農経しんぽう
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  農経しんぽう  
  令和7年3月17日発行 第3543号  
     
   
     
   
  健康経営優良法人2025、業界から認定多数/経済産業省など  
     
   経済産業省および日本健康会議は10日、「健康経営優良法人2025」認定法人を公表した。これは、健康長寿社会の実現に向けて、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、健康の保持・増進につながる取り組みを戦略的に実践する健康経営を行う法人のうち、特に法人を認定するもの。
 今年は大規模法人部門に3400法人を認定し、うち上位500法人には「ホワイト500」の冠を付加。中小規模法人部門に1万9796法人を認定し、うち上位500法人には「ブライト500」、501~1500位法人には「ネクストブライト1000」の冠を付加した。昨年度の同認定数に対して、両部門とも大幅な増加がみられた。
 同表彰では、農業機械業界からも多数選出された。認定された企業の一部をみる。 (順不同)
 【大規模法人部門】
 ▽(株)クボタ(ホワイト500、2年連続)▽ヤンマーホールディングス(株)(ヤンマーグループは6法人が新たに認定、グループ合計で17法人が認定を取得)▽井関農機(株)▽三菱マヒンドラ農機(株)▽(株)オーレックホールディングス(グループ会社の(株)オーレック、(株)オーレックR&Dも認定)▽東洋ライス(株)▽バンドー化学(株)▽(株)丸山製作所(4年連続、グループ会社である日本クライス(株)、マルヤマエクセル(株)、西部丸山(株)、丸山物流(株)も認定)▽みのる産業(株)(2年連続、グループ会社のみのる化成(株)、(株)みのるゴルフセンター、(株)みのるガーデンセンター、みのるホテル事業(株)も認定)▽(株)やまびこ▽ユーピーアール(株)(ホワイト500)
 【中小規模法人部門】
 ▽(株)サタケ▽有光工業(株)▽いけうち(株)▽オカネツ工業(株)▽オサダ農機(株)小橋工業(株)▽静岡製機(株)▽(株)諸岡

 
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  ヤンマー、オーレックなど技術紹介/農林水産省が全国会議  
     
   農林水産省は6日、都内千代田区の同省6階共用第二会議室及びWebにて、第2回みどり技術ネットワーク全国会議を開催した。「みどりの食料システム戦略技術カタログ」にまとめられた、みどり戦略実現に資する技術のさらなる改良や社会実装を一層促進するため、同技術の紹介に加え、技術の開発者や実際に活用している農業者等とのパネルディスカッションを実施した。これには会場・Web合計700名以上が参加した。
 開会にあたり挨拶した農林水産省大臣官房技術総括審議官兼農林水産技術会議事務局長・堺田輝也氏は、各地域でみどり技術の普及・活用において立派な取り組みを実施している人々が今回発表を行い、機運を高めていくと語り、現場で活用できる知見を共有してほしいなどと期待した。
 次いで、同省による趣旨説明を挟み、パネルディスカッションが行われた。このうち、ヤンマーアグリ(株)開発統括部先行開発部・小島右資氏は、夷隅農業事務所改良普及課普及指導員・板倉智貴氏とともに「化学肥料減が期待される衛星データと可変施肥田植機の利活用」について講演。小島氏はまず、スマート農業技術と連携したスマート農機の活用イメージとして基肥施用時の可変施肥田植機、追肥施用時の可変施肥ドローン、収穫作業時の収量コンバインを示し、これらでPDCAを回すことにより経営改善に役立てていくことを提案。今回はそのうち、千葉県勝浦市で可変施肥田植機を活用した実証について成果を報告した。ザルビオフィールドマネージャーの地力マップから、施肥マップを作成し、基肥の可変施肥を実施。慣行区と減肥区2区(慣行区比15・4%減、同17・6%減)を比べたところ、側条減肥を行っても収量減は確認されず、17・6%減の区では生育ムラの低減と収量増加が確認されたという。さらに経費を比較すると側条肥料の可変施肥のみで10アール当たり約600円の経費削減が可能となり、仮に水稲経営20ヘクタール、側条施肥の減肥率17%とすると、年間経費約12万円減にのぼると試算された。
 その他、▽土づくりと減肥のための緑肥利用(農研機構中日本農業研究センター温暖地野菜研究領域・グループ長・唐澤敏彦氏、伊豆陽なたビオファーム代表・米倉賢一氏)▽輸入花粉に依存しない国産花粉の安定供給システム(鳥取大学農学部准教授・竹村圭弘氏、埼玉県さいたま農林振興センター技術普及担当〈南部〉主任・柴崎茜氏)▽混合有機質肥料を用いた土壌還元消毒(片倉コープアグリ(株)肥料本部アグリソリューション推進部技術推進課・土井研一氏、福岡八女農業協同組合園芸指導課係長・中瀬春幸氏)―などのディスカッションを実施。
 また、会場内にはポスターセッションの展示も行われ、(株)オーレックR&Dは水田用除草機「WEED MAN」を化学農薬を使用しない除草体系として紹介していた。

 
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  畑作での有機物活用/関東農政局がみどり戦略勉強会  
     
   関東農政局は2月26日、みどりの食料システム戦略勉強会(第28回)をオンラインで開催した。これは、同農政局が同戦略に関係するテーマについて毎月開催しているもので、1~3月のテーマは「役に立つ!有機農業の栽培技術」。その2回目となる今回は、公益財団法人自然農法国際研究開発センター理事の榊原健太朗氏が登壇し、野菜有機栽培における有機物活用技術について解説した。
 榊原氏は最初に野菜有機栽培の技術的視点として「有機栽培は農薬に頼らないため、病気や害虫、雑草対策などに目がいきがちだが、それは野菜が健康に育っていない結果であるととらえ、まずは健康に育てることに注力すべきだ」と強調。そして、▽有機物の害がなく、雑草と共生できるくらいの地力を確保すること▽良い種を良い土に適期に作付けて、初期生育を確保すること▽各技術を有機的に連動させ、生態系を整える栽培体系をつくること―を意識し、農薬を我慢するのではなく、農薬が必要ない状態を目指すことが重要であると述べた。
 また、有機栽培向けの品種育成として、自然生え育種法を紹介。これは、畑の隅などに自生する野菜の生育が旺盛になる場合があることから、農地環境や栽培方法に合った強勢な株が自然選抜される状況を活用するもので、畑や野菜の観察を日常的に続けることが、栽培の様々なヒントにつながるとした。
 続いて、収穫残渣などの有機物分解には、土壌の温度・水分・酸素・養分を考慮する必要があるとし、雑草の生え方などから畑の条件を把握することや、土壌生物を意識して植え付け時期を考えることが重要であると指摘。具体的な植え付け時期については、夏野菜は種まき・苗植えが少々遅れても構わないが、秋作の場合は適期に植え付けて生育期間を確保することが望ましいとアドバイスした。
 さらに有機物の施用では、時間・場所・種類(熟度)・量がポイントになるとし、植物の根の付近に無理に有機物をすき込まないようにすることや、未熟な有機物をすき込む場合は、冬場であれば定植の90日以上前に、夏場でも40日以上前に行うことを推奨した。
 前後作を考えた有機物管理技術については、(1)すき込んだ堆肥や有機肥料のみでなく、前作の収穫残渣や雑草を含む有機物を十分に分解させ、地力を維持し、有機物の害をなくしてから作付ける(2)前前作終了から次作植え付けまでに十分な時間が取れない場合は、収穫残渣を分解させる層と苗の根張部分を分けることにより、有機物分解の障害リスクを回避しつつ、地力を循環・維持増進できる(3)収穫残渣の表層すき込みは、分解層を形成し、有機物に富み、土壌生物活性が高いため、抑草効果が期待できる(4)株周りの初期除草は徹底する―などをポイントとしてあげた。
 そして、地力がある程度上がってきたら、全面耕うんではなく、緑肥や作物の連続栽培、混作、草生、表層施用、有機物マルチも含めて、農地生態系の安定を維持する管理へと移行することを勧めたうえで、刈敷を含めた草生栽培では、地温や土壌水分の安定、抑草、病虫害抑制など、様々な効果が期待できることを示した。

 
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  農業女子が輸出取り組み/農林水産省が最終報告会  
     
   農林水産省は3日、Webにて「GFP×農業女子PJ輸出伴走支援プログラム」最終報告会を開催した。これは農林漁業者・食品事業者の輸出の拡大を支援する「GFP」と女性農業者の活躍を支援する「農業女子プロジェクト」が連携して昨年10月から実施してきたもので、農業女子メンバーがGFPによる輸出伴走支援を受けながら実践的な輸出知識の習得・ネットワーキングを構築するとともに、実際に輸出等に取り組んできた。今回はその成果報告として、(1)ドバイ・シンガポール等の小売・外食向けに青果物等の輸出を目指すコース(2)香港ECサイト向けの輸出を目指すコースについて、取り組みの概要や今後の方針が説明された。
 開会にあたり挨拶した同省大臣官房審議官(兼経営局)の勝野美江氏は本事業に参加した全ての農業女子メンバーと協力した関係者に謝意を述べ、約5カ月でどこまで想いが実現したか、想定以上も以下もあっただろうが、今回を契機に事業計画を見直してさらなる発展を目指してほしいと期待を寄せた。
 その後、プログラムの総括や報告が行われた。それによると、今回は、輸出の一歩目として小ロットでも輸出しやすい販売チャネルとして高級外食やECを選定したうえで、GFPのパートナー商社と連携したテスト輸出プログラムを実施。(1)は輸出意欲の高い農業女子メンバーで青果物の小売り以外の販路確立を目指してチームを組成し、シンガポールやドバイ、香港、ブルネイなどの高級外食店やホテル向けの輸出に成功した。果物のスイーツメニューの開発・農業女子ブランドのPRも実施。輸出成功のポイントとして、▽農業女子は商品ラインアップが多いのが強み▽1カ月前には「いつ・いくらで・何を・どの品質で・どのくらいの量」を輸出できるのか伝える▽商品サンプルを送ると良さが伝わる―などが示された。同チームではメンターの(株)大吉農園が中心となり、継続取り組みも検討しているという。
 また、(2)ではメンターを務めたオイシックス・ラ・大地(株)がテスト販売用ECとして農業女子メンバーの顔写真やコメントを前面に出した農業女子特設サイトを開設し、日本語・中国語で販売を促進。多数の商品についてサンプリングを配布し、商談や取り扱いを進め、旧正月ギフト用販売なども行った。現地社員や消費者の生の声をフィードバックして、値付けなどのビジネス作法なども共有したという。一方で、今後の輸出成功に向けたポイントとして、▽商品の価値とそれに対する対価を正しく理解する▽価値と対価の実現に向けて価格努力を続ける▽6次化商品の販路拡大で差を生むのは営業力―などがあげられた。
 その後、参加した農業女子による振り返り及び、農林水産省輸出・国際局輸出産地形成室長・大橋聡氏による挨拶、個々の農業女子へのフィードバックが行われ、農業女子たちは今後の取り組みに意欲を高めていた。

