」と分析する。
 機種別では、特にトラクタが好調で、直進アシスト付きの需要が高まっている。コンバインについては「いつも通りの感じだが、大型の動きがいい。5〜6条刈の話が多くあるので、今後、詰めていきたい」。また、草刈り関連の実演にも力を入れ、販売につなげていく。輸入機のミノスについては「すごく売りやすい商品」だと言い、ディスクティラー、ディスクロータリなど人気だ。
 営業方針については、「イベントよりは、やはり足で稼ぐという、基本の行動をしっかりやっていきたい」とし、個別実演に力を入れていく。「カタログだけではなく、やっぱり実際に見てもらって、納得した上で、自分の経営に合ってるかどうかを確認してもらうことが大事」だとし、「お客様の課題もそれぞれ違う。それぞれ1人ひとりのその課題を聞き出すことで、次につながっていく」と、顧客へのきめ細かい対応を重視する。
 福原マネージャーは、今年4月、津軽ブロックから転勤となった。岩手全国展に関して「津軽の農家も、大型機械が見られるのは岩手展だということで訪れていた」そう。「今年は、ヤンマー岩手ブロックとしてもっとこの全国展を活用しようという方向で動いている」と、期待している。
 (株)ISEKI Japan東北カンパニー岩手営業部では、米価の影響もあって主要機種は2ケタ台の伸びをみせる。
 高橋武・常務理事岩手営業部長によると、トラクタはBFが昨年発表されて好評を得ている。
 BFトラクタは「実演の効果もあるし、フロントマスクのスタイルの評判も良く、若い人向けともいえる。一番は、ギア変速がショックがなく、自動車と同じ感覚で発進や停止ができる点が評価されているのではないか」と自信をにじませる。
 田植機は8条植えがメーンで、6条植えも伸びている。大型化傾向に加えザルビオ対応や自動直進などが8条タイプは揃っていることで7条植えからシフトしている。
 コンバインは、「いつもは上期は出ないが、大型モデルのジャパンが好調だった」という。
 「米価の上昇が追い風になっているが、やはり歩かなければ販売につながらない。セールスがよく頑張ってくれた」とまず、スタッフの労をねぎらった。
 「足で稼ぐ」が基本姿勢だが、「ベテランは良いが、中堅より下の代になってくると、訪問するための販売ツールが必要になってくる」とし、CHCNAV(自動操舵システム)、アイガモロボ、EGO製品(電動機器)、ザルビオ、資材などを商材として、顧客訪問の機会を増やしている。
 アイガモロボについては、「岩手でも台数は結構出ている」との感触を得ている。全国的にも今年の予定数量は終了しており、来年に向けて推進を継続している。
 草刈り関係ではオフセットモアが徐々に増えており、リモコン草刈機も実演しながら台数を増やしていく。さらに「岩手はスパイダーモアが強い県で、いまだに台数が落ちない。それだけ草刈りの需要があるということ」と、草刈機の市場性に言及した。
 全国農機展ではCHCNAV、ドローン、直進田植機の実演に注力。今回は実演圃場のスペースを倍に増やして臨む。
 三菱農機販売(株)東北支社北東北支店(吉田司支店長)は、青森、岩手の部門が統合し今年4月からスタートした。吉田支店長は基本的には青森・十和田支店に常駐する。
 岩手管内の状況は、1月、2月は米価高騰を受け、米調製機関係、トラクタなど、3月以降は7月からの価格改定を控えての田植機、トラクタの前倒し需要などで好調に推移している。「その中でもトラクタは計画台数をキープ、乗用田植機は計画、前年とも上回るペースで推移している」と吉田支店長。トラクタは36〜55馬力の中型クラスが中心。田植機は6条植え、8条植えが中心で、2段ペースト施肥田植機の割合が高い。「青森と比較にならないくらい台数が出ている」と驚くほどで、水沢、江刺地区を中心に導入が進み全体の半数がペースト機となっているという。
 「KUSANAGI」については、適応馬力の制約があり、もうワンサイズ大きい物という要望から新型のKUSANAGI plus HDH2022が発表された。「当社のGVシリーズの105馬力まで対応できるので、畑作地帯など新たなエリア、顧客層への進出を狙う」と気合が入る。自身は、「30年間、三沢など青森の畑作エリアで仕事をやってきた。その経験をもとにKUSANAGI plusの実演の手伝いもしたい」と意気込みを示した。
 岩手農蚕(株)(松田和秀社長)の状況は、「販売、アフター整備とも昨年より良い」と松田社長。とくに整備に関しては「昨年は過去最高だったが、今年はそれを更新した」という状況。加えて、肥料、農薬など資材関係も好調だという。県内ではカメムシの注意報が昨年以上に発令される状態で、農薬が足りない状況になっている。同社では、「ゴールデンウィーク前あたりから、何かまずいなという感じがあって、早めに手当できたので、ほかよりは販売できたと思う」と、早めの仕入れが功を奏した。会社全体の業績としては、資材関係が引っ張った格好だ。