 
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  コンバイン「YH3/4Rシリーズ」/ヤンマーアグリが発売  
     
   ヤンマーホールディングス(株)のグループ会社であるヤンマーアグリ(株)(所司ケマル社長・岡山県岡山市中区江並428)は、能率・精度を高めた中型コンバイン「YH3/4R」シリーズを一新し、4月1日に発売する。本機の4条刈モデルには、主に中山間地の中~大規模農家からの要望が多かった50馬力帯を追加した。刈取り速度をアップ。高耐久なロングこぎ胴+ワイド揺動板により、大量の籾を効率よく高精度に脱穀する。
 4条刈モデルのYH4シリーズでは、常に安定した収穫作業をより高能率に行うため高出力52馬力エンジンを搭載し、スピーディーな刈取り作業でも高精度な脱こく・選別が可能となった。他にも、「自動刈高さ制御」による作業者の負担軽減に加え、セーフティ機能による安全性、点検・整備がしやすい車体機構によるメンテナンス性を向上させ、計画通りの収穫を実現する。
 〈商品概要〉
 ▽商品名:コンバインYH325R/YH333R/YH440R/YH452R▽発売日:2025年4月1日▽商品価格:589万6000円~933万9000円(税込み、メーカー希望小売価格)。
 主な特徴は次の通り。 (1)余裕のパワーとスピード=「YH452R」の場合、作業速度は1・43メートル/秒となり、従来機に比べて刈取り速度がアップ。速度が上がっても高耐久なロングこぎ胴+ワイド揺動板により、大量の籾を効率よく高精度に脱穀する。さらにあざやか処理胴が枝梗をしっかり取り除き、籾が揺動板全体に拡散することで、よりきれいな選別が行える。
 (2)設定した一定の高さで刈取る「自動刈高さ制御」=分草板に取り付けたソリセンサーが圃場の凹凸を感知して自動で刈高さを調整し、一定の高さで刈取りを行うことができる。刈高さ調整にかかる負担が減り、オペレータは作業に集中することができる。
 (3)セーフティ機能による安全性と、点検・整備がしやすいメンテナンス性を向上=稲の流し込みが終わり、手こぎガイドから手を離すと自動でガイドが上がる新方式を採用し、連続作業をスムーズに行うことが可能となった。手こぎレバーと手こぎスイッチを同時に押している間だけフィードチェーンが駆動するため作業時の巻き込み事故を未然に防止する。また、収穫作業前に機体各部への注油が簡単・確実に行える集中注油装置や、作業中のトラブル発生時に素早く対応できるマルチオープン機構など、メンテナンス性を追求した機能も各所に取り入れている。
 〈仕様〉▽販売型式名=YH452R▽区分=EJU▽機体寸法=全長4070×全幅1895×全高2050ミリ▽機体質量(カッター付き)=2435キロ▽エンジン型式名=4TNV86CT▽種類=水冷4サイクル4気筒立形ディーゼルターボ▽総排気量=2・091リットル▽出力/回転速度=37・9キロワット(51・5PS)/2600rpm▽燃料タンク容量=43リットル▽始動方式=セルスタータ▽バッテリ=80D26R▽クローラ=幅450×接地長1570ミリ▽平均接地圧=16・9kPa(0・172キログラムf/平方センチ▽変速方式=HST無段変速(FDS)▽変速段数=前後進無段×副変速3段▽走行速度=前進・低速0~0・75、標準0~1・43、走行0~2・66メートル/秒、後進・低速0~0・65、標準0~1・43、走行0~2・25メートル/秒▽刈取条数=4▽デバイダ先端間隔=1460~1510ミリ▽刈幅=1450ミリ▽刈高さ範囲=50~150ミリ▽変速段数=車速同調+引起し2段▽こぎ深さ調節方式=電動モーター式(自動・手動併用)▽脱穀方式=下こぎ軸流式▽こぎ胴=径420×幅810ミリ、回転速度520rpm▽2番処理胴=径170×240ミリ(あざやかロータ、回転速度1600rpm)▽揺動選別板=幅600×長さ1350ミリ▽脱穀処理方式=グレンタンク・オーガ排出▽タンク容量=1000リットル(籾袋約20袋)▽適応作物全長=550~1300ミリ▽倒伏適応性=向刈70度以下、追い刈85度以下▽作業能率=12~53分/10アール

 
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  全自動野菜移植機を発売/ヤンマーアグリ  
     
   ヤンマーアグリ(株)は4月1日、ICT技術を活用し、高精度なRTK直進アシスト機能による直進自動化などで農作業の高効率化・高精度化を実現する乗用全自動野菜移植機「PW200Rシリーズ」を発売する。
 近年、就農者減少・高齢化による人手不足といった課題を抱える農業分野において、ICT等の技術を活用した作業の効率化が求められている。ヤンマーアグリはこれらの課題解決に向け、自動運転農機「SMARTPILOT(スマートパイロット)」シリーズのラインアップを強化している。
 乗用全自動野菜移植機「PW200Rシリーズ」は、乗用型の野菜移植機において、ヤンマーアグリとして初めて直進アシスト機能を搭載した。オペレータの作業負担を軽減するとともに、操作に不慣れでも簡単に高精度な植付けを行うことができる。
 〈商品概要〉
 ▽商品名:乗用全自動野菜移植機「PW200R('S)('RS)('G)▽発売日:2025年4月1日▽商品価格:368万円~456万6100円(税込み・メーカー希望小売価格)
 〈主な特徴〉
 (1)誤差数センチ精度のRTK直進アシスト機能(RTRK直進アシスト搭載 G仕様)=RTK―GNSS方式の自動操舵システムを採用し、事前に基準線のA点・B点を登録することで、基準線と平行に誤差2~3センチの高精度な作業を行う。畝のない圃場でも、まっすぐ植え付けることができる。さらに、直進アシストトラクタを使用して畝立てをした場合、トラクタの方位角を「PW200R」に入力することで、トラクタと同一の経路作業ができる。また、移植作業をした「PW200R」の方位角をトラクタに入力して、後工程の中耕作業等に利用することもでき、野菜作機械化一貫体系で作業の省力化・高精度化を実現する。
 (2)植付速度・精度向上=最高植付速度が0・55メートル/秒と、従来機に比べ約10%向上。また、速度の向上に合わせて植付部の構造を見直し、広い面積をより高精度に、効率よく植え付ける。
 (3)機体から降りずに操作できる9段階の「覆土圧調整レバー」=使用頻度の高い覆土圧調整レバーを、植付部後方に加え、運転席後方にも新たに設け、運転席から降りずにレバー操作が可能になり、補助者がいない1人作業でも効率的に作業ができる。また調整段数が9段階に増え、覆土量の細やかな調整が可能。
 (4)様々な栽培体系に適応=左右合計12枚の追加予備苗台を新たにオプション設定。予備苗台(24枚)+苗載台(4枚)で最大28枚の苗トレイが搭載でき、大規模圃場でもトレイの補給回数を低減できる。また、植付条間は45~66センチに設定が可能。マルチ畝や畝溝幅が狭い圃場で活躍する後輪幅90ミリのRS仕様、中小玉の野菜移植に対応する株間23~80センチの短株間仕様(S仕様)など、あらゆる栽培体系に対応する。
 〈主な仕様〉
 ▽名称=ヤンマー乗用型全自動野菜移植機▽駆動方式=4輪駆動▽機体寸法=全長3160×全幅1835(予備苗台収納時1725)×全高2075(予備苗台収納時2225)ミリ▽最低地上高=365ミリ▽質量=666キロ▽エンジン=空冷4サイクルガソリン、総排気量=0・391リットル▽定格出力=5・8キロワット(7・9PS)/3000rpm▽始動方式=セルスタータ▽かじ取り方式=前輪操舵(パワーステアリング)▽トレッド=前輪1200/1270ミリ▽後輪=1200/1300/1320ミリ▽変速段数=前進2段・後進1段(HMT)▽植付条数=2▽植付条間=450/500/550/600/650/660ミリ(6段)▽適応畝高さ=0~300ミリ▽適応作物=キャベツ・はくさい・ブロッコリー▽作業能率=0・5~0・9時間/10アール

 
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  ペレットソーターⅡ/サタケが発売  
     
   (株)サタケ(松本和久社長・広島県東広島市西条西本町2の30)は3月から、光選別機「ペレットソーターⅡ」を発売した。プラスチックペレットの原料中の黒点や着色粒などの不良品を除去するもので、1時間当たり最大3トンの原料を処理できる。販売価格はオープン。樹脂製造メーカーやプラスチックリサイクル業者などを対象に初年度は5台の販売を見込んでいる。
 同機は、LED光源の採用など設計を見直し、透明や光沢のあるペレットの選別性能を大幅に向上させ、さらにカメラの分解能を従来機比2倍の0・03ミリに高めて微小の黒点や着色ペレットも高精度に選別。また、不良品の除去には同社独自のピエゾバルブを採用、良品の巻き添えを低減し、良品のロスを最小限に抑えながらプラスチック製品の純度を高めることができる。
 そのほか、(1)0・1ミリの微小黒点を高精度で選別(2)1台で透明・不透明ペレットの選別が可能(光源部のセッティング変更により、透明・不透明の原料選別を1台で実現)(3)光源にLEDを採用し、光源の寿命を従来機の約10倍に延長(4)ビエゾバルブは従来比約1・7倍のバルブ開閉速度により選別時に良品の巻き添えを10%低減。バルブ開閉部に特殊素材を採用、約3倍の長寿命化を実現。エア消費量および消費電力を低減(5)排出ホッパの取り外しが可能になり清掃性が大幅に向上―などの特徴がある。
 同機の主な仕様は次の通り。
 ▽機体寸法=幅2200×奥行1400×高1656ミリ▽機体質量=1100キロ▽定格電圧=単相AC200~240ボルト 50/60ヘルツ▽所要動力=2・3キロワット▽必要エア量=500~750NL/分(コンプレッサ5~7・5キロワット相当)▽処理能力=0・1~3・0トン/時