 機械関係では、草刈り関連機器が好調で、乗用モアや刈払機が良く動いた。スピードスプレヤーは、岩手産のリンゴの価格が上がったことなどから伸びた。今年、青森県が雪の被害で収穫量が落ちた影響で岩手産の需要が高まったという。催芽機や溝切機が伸びたのも今年の特徴的な動きだ。また、カメムシの影響で、色彩選別機のニーズが高まっている。
 農機、資材を農家に安定供給するため、日々奮闘している。
 鈴木農機(株)(鈴木雅斗社長)の動向は「主要機をはじめ作業機など小物も含め動きは良かった」と鈴木社長。「昨年あたりから、展示会でも前向きなお話をいただくことが多くなった」との感触で、米価上昇の影響が大きかったと感じている。
 機種別ではトラクタも田植機も好調。コンバインも、いつもより早い段階から注文が入っているという。トラクタは50馬力クラスが中心だが、今年は25馬力前後の小型がかなり出たのは特徴的な動き。米価の影響で「小規模な農家にも購入意欲が出てきたということではないか」とみる。田植機も、「これまで4条か8条かといった感じがあったが、今年は中間層の6条が増えている」と例年にない動き。
 このほか、乾燥機も伸び、また色彩選別機もここ1、2年は安定的なニーズがある。色選については「以前は法人向けが多かったが最近はそれほど大きくない個人層にも導入が進んでいる」。高温障害やカメムシなどの影響が現れている。
 草刈り関係ではスライドモア、自走式に加え、ラジコン草刈機も伸びてきている。
 全体的に前年を上回る
実績で推移しているものの、鈴木社長は「価格の上昇で米がクローズアップされて農業全体の景気が良いように思われがちだが、野菜や畜産などは厳しい状況もあるので、その辺も良くなってくれなければ」と気を引き締める。
 今後の方針については「7月から当社の上期に入ったが、米の値段が良い状況に頼らずに、地道に、コツコツと実演を中心に、お客様に機械を体感してもらう機会を増やしていけば、良い結果につながる」と、地道な営業を強調する。
 阿部農機(株)(阿部洋司社長)における最近の農機の動きは、「弊社の販売エリアは畑作主体の地域が多く、水稲主体のエリアに比べて昨年からの米価高騰の恩恵は少ないように思う」(阿部社長)としながらも「そのような中でも、水稲の規模の大きな農家を中心に購買意欲は高まっている」との感触を得ている。
 主要機は、4月からのヤンマー製品価格改定前の駆け込み需要もあり、特にコンバインと田植機は前年以上の実績となっている。コンバインは共同購入コンバインタイプを中心に4条以上が好調。田植機については6条以上が好調で、直進アシスト機能、除草剤散布機、箱施用剤散布機、苗箱供給機の装着率が高かった。トラクタは前年並みで、40〜50馬力クラスが好調。直進アシスト機能、自動操舵システムを装着しての購入が増えている。
 最近好調だった機種は、「昨年末から乾燥機、播種機、催芽機は動きがいい」。今年に入ってからは、フレコン計量器、草関連でスライドモア、ハンマーモアの動きがいいという。
 秋商戦に向けては「高温の影響で稲刈りが早まるように予想される」とし、コンバイン、乾燥機についてはできる限り商談、推進を前倒しして進めていく。「メーカー在庫が品切れの型式が多数ある。今シーズンに納品が間に合わないケースも予想されるので、そのような場合は来シーズンの予約受注を確実に取るようにする」と対策を練る。
 (株)山一本店(田中和彦社長)では、「トラクタが売れている」と田中社長。売っているのはベテランのサービスマンだという。「修理するサービスマンから『そろそろ無理ですよ』と言われると考える。そういう技術がある、売ろうとしない、お客様の立場になってアドバイスできるサービスマンの出番がきた」と言う。草刈機など小物を売るのはセールスマンで「そういう住み分けができつつある。これがあるべき姿ではないか」と考えている。「経営者がセールスマンに過剰なノルマを課して良しとする時代ではない」と。
 最近は「地域の人すべてがお客様だ」と考えているという。「地域の誰もが、草は伸びるし雪は降るし、という中で生活している」。土曜日には非農業の顧客が多く来店する。「仙台に住んでいて手伝いができないので」と、父の日のプレゼントとして草刈機を購入していった人がいた。
 「この仕事は本当に楽しいし、地域に根ざした良い仕事だ」と自負する。地域に密着した個人店ならではの強味を活かし、地域とともに歩む。

 
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  全農いわての取り組み:6年度実績は24億4300万円/岩手県特集  
     
   JA全農いわての令和6年度実績は、24億4300万円、前年対比105・6%となった。及川将司農業機械課長は、「米価上昇の影響もいくらかあり、色彩選別機、籾すり機など秋物調製機やコンバインが前年より回復した」と要因を分析する。共同購入コンバインも令和6年度計画を上回り、取り組み初年度から計画を達成した。またその影響に併せて、機械の長持ち志向から修理整備などが多くなり、部品実績も好調だった。
 7年度の方針は、低コスト化支援に向けた共同購入コンバインやJAいわてグループ推奨型式(畦畔草刈機)の販売に加え、スマート農機やラジコン草刈機などを中心とした省力化機械の普及拡大に取り組んでいく。
 今年6月末時点での農機実績は、メーカー価格改定の影響などもあり、コンバインや畦畔草刈機関係、部品の実績は好調。
 また、6月20、21日にJA江刺本店特設会場で開催した2025JAいわてグループ農業機械フェアの実績は、1710人を動員、目標計画6億を上回る11億4300万円(計画比191%)と盛況であった。
 今後の見通しについては、「昨年度の米価の影響により購買意欲はいくらか高まっていると感じるので、共同購入コンバインを中心に各社と連携したメーカー別重点型式の推進を強化しつつ、収穫後の格納点検を基幹整備センターで実施しながら、整備・部品分野においても実績の確保を図りたい」と、意欲的だ。
 共同購入コンバイン(YH448AEJU)の7年度計画は15台で、「夏の展示会後にも順調に契約に結びついている」と順調な滑り出しをみせている。
 全農いわてでは、「生産振興ならびに生産コスト低減に向けた取り組みの強化」を掲げ、共同購入機やJAいわてグループ推奨型式等の取り組み継続と中古農機の推進強化、基幹整備センターを中心とした修理・整備体制の拡充によりコスト低減を進めていく。
 また、ザルビオを活用した可変施肥対応の機械の実演も強化していく。