 
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  高耐滑性の安全靴発売/福山ゴム工業  
     
   福山ゴム工業(株)(松岡伸晃社長・広島県福山市松浜町3の1の63)は今年から、耐滑性に優れる安全作業靴「シティーハンター」を本格発売した。ローカットの#300とハイカットの#800の2種類がある。とくに靴底の部分には、垂直な窓や壁を難なく直登していくヤモリ(英語でgecko)の足裏構造を参考に独自開発したソールGG360(型式はグリップのGとgeckoのGを組み合わせた)を採用、360度全方向にグリップ力を発揮する究極の安定感を有している。
 松岡社長は、林業機械などを製造・販売する(株)諸岡(諸岡昇社長・茨城県龍ヶ崎市)のサプライヤー組織・諸岡協力会の副会長を務めており、取引関係から同製品の本格導入第1号となった諸岡では、本社工場やデモセンターの従業員に「シティーハンター」を支給した。
 工場内では区画を仕切るために床に色付けを施しており、雨天時など床が水濡れしている際は滑りやすく、また、車両の組付けで機体上を移動する、床と機体の上を行き来する場合も鉄板上で足元が滑りやすいといった安全上の課題があったが、同製品を履くことで、そうした懸念を解消。作業に当たっている社員は、「この安全靴はフィット感がいいし、滑らずに足元をしっかりグリップして安心感もある」と話し、また、製造部門を管掌する若井光浩常務は、「安全確保の観点から同製品を採り入れ、現場から大変いいという評価を聞いたので、私どもの取引先にも推奨したい。農林業機械のメンテナンスなどに当たっている販売店にも最適な製品ではないかと考え、各方面に紹介したいと思っているんです」と。
 福山ゴム工業は、履物部門と、農業機械、建設機械、車両関係などのメーカーと取引のある工業用品の2部門体制で事業を推進しており、履物部門の担当者は、工業用品部門担当者とも連携し拡販を図っていくほか、農機、建機の流通に関わる企業にも対応していきたいと今後の実績アップに意欲をみせている。
 同社の履物商品は、長靴、安全靴、作業靴からなり、メーンの長靴では最初に内部にメッシュ素材を用いて破れにくくした「ジョルディック」、作業靴ではファスナー付きハイカットやミッドカットを揃える「親方寅さん」など、技術力を活かした知名度の高い製品を生み出しており、今回の「シティハンター」でも360度のブリップ力で新たな需要の波を捉えていく考えだ。
 同製品はローカット、ハイカットの2種類で、カラーはグレー、ブラックの2色。サイズは25、25・5、26、26・5、27、28センチ。安全性を表すJSAA規格では、かかとの衝撃エネルギー吸収性の性能は吸収エネルギー20J以上、耐滑性を示す動摩擦係数は0・20以上。
 問い合わせは同社シューズ販売課=TEL084・920・7111。

 
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  新型ローダを発売/丸久製作所  
     
   (株)丸久製作所(林勇一社長・茨城県結城市東茂呂1877)はこのほど、クボタトラクタTERAST・ST25/31(25/31馬力)に適応する「ST用ローダ」を発売した。同社の「マイティサンローダK950アーム」を搭載、田畑の土の移動からツルものの残幹処理、パレット運搬、除雪など、広範な作業をこなし汎用的に活用できる製品だ。
 同K950は、リフトアームサイズを大きくしてトラクタボディーとの間隙(幅及び前後)を十分にとり、安心して作業できるのに加え脱着時も安心。フロントコントロールバルブを標準装備したことで、リフトアームの下降スピードの調整を可能にし、一層安心して作業を進めることができる。アタッチメントの水平位置の確認やローダを着脱するときのバケット角を確認するためのレベラーは、左右どちらでも装着可能にした新感覚レベラーを採用。追加レベラーキット(オプション)を装着すれば、アタッチメントを交換しても調整の手間がいらなくなる。
 このほか、従来製品と比較して様々な改良を施しており、▽リフトアームの強度アップ=素材を一部変更、アーム強度を20%向上▽バケットヒッチを改良=構造を見直しさらに頑丈なヒッチに▽脱着スタンドを改良=接地部を改良、アーム脱着時の安定性を向上▽グリスアップを容易に=グリスニップルは全てピンに設け、アーム側面からの給脂作業に統一など、オペレータに優しい、親切設計のローダに仕上げている。
 先端アタッチメントも豊富で、亜鉛メッキ仕様バケット、スーパーマルチバケット、スーパーツメ付きバケット、スーパーバケット、大容量スーパーバケット、スーパーパレットフォーク、マニアフォーク、ヘイフォーク、スーパーグレーダ、そして新しくオートヒッチ用バランスウェイト―を揃えた。
 同機の持ち上げ荷重は300~350キロ。ヒンジピン高さは2200ミリ、ダンピングクリアランス1605ミリ。すくい角は50度、ダンプ角は58度。
 同社問い合わせTEL=0296・35・0611

 
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  卵殻膜由来の肥料を発売/ENEGGO  
     
   ENEGGO(株)(下浩史社長・佐賀県西松浦郡有田町赤坂丙2842の2)は1月、卵殻膜由来の有機配合液肥「オーガナブル」の20キロタイプを農業栽培用として発売した。同製品は卵の薄皮「卵殻膜」から、作物の生育や成熟に欠くことのできない18種類のアミノ酸を抽出し、窒素、リン酸、カリの3要素を加えた有機配合液体肥料。灌注散布と葉面散布のいずれも使用できる。
 特徴として、吸収性の良い低分子アミノ酸の補給により、根張向上、生長促進、天候不順に強く抵抗力が向上するなどが期待できる。液体なので使いやすく、環境にもやさしい肥料だ。バリエーションは、用途に応じて窒素、リン酸、カリの配合を変えた3種類。
 また、これに先駆けて一般用の「すべての家庭園芸用」「観葉植物用」「バラ・花用」(各800ミリリットル)の3種類をホームセンターなどで発売している。同タイプのボトルにも卵殻の炭酸カルシウムを樹脂と混合して使用。これまで廃棄されてきた資源を活用し「アップサイクル」することで新たな利用価値を見出した。
 同社は、卵殻からチョークやロージンバッグなどを製造販売している(株)グリーンテクノ21(佐賀県佐賀市)を母体としている。独自のネットワークで日本各地の割卵工場から排出される卵殻を回収することで原料を調達し、同社の特許技術を用いて水に溶けにくい性質の卵殻膜を可溶化、アミノ酸に分解し抽出することで液体肥料を開発した。窒素、リン酸、カリを含んでいるものの、卵殻膜由来の有機アミノ酸を用いることで、今後の化学肥料使用の低減につながるのではと同社では期待を寄せている。
 ▽製品問い合わせ=同社TEL0955・25・9595

 
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  新型農薬散布ドローン発売/石川エナジーリサーチ  
     
   (株)石川エナジーリサーチ(石川満社長・群馬県太田市大原町2225の41)は2月27日、2025年春に発売を予定している新型農薬散布用ドローン「ニューアグリフライヤー」の発表会を本社で行った。
 製品説明会の冒頭には石川社長が大勢の参加者に感謝を述べるとともに「弊社にとって第三世代のドローン。過去の経験をもとに、より使いやすく、より求めやすい価格というコンセプトで開発を進め、我々としても、自信を持ってお勧めできる製品ができました」と挨拶した。
 続いて営業部の天田喜大チーフが、製品説明を行った。
 「ニューアグリフライヤー(仮)」は、「堅実・力強さ・愛着を商品化のテーマに、農業ドローンとしての必要機能/性能を満たし、低コスト化を図る製品である」と特徴を説明し、農家のためのドローンであることをアピールした。
 【主な特徴】
 ▽高性能かつ低価格▽信頼のMade in Japan▽マグネシウム合金性フレームで丸洗い可能▽各種自動飛行モード搭載(自動飛行・アシスト・ABモード)▽液晶付きプロポで簡単操作▽プロポスイッチ動作で自動離着陸機能
 同社実験圃場でのデモフライトでは、同機の機動性、操作性、性能をアピールした。
 石川社長は「ニューアグリフライヤー(仮)は、お求めやすい価格、非常に使いやすく高耐久を実現し、多くの農家の方々に使っていただける製品を目指し開発してきた。弊社にとって第三世代の機種となり、自信を持ってお勧めできる製品。ぜひ多くの方に手に取って確認していただきたい」と、同機に期待を込めた。

 
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  ラジコン式草刈機「アイラボ」販売開始/ウインブルヤマグチ  
     
   (株)ウインブルヤマグチ(山口龍太社長・兵庫県加東市東実397)は、ラジコン式ハンマーナイフ草刈機「AIRAVO(アイラボ)」(製造元・オカネツ工業(株))の販売を開始した。
 特徴は、機体バランスを追求してクローラを採用。全方位30度までの傾斜に対応しており、ラジコン操作のため、離れた場所から操作ができ、広範な平地や人の入り難い場所の草刈りのみならず、傾斜など危険を伴う場所での草刈りに最適。
 また、ハンマーナイフの採用で、150センチの草でも、刈った後に数センチ程度のチップ状に粉砕する。集草作業時の煩わしさを解消し、土にも還元されやすい。刈刃配列をらせん状にすることで刈り取り抵抗も軽減。そして刈取部はエンジン駆動、走行部はモーター駆動のハイブリッド式を採用。エンジン稼働時に電気を蓄電するドライビング発電により、ガソリンがなくなってもある程度の走行が可能だ。
 その他に、その場旋回が可能で、狭い場所でも操作が楽にできる。また、作業速度を時速3・2キロ、2キロの2段階に切り替えることができるので、ラジコンに不慣れなユーザーでも安心して操作できる。移動時は毎時4キロまで速度調節が可能。
 〈製品仕様〉▽寸法=全長1695×全幅860×全高675ミリ▽最低地上高=80ミリ(刈取部を除く)▽装備重量=260キロ ※軽トラ搭載可能▽バッテリーサイズ=鉛蓄電池 12ボルト 15Ah×4▽総排気量=270立方センチ▽最大出力=8・0PS▽使用燃料=自動車用無鉛ガソリン▽燃料タンク容量=4・1リットル▽走行速度=前進時速0~4・0キロ(無段階)/後進時速0~3・5キロ(無段階)
 ▽問い合わせ=(同社営業部)TEL0795・42・1066

 
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  キャニコムが1位/ネーミング大賞  
     
   第35回読者が選ぶネーミング大賞(主催は日刊工業新聞社)の表彰式が6日、都内の経団連会館で行われ、業界からはキャニコム(福岡県うきは市)の乗用草刈機「フルーティまさお」がビジネス部門の1位を獲得。また、オカネツ工業(株)(岡山県岡山市)のラジコン草刈機「AIRAVO(アイラボ)」はアイデアネーミング賞を受賞し、それぞれ包行均会長、和田俊博社長が記念の盾を受け取った。
 19回連続受賞を成し遂げた包行会長は、式後の祝賀パーティーであいさつ。「フルーティーまさおは、まさおシリーズにしゃれっ気を込めて、爽やかな色男の香りを付け加えた」と命名のいきさつを紹介しながら、ネーミングほど楽しい作業はないと、これまでの19年の名づけの足跡を踏まえ、「私にとって来年は20回連続となるので、それに相応しいドカンッとしたネーミングを用意し、何が何でもここにやってきます」と次回に向けた意欲を示した。
 和田社長は、AIRAVOは最初から名前を決めて製品化にのぞんだとし、「AIは愛をもって重作業を楽にしたいという気持ちを表したほか、今後AI(人工知能)を組み込んだ自律型の草刈機を出していく上でのAIの意味もかけている」と説明。年内発売を予定している次期製品は「仮称・MAIRAVO(マイラボ)」とすでに決めていることも明かし、草刈り作業省力化への貢献に力を込めた。

 
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  小型分野の電動化加速へ新たな組織設立/ヤンマーホールディングス  
     
   ヤンマーホールディングス(株)(山岡健人社長)は、小型の建設機械・農業機械分野での電動化を推進するため、2025年4月に新たな組織を設立する。新組織では、ヤンマーブランド製品、OEM製品、コンポーネントおよびeパワートレインの3つのカテゴリーに注力し、ミニショベル、ホイールローダーをはじめとした産業機械の電動化に取り組む。ヤンマーグループにおける重要な製品群の電動化の推進を加速することで、製品使用時における温室効果ガスの削減を進めていく。
 新組織は、オランダのEleo Technologies B・Vなどグループ会社や電動化に関連する既存の一部組織を含んで構成される。責任者はこれまで自動車業界などで電動化をリードしてきたMarko Dekena氏(マルコ・ディケナ)。
 新組織の設立は、「YANMAR GREEN CHALLENGE2050」で示す持続可能な未来の実現に向けた取り組みの1つ。
 ヤンマーグループは電動化に加え、水素やアンモニアなどの代替燃料の活用や資源循環にも積極的に取り組んでいる。今後も技術やノウハウを活用し、グローバルでの脱炭素社会の実現に貢献していく。
 〈ヤンマーホールディングス(株)代表取締役COO・山本哲也氏のコメント〉
 今回の組織新設は、ブランドステートメントに掲げるA SUSTAINABLE FUTURE―テクノロジーで新しい豊かさへ。―の実現に向けた取り組みの1つ。
 小型の電動パワートレインの開発は、当社がディーゼルエンジンで積み上げてきたノウハウを建設機械・農業機械分野にとどまらない、より広い分野に適応させ、カーボンニュートラルを実現するために重要なマイルストーン。気候変動が厳しく、持続可能な社会の実現に向けた課題に直面している今、製品の性能を向上させるだけでなく、よりクリーンで持続可能な未来に貢献する電動パワートレインの開発と導入を加速させる必要がある。

 
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  春の大展示会、目標大きくクリア/竹塚機械店  
     
   (株)竹塚機械店(竹塚鋼社長・千葉県野田市上花輪849)は7~9の3日間、同社中古整備センターにて春の大展示会を開催した。およそ800人の顧客農家に、最新の機器及び情報を発信するとともに、お買い得品大展示会と銘打ち、実演機で使用したトラクタ、田植機、コンバインなどを特価に設定し、イベントの目玉商品とした。
 期間中は県内および県外からの農家が来場し、小型から大型まで充実したラインアップで農機を提案。ヤンマー製品の4月からの価格改定前に、最後の提案を行った。
 入場口にはトラクタYT3シリーズが勢揃いし、来場者を出迎え、会場には田植機YR8DA、コンバインYH6135をはじめ、耕うん機、管理機、作業機、播種機など、数多くの製品を取り揃え、新シーズンに向け来場者に直接アピールした。
 また説明会会場では、密苗及びヤンマー純正オイルについての講習会が開催され、多くの農家が注目した。
 道路を挟んだ中古機コーナーの奥には家庭菜園向け管理機比較体験コーナーが設けられ、管理機を多数展示するとともに、来場者が圃場で実際に機械を動かし比較体験していた。機器の操作性、性能などをチェックしながら担当者に質問する熱心な農家もおり、注目されていた。
 竹塚毅会長は「今回も予告チラシの配布、新聞折り込みなど、告知を強化してきた。朝からお買得の商品を求めるお客様も多く、米価の高騰による購買意欲の高さを感じている」と、商談成立の札が貼られた農機が多く見受けられた。
 一方、ヤンマー製品の価格改定についての来場者の反応は、思ったよりも薄いという。同社では、前もってチラシを配布し、価格改定について顧客に伝えてきた。今回は農機を購入するつもりの人が多いため、駆け込み需要も多いのではないかと予想している。
 竹塚鋼社長は「初日から多くの方に来場いただいた。3日間の売上げ目標は、大幅にクリアした。4月からの価格改定に向け、展示会の後追い訪問も重要となる。取りこぼしのないようにしていきたい。今後も地域の情報発信源となり、地域農業に貢献していきたい」と今後の意気込みを語った。

 
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  創業100周年記念式典・記念祝賀会開く/静岡製機  
     
   静岡製機(株)(鈴木直二郎社長・静岡県袋井市諸井1300)は6日、浜松市のオークラアクトシティホテル浜松ホテルに国内外からの関係者120名余りを招き「創業110周年記念式典・記念祝賀会」を開催。席上、鈴木社長は110年間の長きにわたる感謝の意を伝えるとともに「これからの100年を見据え、その礎となる技術獲得を目指し、創意の発揚に磨きをかける」と挨拶した。同社は、大正3年(1914年)に初代・鈴木貞三郎氏が製莚機の製造販売でスタート。三代目・鈴木重夫氏が昭和28年に社長に就任、新型乾燥機を矢継ぎ早に開発。平成6年に現・鈴木直二郎氏が社長に就任し、その前年に発表した菜庫は、玄米低温貯蔵庫の代名詞ともなった。ヒーター、冷風機は全世界へ販売され、グローバルな展開を進めている。
 記念式典に先立ち、イベントホールにおいて、乾燥機・保冷庫・各種測定器などの農機部門、冷風機・電気ヒーターなど産機部門、また、農産物直売のとれたて食楽部の展示、さらに、同社110年にわたる会社沿革が紹介された。
 記念式典は「光・風・熱」の技術で新たな未来へをテーマに、宇野毅常務取締役の開会挨拶で始まり、110年を振り返ったビデオメッセージが上映された。
 続いて、鈴木社長が創業110周年式辞の挨拶(別項)を行った。続いて来賓祝辞に移り、袋井市・大場規之市長、日本農業機械化協会・菱沼義久会長がそれぞれお祝いの言葉を述べた。
 大場市長からは「創業100年を超える企業は少なく、静岡製機さんは、地元の代表的な企業として大変な誇りとなっている。さらに、発展されることをお祈りする」と期待の弁。
 また、菱沼会長は「創業時から、創意発揚の基に、これまで、常にトップレベルの技術開発を進めてこられた。創業110年を機に、さらに新たなイノベーションが生まれることをご期待申し上げる」と述べた。
 式典に次いで、元ラグビー日本代表の五郎丸歩氏による「日々の努力、夢への近道」と題した記念講演が行われた。
 その後、岩崎康宏常務取締役による開宴の挨拶により記念祝賀会に移った。祝賀会では、遠州中央農業協同組合・安田博俊会長の発声による乾杯を経て、地元バンドによるジャズ演奏が行われ会を盛り上げた。鈴木弘憲社長室室長の閉会の挨拶により、会を締めくくった。
 【2015~2024・各事業部の10年の歩み】
 農機部門=大規模・スマート化の進む日本の農業に対応し、製品ラインアップを拡充。園芸市場や米以外の穀物など新市場にも目を向け、積極的に新製品を展開。
 産機部門=冷暖環境でのユーザーニーズに応え、デザインを一新した大型冷風機をラインアップ。熱機器では電気ヒーターWPSをシリーズ化し、灯油から電気までの品揃えを充実。
 海外部門=海外子会社が軌道に乗り、東南アジアへの販売が増加。アメリカ大陸での市場開拓を強力に推進中。
 物流管理部門=ユーザーニーズに対応するべく、即納体制を強化。全国への出荷中継点新設と、保守部品在庫管理システム導入により、顧客満足度の向上に大きく貢献中。

 
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  活発に春の展示会/ホソダ  
     
   (株)ホソダ(河口淳子社長・埼玉県春日部市8の1593)は7、8の2日間、本社において「2025春の展示会」を開催した。
 会場にはトラクタ・田植機・コンバインなど約30台が展示された他、協賛企業30社の最新機器や営農情報を発信するなど、農家の立場に立った提案を行い、日頃の感謝を込めた活気あふれる展示会となった。
 今回は大特価セールと銘打ち、草対策に向けた各種草刈機、米価高騰により高温障害、カメムシ対策などで注目されている色彩選別機などを台数限定で販売し、好評を博した。
 展示会の目玉企画としては、恒例の中古大特価抽選会を開催。トラクタ・田植機・コンバインをはじめ、作業機、管理機、草刈機、精米機、籾すり機などの中古機を50台以上取り揃えた。展示会2週間前から店頭に展示し、誰でも確認することができ、購入希望者は展示会初日に希望を出し、抽選となった。中古機は全て同社が下取りし、修理・整備したもの。県外からも見に来る人がいるなど、顧客からの高い信頼を得ている。
 河口拓也専務は「米価の高騰により、農機の動きが活発になっている。多くの方に来場していただけるよう、大特価セールや中古機抽選会などを企画した。展示会後にはアフターフォローをしっかりと行い、取りこぼしのないようにしていきたい」と述べた。
 特設会場では、トラクタ・田植機のメンテナンス講習会を開催し、春作業前に自分でできる簡単メンテナンスのポイントを紹介した。講習会は立ち見が出るほどの盛況ぶりで、セルフメンテナンスへの関心の高さが伺えた。
 河口社長は「今年は来場者数も多く、皆さん元気で活気にあふれた展示会となった。我々は常に、儲かる農業、楽々農業、続ける農業をテーマに活動している。お客様のためになる提案を今後も続けていきたい」と、新シーズンに向けた意気込みを語った。