 
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  農家ルポ:地元農機店と信頼つなぐ/岩手県特集  
     
   岩手県北上市で水稲作を営む小原康史氏(39歳)を訪ね、取り組みを聞いた(取材には、鈴木農機(株)取締役サービス営業部長・統括支店長・盛岡支店長の古澤護氏に同行していただいた)。
 小原氏の経営は水稲40ヘクタールの米専作。うち13ヘクタールは飼料用米。主食用は「ひとめぼれ」、飼料用米は「たわわっこ」を作付ける。昨年までは大型農業法人の(株)西部開発農産と連携しながら大豆、麦を作付けていたが、今年から畑作は同法人に委託して、水稲1本に切り替えた。「75歳の父親の友人や近所の方に手伝ってもらってやっていたが、高齢化の壁を感じ、10年、20年先を考えた時、現状でできることをやらないとと思った。何でもかんでもやったところで収入にならない。昨年から父から私に経営移譲したので、思い切って転換した」。
 就農したのは平成22年4月から。東京の大学に通い、自動車の部品メーカーに就職した。次男ではあるが、農業は嫌いではなかったし、子供の頃からよく手伝っていた。長男の兄も継ぐ気はなかったようなので、やるなら早い方がよいと思い、自主的に戻ってきた。
 昨年4月から、花巻農協青年部委員長、地元の横川目4区農家組合長を務める。地域の中心的担い手だ。水稲の専業農家となると他に若手はいない。地域農家の信頼も得ている。
 労働力としては、本人と叔父(父の弟)、3歳上のフリーランスのスタッフ、父の友人など、多いときで5人ほどに手伝ってもらっている。常時働いているのは自分と叔父だが、最近、叔父も出られないことが多くなってきている。実質1人で40ヘクタールを賄っているという、非常に厳しい状況だ。
 機械装備はトラクタは72馬力1台、65馬力2台、46馬力1台、マッセイファーガソンの65馬力1台、30馬力3台、26馬力1台の計9台、コンバインは6条刈1台、4条刈3台、田植機は8条植えが2台、乾燥機は50石が3台、色彩選別機、籾すり機など、稲作用に一式揃っている。草刈機はウイングモアを数台保有している。
 鈴木農機とのきっかけは1台のコンバイン。その年、台風などで天候が悪く、稲が倒伏。当時コンバインは2台しかなく1台が故障してしまった。どうしても収穫が間に合わないという状態になり、いろいろなところに問い合わせた中で、鈴木農機の石鳥谷支店にたどり着き、中古のGC451が購入できたおかげで、その年を何とか乗り切った。以降、10年来の付き合いとなり、72馬力のトラクタはじめ、乾燥機2台、コンバイン4台、色彩選別機、籾すり機など多くの機械を鈴木農機から購入している。
 古澤護取締役サービス営業部長統括支店長は「籾の排出ラインの整備を提案させていただいて、それがうまくいったことで信頼していただけたのではないか」と振り返る。当時小原氏は、籾の排出に苦労していて、それをスムーズにできるよう、搬送機による排出ラインを構築した。「あれが失敗していたら今はなかったかも」と古澤氏は笑う。
 小原氏は、「今、農機販売店も、技術屋さんは技術屋さん、セールスはセールスで住み分けが進んでいる。古澤さんは、どちらも経験している昔気質の方で、臨機応変にいろいろ相談に乗っていただきながら、現場での効率的な生産にアドバイスをいただいている。うちとしては、寄り添っていただいて助けていただいているからこそ、少ない労働力で40ヘクタールをこなせていると正直思う。様々な提案や情報提供をいただいて、毎年毎年、生産方式の改善が進んでいる。困ったら古澤さんに電話します」と、絶大な信頼を寄せている。古澤氏自身も水稲、繁殖牛などを営む農家であり、自身の経験なども提案営業に活かしている。取材中も、小原氏と農法や農薬の効き目など農業談議に花を咲かせていた。「こうした雑談の中からヒントをもらうんです」と小原氏は嬉しそうに話してくれた。
 小原氏が就農した当時の経営面積は20ヘクタールほどだったが、それから15年で倍になった。自作地は5ヘクタール。「急激に面積が増えてきてやりきれなくなってきている部分もあるので、水持ちが悪いなど管理しづらい農地については、西部さんにお願いしようと思っている。逆に、ここはやらせてほしいなどの農地交換の話を進めている」という。地域の大規模法人とうまく連携をとりながら経営の効率化を図っているのも、小原氏の経営の特徴の1つといえる。
 「畑作をやるには、それ用の機械や専従の労働力がないとできない。それよりも、水稲に集中して収量をあげていく方が現実的だというのも見えてきた」。「小さい子供が3人(6、4、0歳)いて、子育ても大切だし、無理して倒れるわけにもいかないので」と気を張る。
 米の価格上昇など最近の米をめぐる情勢については「一概には喜べない。米バブルのようなものは必ず収束するし、収入は上がっても資材費などは上がり続けているので先行きは見えない」と、浮足立ってはいない。地域では離農も顕著だ。しかし、「なくならない産業だとは思うので、大規模と小規模の住み分けが進んでいく。小さな農家はどんどんなくなっていくだろうし、今は、生き残りをかけた大きな転換期だ」と、今後の経営に思いを巡らす。
 スマート農業に関しては「乗り手が自分だけなら良いが、高齢の方が使う場合、逆にスマート農業って何?と混乱してしまうと思うので、状況を見ながら判断していきたい。情報は常に仕入れながら、自分に合ったものを選択していきたい」と、慎重な構えをみせる。
 地域の若き担い手として期待されているものの、経営面積は、「今がギリギリか、過剰気味」だと思っており、今はこれ以上請け負えない。しかし、何年か後には頼むと言われている農地もあり、そうした地域の要望に応えられるように、作業体系をどうするかを模索している。
 今後の展望について聞くと「楽しくやりたい。自分が辛そうに農業をしている姿を子供たちに見せたくない」と話す。「先輩方が、定年退職したら、自分のところを手伝ってくれるとも言ってくれている。1人で頑張るつもりではなく、地域を巻き込んで楽しくやりたいし、この生まれ育ってきた景観を守っていきたい」と、地元への愛と責任感をにじませた。
 取材が終わろうとする頃、長女の沙織ちゃん(6歳)と長男の遙太くん(4歳)が帰宅した。沙織ちゃんは将来、「先生になりたい」。遙太くんは「トラクタに乗りたい」と元気に答えた。故郷の変わらない風景を、親から子に引き継いでいきたいと誰しもが願う。