 
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  ファーマーズ&キッズフェスタに出展/井関農機  
     
   井関農機(株)(冨安司郎社長)は1、2の両日、東京・渋谷区の代々木公園イベント広場で開催された「ファーマーズ&キッズフェスタ」に有人監視型大型ロボットトラクタ「TJW1233」、コンバイン「HJ6130」、ロボット田植機「PRJ8DR」など大型農機を出展、日本の農業、食卓を下支えする農機のパフォーマンスを大都市の消費者にアピールした。また、5月から発売予定のEGO社(中国)の電動乗用芝刈機、電動高圧洗浄機、電動ブロアの電動商材を出展し、環境問題など社会課題への関心が高いとされるZ世代に対して環境への取り組みをPRした。
 同フェスタは、公益社団法人日本農業法人協会が主催する体験型イベントで、「日本のプロ農業者が集い、子どもと農業をつなぐ架け橋として都会の子どもたちに元気なニッポン農業を発信するイベント」(主催者)。農林水産省、経済産業省、文部科学省、総務省、消費者庁、東京都、日本GAP協会などが後援している。初日は好天に恵まれ、午前から気温が上昇、20度Cを超えて一気に春が来たような陽気で、上着を脱いで会場を回る人が目立ち、主役の子どもたちは半袖姿で元気に飛び回っていた。
 初日には、冨安社長、石本徳秋執行役員営業本部長((株)ISEKI Japan社長)が会場を訪れ、スタッフを激励した。今回はスタッフに同社のコーポレート部門の社員が多く参加したという。
 恒例行事としてすっかり定着したトラクタ記念撮影コーナー(今回はブルーメタリック塗装のロボットトラクタ「TJW1233―R」)には親子連れが並び、中には大泣きする幼児もいて、子どもの視線を取るスタッフはぬいぐるみの人形で「はいチーズ」の連呼。
 農機展示コーナーは、当然ながらトラクタ、コンバイン、田植機の実機を見るのは初めての人ばかりで、子どもも大人も大満足の表情で写メを確認していた。
 また、今回初出品したEGOの電動商品は、北米、欧州でヒットしているとのこと。同社では、すべての技術適合マークが取得でき次第リリースする予定で、現在皇居外苑、企業緑地に貸出し使ってもらっているとのことだ。コーナーを担当していた同社の高野重幸販売企画推進部長は「来場者は環境問題に敏感な人が多い印象。クルマの電動化が進んでいることもありますが、バッテリがどれくらいもつかなど関心が高かった」と話す。
 一方、ISEKIの機械が登場することで話題のゲーム「ファーミングシュミレーター2025」(プレーヤーが農業主となって広大な土地でリアルな大規模農業体験が可能な農業シュミレーションゲームとして世界中で人気のゲーム。実在する農機メーカーの車両や農機具を使用し、農業だけでなく畜産、林業を中心とした幅広い農業経営が体験できる)の試遊コーナーは、1日20件の予約を受け付けたが、2日とも完売した。ゲームの中にトラクタ「TJW1233」、田植機「PRJ8D」、コンバイン「HJ6130」が登場するが、大人でも難しいとの声がもっぱらだった。
 今回は昨秋からの令和の米騒動がまだ収束していない時期だけに、参加者からは、「農業、お米がこんなに話題になることはあまりいいことじゃないですよ。普段から農業の大切さ、農家への感謝を忘れてはいけないでしょう」(世田谷区・30代のサラリーマン)、「取引先がファーマーズマーケットに出品しているので見に来ました。身近なところで米問題が起こり、当たり前に手に入ることが、そうではないことに気づかされました」(千葉市・30代の男性)などの声があがった。

 
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  省エネで経産局長表彰/ISEKI M&D  
     
   (株)ISEKI M&D(酒井正弘社長・愛媛県松山市馬木町700)は、2月7日に開催された令和6年度省エネ月間四国地区表彰式(一般社団法人日本電気協会四国支部四国地方電力活用協議会主催)において、エネルギー管理優良工場等として「四国経済産業局長表彰」を受賞した。
 本表彰は、エネルギーの有効利用に顕著な功績のあった工場・事業場および個人を対象に、四国地方電力活用協議会会長および四国経済産業局長が、省エネルギー月間に表彰するもの。
 今回の受賞は、(株)ISEKI M&DにおけるA重油・LPGからLNGへの燃料転換、コージェネレーションシステム導入、操業負荷に応じた設備の計画停止等の功績が称えられた。

 
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  東京オフィス開設/デンソー  
     
   (株)デンソー(林新之助社長・愛知県刈谷市昭和町1の1)は、1月に東京都港区に新たに東京オフィスを開設した。
 同オフィスでは、同社の営業・技術・新事業・広報・渉外・ITなど社員約1000人が集い、共創する。
 2月28日には東京オフィスで、東京エリアにおける同社の取り組みの紹介及びオフィスの見学会が開催された。
 共創スペース「集(TSUDOI)」で行われた説明会では、経営役員・東京支社担当の横尾英博氏が東京エリアの概要を紹介。「人・情報の集積地である東京で、産官学・顧客・他業界を含むパートナーとの連携を強化していく。これまで東京エリアは6拠点あったが、新橋・虎ノ門と羽田の2拠点に集結した。どこからでもアクセスしやすい地の利を生かし、社内外のパートナーとの共創により製品及びソリューションの新たな価値を生み出し、社会に貢献していく」と東京オフィスの使命を説明した。
 また同オフィスのコンセプトを紹介。
 ▽共創の促進=社内外で多くのコラボレーションを生み出す。
 ▽基盤の共通化=バックオフィス機能を一元化し、効率化を図る。
 ▽地域への貢献=地域社会から信頼・共感される地位の一員となる―などを説明した。
 その後、東京におけるソフトウエア開発・AI研究・SoC開発・フードバリューチェーン事業の推進などについて、それぞれの責任者が説明した。
 【東京オフィス概要】
 ▽住所=〒105―0004 東京都港区新橋4の3の1 新虎安田ビル

 
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  国際会議でサステナブル関連発信/ヤマハ発動機  
     
   ヤマハ発動機(株)(静岡県磐田市新貝2500)は18~19日に東京国際フォーラムで開催される「第9回サステナブル・ブランド国際会議2025東京・丸の内」に初参加し、ブース展示に加えて19日には同社の青田元執行役員経営戦略本部長が全体会議で「ヤマハ発動機の歴史と未来をつなぐサステナビリティの旅」をスピーチ。また、ランチセッションや他社とのパネルトークなどを予定している。
 ブース展示では、同社の製品第1号であるモーターサイクル「YA―1」、グローバル化の原動力ともいえる船外機「P―3」の実物展示、(株)ヘラルボニーのアーティストによってドレスアップされた電動車いすの試乗体験展示などを行う。
 同会議は、世界各地で開かれ、グローバルで活躍するサステナビリティのリーダーが集うコミュニティ・イベント。持続可能性を議論し、ネットワークを広げる場として最も長い歴史を持つ会議の1つになる。
 同社は、イベント参加を通してどのように同社が人の幸せに貢献してきたのか、また、これからどのように人の幸せに貢献したいのかを発信する、としている。

 
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  未来の汎用プラットフォームロボ、関西万博パビリオンで世界初公開/クボタ  
     
   (株)クボタ(北尾裕一社長)は10日、4月13日から大阪・夢洲で開催される2025年日本国際博覧会に、プラチナパートナーとして協賛するパビリオン「未来の都市」で、未来の「汎用プラットフォームロボット(Versatile Platform Robot)」のコンセプトモデル「Type:V」と「Type:S」を公開した。Type:Vは農業の完全無人を実現するプラットフォームロボットで世界初公開。クボタの展示ブースはHall Cに設けられており、そこで未来の食と農業の姿を表現する。
 公開に先立ち、同パビリオン前でテープカットが行われ、出席した北尾社長が協賛社を代表し挨拶した。北尾社長は「万博のコンセプトは未来社会の実験場である。未来都市ではどんな知恵が生かされ、どんな幸せが生まれるのか。私たち企業はどのような知恵やテクノロジーでこの社会課題を解決し乗り越えていくのか。その問いに向かい続け、1つの答えが今日ここに完成した。会期中は世界中の子どもたち、また経験豊かな大人たちに、見て触って感じていただき、新たなアイデアが生み出されることを期待している」と述べた。
 パビリオン・未来の都市は、全長約150メートル×幅約33メートルの巨大な建築物で、入口から順番に「Hall A」「Hall B」「Hall C」の3ゾーンに分かれており、共通展示と共に協賛した12社が様々な展示を行う。クボタの展示ブースは最後のHall Cに設けられ、そこで未来の食と農業の姿を表現する。未来に続いていく地球と人に優しい「食と農業」の実現において、完全無人化、そしてデータを活用した精密農業をはじめとする環境負荷の低い新しい農法の確立をテーマに、そのキーテクノロジーとして汎用プラットフォームロボットであるType:Vを展示する。
 同社展示ブースのセレモニーにおいて北尾社長は「これからの農業において重要な役割を果たす未来のコンセプト機を世界初でご紹介します」と述べ、Type:Vにかけられたベールを取った。その機体が現れると、取材陣から拍手が沸き起こった。背景に設置された大型スクリーンでは同ロボットやType:Sが圃場や果樹園で活躍する姿がCGアニメーションで映し出された。同社長は「Type:Vは作業に応じて車体の高さや幅を変えることができ、1台で多くの用途に使用することが可能だ。また数台のロボットが互いに協調して作業することにより、効率良く作業を行う」と説明。現在も研究開発が進んでいるとし、大阪府堺市に開設したグローバル技術研究所で実演デモの開催も計画中だと述べた。
 Type:Vは農業の完全無人を実現するプラットフォームロボットだ。北尾社長の説明にあった通り、特徴は、作物の生育状況や栽培の間隔、作業内容に応じて車体の高さや幅などを変形することができ、各作業に適したインプルメントを自動で付け替えることで、1台で多くの用途に使用することができる。
 北尾社長はセレモニー後の囲み取材で、見学した子どもたちに伝えたいことは?と記者から問われ、「今回は古代からの食料を弁当という形で展示した。これは人間に必要な食料の歴史を知り、それを支える農業の将来を一緒に考えてほしいというメッセージ」だと答えた。同ブースでは大スクリーンを使用して、理想の農業を実現できるゲームなども展示しており、子どもたちに向けて未来農業を考えるきっかけとなればと述べた。
 また、完全無人の農機はどんな暮らしを実現するかと尋ねられると「農業従事者は田んぼや畑のそばに住まないという、新しいライフスタイルが生まれるのではないか」と答え、未来の都市に想いを馳せた。

 
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  春のきらめきクボタの日で新しい農業を提案/関東甲信クボタ  
     
   (株)関東甲信クボタ(冠康夫社長・埼玉県さいたま市桜区西堀5の2の36)は2月28日と3月1日の2日間、千葉県香取郡の多古流通センターで、多古・神崎・小見川の3営業所合同、また、3月5、6の2日間、栃木県塩谷郡の道の駅たかねざわ・元気あっぷむらで、矢板・宇都宮・真岡・芳賀の4営業所合同による展示会「2025年春のきらめきクボタの日」を開催した。
 同社は2月から4月まで管内各地で「2025春のきらめきクボタの日」を開催しており、同社が推し進めるICT農機・ソリューションを提案するとともに、各地域に合った農機を紹介し、多くの農家に作業能率の向上・省力化・経営規模拡大など新しい農業のカタチを提案している。
 「春商戦を目前に、第1四半期の目標達成と4月度の受注獲得に向けて、良いスタートダッシュが切れれば」と第1営業部長兼第2営業部長の長嶋純氏。売上げの山場づくりの一環として同展示会を位置付ける。
 昨年に引き続き、2月28日と3月1日に多古・神崎・小見川の3営業所による合同で開催した展示会は天気に恵まれ、両日とも多くの農家が詰めかけ、活気ある展示会となった。
 会場にはトラクタMR1000、田植機NW8、DR6130などの大型から小型クラスの農機までを展示。その他作業機、耕うん機、草刈機などを取り揃え、作業の効率化、低コスト化を実現する機械や最新の情報を提案した。
 昨年からの米価格の高騰により、農家の農機に対する購買意欲は高まっているようで、会場では積極的に商品を確認し、担当者に質問をする人が多かった。
 小見川で米を作っている40代の男性は「15ヘクタールを1人で管理している。今後も請け負いなどで管理圃場を拡げていく予定。今すぐには買えないが、今後に向けて田植機、コンバイン、トラクタを見に来た」という。
 また、香取市で10ヘクタールの稲作をしている40代の男性は「昨年は父が病気になり、急きょ1人で圃場を管理した。雑草にやられ失敗してしまい、米価高騰の恩恵は受けられなかった」という。今年は万全の体制で行うため、除草関連の機械を入念にチェックしていた。また、ロボット田植機の導入も考えているという。
 多古営業所の仲智成所長は「米農家の方々の購買意欲が高い。昨年は稲刈りが終わってからコンバインが売れた。あんなことは初めて。今年はその反動が見られると思ったが、その影響は感じられない」と、展示会を機に新シーズンに向け、取りこぼしのないようしっかりとフォローしていくとした。
 また、矢板・宇都宮・真岡・芳賀の4営業所合同による展示会の開催初日は、朝から小雨が降るあいにくの天気となったが、オープン早々、多くの来場者で賑わった。水稲農家の70代の女性は「雨でも関係ない。毎年、楽しみに来ている」と言い、前日の雪が残る肌寒い朝でも、会場には活気があふれた。
 入口を入って最初に目につくのが、マルチシードローラーとショートディスクを装着したトラクタ。その横には、昨年10月に発売したNW80Sシリーズのアグリロボ田植機や乗用田植機が並ぶ。小型から大型まで取り揃えたトラクタや作業機、管理機、草刈機などのほか、水稲と酪農が盛んな土地柄に合わせ、リバーシブルプラウなど乾田直播に関連する各種インプルメントや、酪農で活躍するパワーカットロールベーラなどもラインアップし、来場者の期待に応えた。
 管理機の中では「ニューベジマスターTA801N」をおすすめ型式として展示。幅広い野菜の植え床に対応することなどをアピ―ルした。
 最近の需要動向について長嶋部長は「自動操舵やICT関連農機に興味を持つ人が増えていることを実感している」という。今後の需要拡大に期待をかける。

 
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  拠点別展示会が盛況/新潟クボタ  
     
   (株)新潟クボタ(吉田丈夫社長・新潟県新潟市中央区鳥屋野331)は7、8日の両日、展示会「2025春のきらめきクボタの日」を県下各営業所で実施した。各会場では春需要に向けて、積極的な顧客対応を行い、本格商戦をスタートさせた。吉田社長の展示会への意気込みや今季の見通しなどを聞くとともに、五泉、新津、南新潟、長岡の4営業所を巡り、各所長を取材した。
 今回の展示会の社内コンセプトとして「地域のお客様と共に一歩先の農業へ!」を掲げ、(1)受注先行による善循環のための新規受注の確保(2)KSAS・自動操舵をはじめとしたスマート農業のPR(3)今年より新体制となった第一営業本部と第二営業本部が連携して、農機以外の見込みを全社一丸となっての需要を獲得(4)スーパー担い手農家へのアプローチ強化―に取り組むイベントと位置づけた。具体的な重点取り組みとして、新型GSトラクタ、新型田植機の推進や各事業部門は展示会で訴求したい商品を企画し、各拠点と連携したうえでの展示、RTK基地局をPRすることによる自動操舵の推進と利用申し込みの獲得を目指す。展示会における成約目標は、各営業所の3月度計画の70%に設定した。
 五泉営業所(萬歳和則所長を含め12名・五泉市木越)は、今回の展示会での動員目標350人、実績目標5250万円。水稲の他、里芋、ネギ、レンコン等野菜農家も多く経営規模も個人から法人まで様々。それでも、米価の上昇でコンバインの動きは良好だった。また、「足で農家を回り、雑談の中からニーズを拾っていきたい」とも話す萬歳所長。この展示会では自動操舵や新型のGSトラクタを強く推進する。「昨年から農家の関心の高さを感じている。自分たちの知識不足を痛感しているので、講習を受けたり、実際に使ってみて、自信を持って提案したい」と述べた。
 一方、アグリロボはトラ・コン・田で1台ずつ計3台が稼働しているが、農機投資に消極的な農家が多いため、サービスに力を入れて粗利を確保していく方針。「昨年試行錯誤した結果、サービスの段取りが良くなり、生産性が向上して、少ない人数で対応できるようになった。雰囲気も良い」と自信を覗かせた。
 新津営業所(長谷川圭史所長含め12名・新潟市秋葉区)は動員目標320人、実績目標5200万円。水稲がメーンの地域であったが、園芸や小麦も出始めた。昨年の米価高騰を受けて、購買意欲も高まっており、それを受けて自動操舵やGSなどのスマート農機を推進していく。また、離農して集約が進み、個人でも、20~30ヘクタール、法人であれば50~70ヘクタール規模の農家が出てきて大型化が進んでいる。一昨年、RTK基地局の整備で自動操舵装置3台の導入に結びついた後、踊り場となり、今年になって3台導入と、勢いを取り戻した。
 長谷川所長は「米価の上昇やセールスによる訴求もあったが、やはり今後の大規模化を見越したニーズがある。実演機を用意してPRしていきたい」と話す。また、一方で半数以上を占める3、4ヘクタール規模の農家に対し、トラディショナルな機械も推進。地域のキーマンとなる担い手農家には、スマート農機やKSASを提案していく。みどりの食料システム戦略貢献部の協力も得ながら、KSASに加入しているが、活用しきれていない農家に対しての推進も行う。アグリロボはトラクタ2台、田植機1台。補助事業で申請中のロボットコンバインも。研修受講を通じ、知識の習得も行いながらスマート農機の拡販を目指す。サービス面では、時期終わりの点検整備が習慣化しており、いかに効率よくこなすかが重要と長谷川所長。社内の管理ツールで工程管理を行い、作業の最大効率化を図る。
 最も高い売上規模である南新潟営業所(末武孝明所長含め20名・新潟市南区)は、動員目標390人、実績目標7910万円。栽培作物も水稲から果樹、枝豆、スイカ、ネギなど幅広く、セールスも作物に特化した知識を持っている。展示会では自動操舵や新型GSトラクタ、KSASやザルビオなどスマート農業関連を強く打ち出した。個人で30ヘクタールを営農し、MRクラスのトラクタを購入する層も存在する。「集約化で経営規模が拡大し、春製品だけでなく、秋製品にも気を配り、当用期に物がないということのないよう、視野を広げて推進していきたい」と末武所長。これまで機械購入を我慢していた農家も、米価の上昇も手伝って、購買意欲は高めだとも話す。自動操舵は、実演機を用意し、年末に立て続けに2台導入が決まるなど、農家の間に浸透してきている。
 また、栽培作物に応じて、小型から大型まで様々な機械需要があるため、幅広くニーズを拾いながら、トラクタを複数台所有する農家に、後付け自動操舵の推進も行っていきたい考えだ。そこに実演を絡めて、20代の若手社員の育成も同時に行っていく。サービスマンが、セールスにつなぐ営業をして若手セールスを支えるなど、チームワークの良さを活かして目標達成に尽力する。
 長岡営業所(中村征樹所長含め13名)は、動員目標470人、実績目標4800万円。水稲メーンながら、大豆や麦の転作も。法人が多く、規模も30~100ヘクタール。個人でも最大で20ヘクタール。昨秋から年末にかけて、税金対策による需要で、畦塗機、オフセットモア、色彩選別機、ドローンなどが動いた。また、ドローンの稼働数が多く、営業所には十数台の点検待ちの機体が並んでいた。アグリロボも2台稼働。中村所長は「JA全農にいがたが米の仮渡金を異例の早さで、2万3000円を示したことにより、さらなる需要喚起につながっている」と話し、初日の午前中だけで300人が来場する盛況ぶり。展示会全体の訴求をスマート農機として、アグリロボ展示の他、管内農家からも様々な機械を借りて並べ、今注目の直播関連なども用意した。自動操舵は補助事業を活用して5台を申請中。その他、新型GSトラクタ、新型GS田植機もすでに今年動いている。
 修理整備は手が足りないほど。ホビー農家からの依頼を含め、様々な依頼が舞い込むが、ベテラン、中堅のサービスマンが確実な仕事で営業所を支えている。
 南新潟営業所の応援に駆け付けた吉田社長は、米価上昇を受けて業績が好調であることを明かした上で、「大量動員によって、可視化されていない見込みも出てくる」と述べ、担い手にフォーカスするだけでなく、小規模農家の需要も取りこぼさない姿勢で臨むとした。KSAS加入により無料で利用できるRTK基地局は県内13カ所。加入数を増やすフェーズから移行し、活用上位層への引き上げを今年以降は働きかける考えだ。自動操舵やアグリロボなどのスマート農機は人手不足解消、生産コスト低減、環境負荷低減に寄与する技術として基地局利用とともにPRする。
 その推進のため、同社のみどりの食料システム戦略貢献部がKSASの活用法や実務的な設定などのサポートに当たることで、現場セールスの教育とともに、農家へのサポートも行っていく。米穀事業の拡大により、過去最高売上げとなる172億4000万円を記録。
 他方、売上高の設定が難しくなる中、今年から、農機を中心とする第一営業本部と、米穀、車両、施設を中心とする第二営業本部との組織分割を行った。米価の上昇を受け、輸出米の確保が難しくなっている側面もある。このような背景から売上げ至上主義から、受注、売上げ、粗利のトリプル達成という新たな指標にシフト。各営業所長にも徐々に浸透してきた。
 また、第一営業本部では、営業方針と推進策に加えて、教育研修にも気を配る。教育研修により、製品への理解を深め、自信をもって提案できる態勢を構築していく。そのための施設として、NKファーム村上に研修圃場となる「アグリベース」を新設し、実演機を自由に使用できる環境を整えた。販売台数の減少で若手社員の乗車機会の減少を補い、自信をもって販売できるようサポートする。
 さらに、新潟クボタらしさ、新潟クボタの存在意義を全面に出せるような、新たな販売戦略や売り方、商品力を通して向上させていきたいとも述べている。