 
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  見どころ満載!岩手全国展/岩手農機展特集  
     
   今年も岩手県全国農業機械実演展示会が21〜23の3日間、滝沢市の岩手産業文化センター「ツガワ未来館アピオ」で開かれる。第78回を迎える今年のテーマは、昨年同様に「チャレンジ農業で新時代を拓く希望郷いわて」。「これからの低コスト生産のために、あなたの経営を応援します」と謳い、全国各メーカー、ディーラーの機械を一堂に展示する。
 主催は岩手農業機械協会。後援は全農岩手県本部、岩手県農業機械商業協同組合、岩手日報社、IBC岩手放送、テレビ岩手、めんこいテレビ、岩手朝日テレビ、エフエム岩手。
 展示会の内容は、まず、「総合農業機械展」は付属展示場で実施。大型農業機械展と協賛農業機械展があり、最新の農業機械や資材プラントなどの展示が行われる。大型農業機械展では、近年の集約化・大規模化の進展に対応した国内外の大型トラクタや、高速作業などで人気が高まっている輸入作業機などが注目される。
 新製品デモ実演会(第一屋外展示場)、圃場実演会(第二屋外展示場)では、最新のトラクタ、管理機、作業機、話題のドローンなどの実演が展開される。実際の作業速度や精度などをまじかに見ることができ、出展企業としても、最も力を入れているコーナーである。
 農作業安全コーナーでは、農作業安全資材などの展示や農作業安全相談会などが行われる。
 畜産研究所参観デーは、岩手県農業研究センター畜産研究所が、畜産研究成果を展示する。
 中古農業機械抽選会は21日(木)9時30分投票開始、11時30分開票・抽選が実施される。展示即売会は、21日の抽選会終了後(11時45分頃)から23日15時まで第一屋外展示場で行われる。いずれも参加・購入できる生産者等は、岩手県農業機械協会加盟販売店及び県内JAから購入を希望する生産者等。
 同時開催の岩手県主催によるスマート農業技術交流会は22日10時から、アピオ会議場2階特別会議室で、「ロボット技術による省人化」をテーマに開催される。
 今回の新たな取り組みはふたつ。ひとつは、農研機構東北農業研究センターが参加し、スマート農業をはじめとする最新の研究成果をパネルなどで紹介する。もう一つは、滝沢市物産観光協会の協力を得て、「滝沢スイカ」などの物産販売コーナーを設ける。
 昨年、新たに導入し好評だった「スタンプラリー・ガラポン抽選会」は、今年もさらに充実した内容で実施する。今まで、各出展社が招待した顧客は、その社のブースに訪れるだけで帰ってしまうケースも多かったが、「せっかく来てもらったのだから、他社のブースも回ってもらえるような仕掛けをするべきだ」との意見を踏まえ、前回から実施したスタンプラリー。抽選所に行列ができるなど好評を博し、出展者からも「来場者の流れが変わった」「初めてのお客様もブースに来られた」など評価されている。
 参加方法は、出展各社の展示小間で参加用紙を入手し、該当する箇所に押印をもらい、主催者事務局のガラポン抽選会場まで持っていく。スタンプラリーで、会場内の人の流れが活性化することが今年も期待される。
 キッチンカーも、さらに充実して準備する。

 
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  注目の地元メーカー:進化続ける和同産業/岩手農機展特集  
     
   和同産業(株)(三國卓郎社長・岩手県花巻市実相寺410)は5日付のホームページで、同社のロボット草刈機が熊対策に有効との提案を掲載した。ロボット草刈機「ロボモア」は、2018年の発表以来、各地の果樹園などで実証試験を進め、また、実演研究会で農家その他の関係者に意見を募りながら完成度を高め、本格発売に至った経緯がある。
 こうした中、24時間自律的に稼働を続ける同機に対しては、早くから獣害予防の効果を期待する向きがあり、警報音や光を発する機能を加えてはどうかといった意見が寄せられていた。そうした装備がいま具体的に搭載されているわけではないが、同社関係者によると、導入現場からはロボモア自体の動きにより害獣が警戒して近づかないとの話が聞かれるとのこと。今回の提案もそうした実際の事象から立ち上がった。
 同社は1941年に創業以来、今日まで様々な農業用作業機、草刈機を開発してきた。また、除雪機で大きな実績を築き、さらに「ロボモア」を商品系列に加えたことで、企業活動の厚みは一段と増した。
 特に発電機、電動の小型木材運搬車と、電動モノの新規投入が続き、ロボット草刈機を生み出した技術蓄積は今後、さらに多方面に枝を広げていくに違いない。
 2023年6月に社長に就いた三國卓郎氏は、「スピード感をもって社内を変えていく」方針を掲げ、またやりたいことをやろうと、特に若い世代の柔軟な発想と行動力の引き出しにウエートをかけ、社内でもその精神は浸透してきている。面白さを追求する仕事の中から、今後どのような製品が生み出されるのか―注目していきたい。

 
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  県農政の動き:農業強化ビジョン策定/岩手農機展特集  
     
   岩手県は今年7月、岩手県農業の10年後に目指す姿や農業生産の目標を示した「いわて農業生産強化ビジョン」を策定した。令和10年の「農業生産の目標」は、食料自給率120%、農業産出額3500億円、新規就農者数300人を掲げた。
 計画期間は令和7年度から10年度までの4年間(終期は、「いわて県民計画(2019〜2028)」長期ビジョンと同じ)。
 同ビジョンで示された「10年後に目指す姿」は、(1)それぞれの地域の持つ強みを生かした農業が各地域で展開され、県全体の生産量が増大し、食料供給基地としての地位を更に向上(2)豊富な地域資源を活用した農業の実践により、環境負荷低減が図られ、生産性が高く持続可能な農業を展開(3)食料供給基地としての更なる地位向上に向け、地域の核となる経営体を中心に、多様な農業人材が参画した農業を展開。 
 「いわて農業生産強化ビジョン」の構成は、第1章はじめに=策定の趣旨、計画期間、県民計画との関係、農業分野の個別計画との関係、ビジョンの推進。
 第2章現状と課題=本県農業の現状(本県農業の生産力、農業経営体・農業従事者数の推移、農地の利用状況の推移)、社会経済情勢の変化(グローバル化の進展、生産資材価格と農産物価格の推移、農政をめぐる動向)。
 第3章本県農業の展望と農業生産の目標=本県農業の展望(農業経営体の展望、農業生産人口の展望、耕地面積の展望、10年後に目指す姿)、農業生産の目標(食料自給率、農業産出額、新規就農者数)。
 第4章農業生産の増大に向けた生産性・市場性の高い産地づくり=食料供給基地としての役割を果たしていくための基本方向、具体的な取り組みを明示。第1節:品目ごとの展開方向、第2節:農畜産物のブランド化、第3節:生産基盤の強化。
 第5章環境負荷低減と安全・安心な産地づくり=本県農業の持続的発展を確保するための基本方向、具体的な取り組みを明示。
 第6章産地づくりを支える人材の確保・育成=農業生産の増大に向けて人材を確保・育成するための基本方向、具体的な取り組み。
 第7章地域ごとの展開方向=産地づくりや人材の確保・育成の基本方向や具体的な取り組みを踏まえ、地域ごとの展開方向を明示。第1節:水田地帯、第2節:中山間地域、第3節:沿岸地域。
 第8章試験研究の推進=産地づくりや人材の育成に向けた試験研究を推進するための基本方向、具体的な取り組み。
 このうち、第4章の「農業生産の増大に向けた生産性・市場性の高い産地づくり」では、品目ごとの展開方向を提示して、特に野菜、果樹、畜産分野においてロボット化、スマート化を図る方針を打ち出している。
 野菜については、県中南部の圃場整備地区等において、スマート農業技術の導入などにより、タマネギやバレイショなどの土地利用型野菜の作付拡大の取り組みを推進。県北部を中心とした畑作への高性能機械及びスマート農業技術の導入などにより、キャベツやレタスなどの生産性向上の取り組みを推進。沿岸部の夏季冷涼・冬季温暖で積雪が少ない気象特性を生かし、高性能機械の導入などにより、ブロッコリーなどの土地利用型野菜の作付拡大と収量向上の取り組みを推進する。
 果樹については、リンゴの生産性向上に向けてロボット除草機やアシストスーツなどスマート農業機械・機器の導入などにより、管理作業の省力化・軽労化を推進する。
 乳用牛については、大学等と連携したAIによる放牧監視や、ロボットトラクタによる飼料生産作業の実証により、公共牧場やコントラクターの省人化・無人化を推進。