 
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  トラクタ第一事業推進部長に岡田氏/クボタ・4月1日付人事  
     
   (株)クボタ(北尾裕一社長)は14日、2025年4月1日付人事を発表した。内容は次の通り。
(2025年4月1日) 〔機械統括本部〕
 ▽兼機械海外総括第一部長 機械海外総括第二部長益田有恒
 〔トラクタ事業部〕
 ▽トラクタ第一事業推進部長 岡田裕二郎
 〔エンジン事業部〕
 ▽エンジン生産技術部長 八幡和英
 〔建機事業部〕
 ▽枚方製造所業務部長 後藤謙吾
 〔その他〕
 ▽クボタノースアメリカコーポレーション出向(機械海外総括第一部長)朱膳寺尚貴
      (敬称略)

 
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  地域農業、次世代技術に対応/農研機構・農業機械技術クラスター総会開催  
     
   農研機構農業機械研究部門(長崎裕司所長)は7日、埼玉県さいたま市の同所はなの木ホールで、令和6年度農業機械技術クラスター総会を開催した(Web併用)。会議では、農業機械技術クラスター活動報告、標準化・共通化推進委員会報告(農機APIに関する取り組み)や、クラスター事業完了課題報告として(1)雑穀類対応コンバイン(2)両正条田植機(3)かんしょの作付け拡大を支援する高能率収穫体系(4)ヤマトイモ収穫作業機械化体系―の開発に関する発表が行われた。また、総会終了後は、構内で、これら開発機械の展示と説明が行われた。
 総会では、長崎所長が開会あいさつし、「農機研では、生産性向上、環境対応、安全対策などの技術開発をスピード感をもって進めていく」と今後の取り組みについて述べた。
 クラスター活動結果及び次年度活動方針報告は、機械化連携推進室の大森弘美氏が行い、令和6年度実施課題として「地域農業機械化支援タイプ」=▽雑穀類対応コンバインの開発▽かんしょの作付け拡大を支援する高能率収穫体系の開発▽ヤマトイモ収穫作業機械化体系の開発▽らっきょう収穫機の開発、「革新コア技術実用化タイプ」=▽高湿材適応コンバインの開発▽小型電動農業機械用バッテリー保持機構の開発、「次世代革新基盤技術タイプ」=▽両正条田植機の開発(6面に関連記事)▽土塊・石礫除去装置付きポテトハーベスタの開発、「新技術導入効果実証タイプ」=▽現場改善による農作業安全の実証研究▽ほ場栽培データと乾燥調製データを統合したデータ駆動型水稲作の実証▽農作業安全を考慮した基盤整備事業におけるリスク低減効果の実証―を紹介した。
 また、標準化、共通化推進委員会(飯田訓久委員長)報告(農機APIに関する取り組み)を、機械化連携推進室の野田崇啓氏が行い、協議メンバーとして、芋生憲司(一般社団法人日本微細藻類技術協会)、竹倉憲弘(農研機構中日本農業研究センター)、安東赫(農研機構野菜花き研究部門)、戸谷亨(穀物乾燥貯蔵施設協会)、藤村博志(一般社団法人日本施設園芸協会)、川口尚(一般社団法人日本農業機械工業会)、藤盛隆志(一般社団法人日本農業機械化協会)の各氏を選任したことなどを報告した。
 農業機械技術クラスター事業完了課題報告では、(1)雑穀類対応コンバインの開発(岩手県農業研究センター県北農業研究所・大里速郎氏)(2)両正条田植機の開発(農研機構農業機械研究部門無人化農作業研究領域・山田祐一氏)(3)かんしょの作付け拡大を支援する高能率収穫体系の開発(中日本農業研究センター温暖地野菜研究領域・関正裕氏)(4)ヤマトイモ収穫作業機械化体系の開発(千葉県農林総合研究センター水稲・畑地園芸研究所・維谷圭子氏)の4名による発表が行われた。
 実機の展示では、雑穀類対応コンバインは三菱マヒンドラ農機(株)、かんしょ収穫機はヤンマーアグリ(株)、ヤマトイモ収穫機は(株)ロブストスから説明が行われた。

 
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  両正条田植機の開発順調/農研機構・6年度研究報告会  
     
   農研機構は6日、埼玉県さいたま市北区の農研機構・はなの木ホールで、令和6年度農業機械研究部門研究報告会を開催(オンライン併催)し、約270名が参加した。当日は、農林水産省からの情勢報告などの後、同部門の機械化連携推進部、安全検査部、知能化農機研究領域、無人化農作業研究領域、システム安全工学研究領域がそれぞれ研究概要紹介を行ったほか、新たな安全性検査制度などのトピックス解説、さらに現在進行中の個別研究報告などが行われた。
 開会の挨拶に立った同部門所長の長崎裕司氏は、現在注力している取り組みとして、小型農機の電動化や農機のオープンAPIなどをあげた。このうちオープンAPIについては、昨年8月に農機API共通化コンソーシアムという新たな枠組みをつくり、ICTベンダーや農機メーカーとの連携を強化して、データ利活用の成功事例増加を推進しているとした。
 また、開発事業と並ぶ大きな柱として農作業安全をあげ、令和5年度の農作業死亡事故について言及。「農業機械が関係するものが、死亡事故全体の3分の2を占めている。今後も農林水産省と協力しながら、農作業事故の調査、安全啓発システムの普及、研修活動の支援などを行っていく。それとともに、4月からは新たな基準での安全性検査を進めることとしており、引き続き、農作業安全対策に努めていく」と、死亡事故減少に向けたさらなる取り組みに意欲を示した。
 農林水産省からは、大臣官房政策課技術政策室課長補佐の本間佳祐氏と、農産局技術普及課課長補佐の宮本英尚氏が登壇。本間氏はスマート農業技術活用促進法の概要や認定事例の紹介などを、宮本氏は同法を踏まえた農業支援サービス事業者の育成・活動の促進やみどりの食料システム戦略への対応などを、それぞれ解説した。
 その後、関係者の関心が高い「令和7年度開始の新たな安全性検査制度」と「両正条田植機と直交機械除草技術の開発動向」の2つをトピックスとして取り上げ、各担当者が詳細を説明。開発動向においては、両正条田植機の植付位置精度が開発目標である±3センチ以内を達成したことや、直交機械除草技術を活用した除草率が試験区で2年連続90%以上になっていることなど、市販化に向けた動きを伝えた。

 
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  冠範之会長を再選/全農機商連・通常総会  
     
   全農機商連は5日、東京・新橋のホテルで第69回通常総会を開催し、一連の議案を原案通り可決・承認した。任期満了に伴う役員改選と、その後の理事会において、冠範之会長(愛媛県農機具商組理事長)を再選した。また、副会長の木村英男(群馬)、大橋健太郎(福岡)の両氏、専務理事の田中宏樹氏も再任となった。新理事に吉田行雄(滋賀)、吉田忍(熊本大分)の両氏が就任し、橘栄治(北海道)、白井秀明(愛知)の両理事は退任した。
 総会は、木村副会長の開会の言葉に続き、冠会長があいさつ。地域農業に果たす農機販売業の役割が増しているとし、活発な活動を呼びかけた。来賓として、農林水産省農産局技術普及課生産資材対策室長の土佐竜一氏が祝辞を述べ、同会の取り組みに期待した。
 6年度の共同購買事業は前年比6・6%増の5億6100万円。夏以降のホシザキ玄米保冷庫の需要急増が貢献した。売上高上位5商組は、兵庫、福島、福岡、熊本大分、佐賀長崎。
 会員の状況は、三重商組と大阪商組が昨年解散し、39会員となった。
 総会終了後は、2024年度購買事業表彰が行われ、売上増達成組合を代表して、岩手商組の田中和彦理事長、売上高上位5商組を代表して福島商組の橋本盛光理事長が、冠会長から記念品を贈呈された。

 
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  省力・低コスト技術実証/新稲作研究会成績検討会を開催  
     