 
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  いわて農業DX推進連携会議:22日に技術交流会/岩手農機展特集  
     
   岩手県、いわて農業DX推進連携会議は22日、岩手県滝沢市のツガワ未来館アピオ岩手産業文化センター会議場2階特別会議室で、令和7年度データ駆動型農業推進事業技術交流会(ロボット技術による省人化)を開催する。農機メーカー等が、ロボット技術を活用した省人化の取り組み事例を報告する。
 第78回岩手県全国農業機械実演展示会と同時開催。
 岩手県では、人口減少や高齢化が進む中、効率的で収益力の高い農業の実現に向け、スマート農業技術等を活用した農業DXを推進している。これまでの取り組みにより、自動操舵システムやドローン等の導入が進んできているが、生産性の飛躍的向上には、無人走行のロボット農機等を活用した省人化の取り組みが有効。そこで今年の技術交流会では、ロボット農機の現状や活用事例などの共有・情報交換を通じて、ロボット技術への理解促進を図る。
 基調講演は、「土地利用型農業におけるロボット農機の現状と今後の展望」(農研機構農業機械研究部門知能化農機研究領域主席研究員・八谷満氏)。
 ロボット技術を活用した省人化の取り組み事例報告は、ロボットトラクタについて(株)クボタ、ヤンマーアグリジャパン(株)、ロボット草刈機について和同産業(株)、ロボット運搬機等について岩手県農林水産部農業普及技術課がそれぞれ発表する。 参集範囲は生産者、市町村、JA、いわて農業DX推進連携会議構成機関・団体、県関係機関等。定員100名。参加費は無料。問い合わせ先は、岩手県農林水産部農業普及技術課農業革新支援担当まで。
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 いわて農業DX推進連携会議は、岩手県の農業における生産性・収益性の向上に向け、農業関係機関・団体や大学、研究機関、生産者組織等の産学官民による連携を強化し、スマート農業技術を活用した農業DXの取り組みを加速化することを目的に令和6年6月に設立された。
 構成機関は、▽岩手県農業機械協会▽JA岩手県中央会▽JA全農いわて▽岩手県土地改良事業団体連合会▽岩手大学▽岩手県立大学▽農研機構東北農業研究センター▽岩手県農林水産部▽岩手県農業農村指導士協会▽岩手県農業法人協会。
 これまで作業管理システム「レポサク」、ドローンの多目的利用、雨よけほうれんそうにおけるミスト加湿制御技術などに関する現地技術交流会を開催し、検討を続けている。

 
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  大阪・関西万博に出展/農業女子プロジェクト  
     
   大阪・関西万博会場のフューチャーライフヴィレッジにおいて13日、「農業女子プロジェクト」と「かごしま農業女子プロジェクト」がそれぞれのブースで農作物を使用した加工品や活動紹介などの展示を行った。
 農業女子PJ(=プロジェクト)のブースは、今回の展示のために青森や愛知など全国から集まった6人のメンバーで作り上げたという。オリーブオイルやリンゴジュース、マコモタケを使用した混ぜご飯の素などの加工品を展示した。
 香川県でオリーブを栽培している中岡満代さんは「私たちの活動を通して、農業は輝かしいキャリアになることを伝えたい」と展示の趣旨を説明した。また、千葉県でスイカやイチゴなどを栽培している津田乃梨子さんは「女性も男性も、共に輝ける農業を目指したい。楽しく働くことができれば」と目標を述べた。今後は「お互いの圃場見学会や、講師を招いてオンラインで農場経営やSNSのセミナーを開催予定」だと話した。
 かごしま農業女子PJのブースでは、ビーフジャーキーやパッションフルーツを使用したフルーツソース、茶やミカンを乾燥させた菓子などの加工品が並んだ。同PJはその名の通り鹿児島県在住のメンバーで構成され、グループでの活動歴は5年目だという。
 鹿児島黒牛の牧場を運営している窪田加奈子さんは「女性にしかできないことが農業にはたくさんあると思う。また、子牛の飼育や販売のアイデアなど、女性の観点は男性とは全く違うと私は思う。そういったことを伝えられたら」と展示にかける思いを語った。今後の活動は「鹿児島のおいしいものをもっと伝えるため、県外に出ていきたい。メンバーで商談の勉強なども始めている」と前向きに語った。

 
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  バッテリー式に評価/「スマートコーシン」コレクターの野中通朗さん  
     
   京都府舞鶴市に住む野中通朗(のなか みちろう)さんは、(株)工進(小原英一社長)のバッテリーシリーズ「スマートコーシン」のコレクターを公言している。展示会の取材で訪れた、同じく舞鶴市の販売会社・(株)上林商会(上林明英社長)の紹介で野中さんの自宅を訪問し、コレクションを見せてもらった。野中さんは軽トラックの荷台に工進の製品を並べて出迎えてくれた。小型、ハンディ、ポールなどチェンソー3種、2WAYレシプロソー、ヘッジトリマー、ブロワなどが並んでいる。他にも下刈りバリカンや剪定はさみなども愛用しているといい、これらを草刈りや枝落とし、また所有している山林や水田などで活用しているという。野中さんは石川県に住んでいるが、定年退職を機に、介護などで両親の自宅がある舞鶴市との2拠点生活になった。そして3年前、亡くなった親戚が上林商会に注文していた工進のバッテリー製品が手元に届いた。「その親戚は注文だけをして、商品が届く前に亡くなってしまった。それを使い始めたのが最初の出会い」だと、きっかけを話した。工進製品の魅力を尋ねると「チェンソーにしても小さいものから大きいものまで色々あり、価格が手ごろなので、用途に合わせて買い揃えやすいのがいい」と野中さん。加えて「バッテリーの持ち時間に関していえば、私の体力にはちょうどいい。これ以上長い時間の作業では、熱中症になってしまう」と、バッテリーが切れたら、交換がてら休憩することにしているという。また、3種のチェンソーは枝切りや伐採した樹木の切断など様々な作業に「軽くて使い勝手がいい」とし、特に2メートル伸長するポールチェンソーは「足が地面から離れるのが怖いので、高い木の剪定に重宝している」と話した。上林商会の担当者によれば、野中さんは年3回開催される展示会には必ず訪れて、スマートコーシンシリーズを購入してくれるそうだ。また、上林社長は「スマートコーシンシリーズは口コミで評判が広がって、新製品が発売されるとすぐに注文が入る。バッテリー式なので、エンジンをかけることが難しくなってきた年配のお客様にも評判だ」と、その人気を説明した。
 
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