   公益社団法人農林水産・食品産業技術振興協会(藤本潔理事長)は5日、東京・茅場町の東京証券会館(オンライン併催)で、令和6年度新稲作研究会(丸山清明会長)成績検討会を開催し、水田営農を支える省力・低コスト技術などの実証成績が報告された。
 冒頭、あいさつに立った丸山会長は「新稲作研究会は昭和47年に発足し、今年で53年目になる。これからも、現場のニーズの進展を踏まえた取り組みを進めていく」と述べた。続いて、来賓として農林水産省大臣官房生産振興審議官(兼農産局)の佐藤紳氏、ヤンマーアグリジャパン(株)顧問の石原淳氏がそれぞれ祝辞。佐藤審議官は「新稲作研の取り組みは、水田政策の見直しなどを行っている農政と軌を一にしている。農業技術の高位平準化を図るためにともに歩を進めていきたい」と述べ、石原顧問は「水田政策が見直される中、水田営農を支える省力・低コスト技術、水田利活用技術の確立の成果が楽しみだ」と期待を寄せた。
 講演は(1)「これからの米政策と水田農業」=農林水産省農産局穀物課課長補佐(稲生産担当)佐々木敏晃氏(2)「スマート農業時代のかんしょ栽培」=鹿児島大学農学部特任教授・杉本光穗氏。
 分科会は(1)「水田営農を支える省力・低コスト技術、水田利活用技術の確立」のうちレタスを除く6課題及び子実用トウモロコシ(2)「高品質・高付加価値農産物の生産・供給技術の確立」のうちカンショ、サトイモ、ブロッコリー、ブドウ関係(3)レタス及びタマネギ、カボチャ、ネギ等の合同分科会(4)「環境保全を配慮した生産技術の評価・確立」(5)「情報処理等先端技術の活用による高生産システムの確立」。

 
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  創立60周年の記念式典/秋田県商組  
     
   秋田県農業機械商業協同組合(白石光弘理事長)は11日、秋田市内のホテルで創立60周年記念式典及び祝賀会を開催し、地元関係者、業界関係者など80名以上が参列した。
 打矢正敏副理事長による開式の言葉の後、物故者への黙祷が捧げられ、続いて白石理事長が主催者挨拶で登壇。来場者に謝意を述べた後、「昭和39年に設立され、本年60周年を迎えられることは誠に感慨深い。当時は東京オリンピックの好景気で日本中が沸き立ち、大潟村の開村などもあり、農業情勢も大きく変化した時代で、本格的な農業機械の導入により、省力化農業の始まりでもあった。業界でも販売実績が伸長すると同時に、多様な問題を抱え、その解決のための業界団体の組織化は必要不可欠だった。創立以来60年の長きにわたり、農機業界のまとめ役、調整役としての役割を担ってきた。近年は会員や関係者の協力により、購買事業も順調に推移している。また教育活動にも力を入れ、将来の担い手となる人材育成のための研修である『アグリ21クラブ』にも惜しみない支援をしてきた。今年度は同クラブに次世代部会を設け、若手後継者の育成にも活動の幅を広げている。今後はスマート農業の発展にも寄与できるよう情報の的確な周知に努め、資機材の紹介を通し、協定会社や組合員とともに発展できる組合を目指し、努力を重ねていく」と語った。
 来賓の佐竹敬久・秋田県知事の代理で秋田県農林水産部水田総合利用課の大友秀樹課長、全農機商連の冠範之会長の代理で田中宏樹専務理事、秋田県中小企業団体中央会の藤澤正義会長の代理で加藤謙太事務局長が祝辞を述べ、60年の功績を称えた。来賓紹介と祝電披露の後、表彰状・感謝状の贈呈が行われた。
 表彰状・感謝状の受賞者は次の通り。(敬称略)
▽全国農業機械商業協同組合連合会会長表彰=打矢正敏(秋田県農業機械商業協同組合副理事長)▽全国農業機械商業協同組合連合会会長感謝状=三輪重則(秋田県農業機械商業協同組合理事)、鈴木勝(秋田県農業機械商業協同組合監事)、近藤晴美(秋田県農業機械商業協同組合理事兼事務局長)▽秋田県火災共済協同組合理事長感謝状=(株)秋田クボタ、(株)黒丸農機商会、中安農機店、藤原農機商会、米澤農機店、(株)加賀屋組▽秋田県農業機械商業協同組合理事長感謝状(共同購買事業協定会社)=(株)ホクエツ秋田営業所、熊谷農機(株)秋田営業所、秋田マッカラー(株)、(株)丸山製作所秋田営業所、(株)冨士トレーラー製作所秋田営業所▽秋田県農業機械商業協同組合理事長感謝状(共同購買事業利用組合)=(株)秋田クボタ、(株)ISEKI Japan東北カンパニー、ヤンマーアグリジャパン(株)東北支社北東北営業部秋田、(株)三輪農機、(有)大久保機械店▽秋田県農業機械商業協同組合理事長表彰状(組合員優良職員)=石垣俊之((株)秋田クボタ営業本部副部長)、山内久人(同営業本部副部長兼能代支店長)、戸田修平(同大潟営業所長)、泉隆樹((株)三輪農機)、見田武義((株)丸大工機商会)
 会の最後に、閉会の言葉を中安則光専務理事が務め、改めて参列者へ謝意を表して会を結び、祝宴に移った。

 
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  環境配慮型施設園芸を実証/農研機構など  
     
   農研機構はこのほど、Carbon Xtract(株)、九州電力(株)、双日九州(株)とともに、福岡市で化石燃料の利用を最小限に抑えた次世代の環境配慮型施設園芸の確立に向けた実証事業を開始したと発表した。4者は福岡市の「チャレンジ農園プログラム」で提供される市保有の今津リフレッシュ農園にて、施設園芸におけるCO2施用と加温の2つの装置を電化し、CO2排出量削減に取り組む。具体的には、Carbon Xtractが開発中の、分離ナノ膜を用いて大気中からCO2を直接回収する電気式のCO2施用装置「membrane-based Direct Air Capture」を活用。これにより、ハウス外で回収したCO2のハウス内への供給が可能となる。
 また、九州電力は長年の研究で蓄積してきたヒートポンプ技術を提供し、加温に電気式の装置を利用。農研機構がこれらの技術を組み合わせた最適な栽培技術を確立し、マニュアル化することで、将来的な農業現場への展開を目指す。双日九州は、同実証事業における経済性の評価や事業モデルの検討の役割を担い、実証事業の成果を早期に社会実装できるよう支援する。4者は施設園芸の電化推進を通じて、九州エリアのカーボンニュートラルの実現に貢献していくとしている。

 
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  農作業安全テーマにセミナー/農業食料工学会農機部会  
     
   一般社団法人農業食料工学会(飯田訓久会長)は5日、埼玉県さいたま市の農研機構農業機械研究部門(農機研)研究交流センター2階「はなの木ホール」で、農業機械部会セミナー「農作業安全の現状、そしてこれからを考える」を開催した。農作業安全をテーマに掲げ、農作業事故の実態や農作業安全の考え方、ロボット農機における安全などについて議論したもの。午前には同会場にて、VRによる農作業事故体験会も開催された。
 開催にあたり、挨拶した飯田会長は、自身も農地を草刈りしている時につい横着をしてヒヤリとすることがよくあると語り、使用機械が小さいため何とか制御できるものの、少し大きな機械になるとヒヤリとした時には大きなケガをすることがあるとし、安全はとても重要だと述べた。そのうえで、どうやったら事故を防げるかについて様々な決め事を定めていくのも農業機械や農作業にとって必要なことであり、本日はその一歩となるような有意義な時間にしたいと期待を寄せた。
 また、農機研の長崎裕司所長は農作業安全は農機研の取り組みの重要な柱であると説明。農作業死亡時故のうち農業機械によるものが3分の2と高い割合を占めていることを踏まえ、農業機械そのものの安全性を高めるとともに、農業者への安全研修強化も重要になるなどと挨拶した。
 続いて、▽共済金支払データに基づく農作業事故分析について(全国共済農業協同組合連合会・和泉崇之氏)▽農作業安全の現状と新技術への対応(農研機構農業機械研究部門・志藤博克氏)▽農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドラインのご紹介(農林水産省農産局・皆川啓子氏)▽クボタのロボット農機の安全システムについて((株)クボタ・林壮太郎氏)▽人とロボットの協調安全の実現に向けた課題(産業技術総合研究所・中坊嘉宏氏)―の5講演及び総合討議を実施。
 このうち志藤氏は令和7年度から刷新する農研機構の安全性検査について紹介。同検査には(1)安全装備検査(2)安全キャブ・フレーム検査(3)ロボット・自動化農機検査があり、(3)はロボット(対象:乗用トラクタ、田植機、自脱型コンバイン)と自動化農機(自動操舵機能有り。対象:同)に分かれる。このうち事故が多い乗用トラクタに対する強化として、7年度よりシートベルトリマインダ、インターロック装置、インテンション装置の装備化が適用されるなどと示した。
 一方、林氏はクボタのロボット農機と各農機に搭載する安全システムについて紹介。同社のロボット農機については、自動化レベル1~2まで普及が進んでおり、トラ・コン・田の主要3機種全てでレベル2の目視監視・無人運転可能なロボット農機が販売されている。各農機に搭載される安全システムは、農機側で異常を判断して停止する4つの機能(転倒防止など)、人による監視機能(外部操作リモコンなど)、人・障害物センサー―などを示した。そのうえで、今後の展望として、自動化レベル3の遠隔監視による自動走行(圃場内限定)をあげ、そのためにセキュアな通信や人・障害物センサーの高度化、遠隔地における視認性確保などが必要とし、今後も自動化レベル3実現に向けて進めていくなどと語った。

 
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  ヤンマーがツール開発/都市農業DX推進コンソーシアムがシンポジウム開催  
     
   明治大学特定課題研究ユニット都市農業研究所並びに都市農業DX推進コンソーシアム(研究代表機関:明治大学)は2月28日、神奈川県川崎市の明治大学生田キャンパス及びWebにて、公開シンポジウム「都市農業を支えるスマート技術とコミュニティ」を開催した。農林水産省令和3年度補正「戦略的スマート農業技術等の開発・改良」事業で行った研究成果を報告したもの。
 第1部は「都市農業DXに適するスマート技術の開発」と題して、スマホ、スマートグラス、ドローンを活用した画像認識による情報収集と作業支援の技術について紹介。ヤンマーホールディングス(株)技術本部技術戦略部の宮内俊輔、山屋裕紀、近藤拓也、宮崎智子の各氏は「画像認識による情報取得、作業支援―都市農業向けスマート農業ツールの開発と効果検証」と題して講演した。
 宮内氏らはヤンマーグループ全体の概要に触れたのち、同社もアグリ事業で取り組んでいるスマート農業について説明。農業をめぐる様々な課題を解決する方策として期待が高まるスマート農業だが、都市農業に適した技術は多くないと指摘。それを踏まえて、同社が参画した農林水産省委託事業の研究課題「ネットワークコミュニティーを活用したDX推進による都市農業振興と人材育成」において、都市農業向けスマート農業ツールとして、スマートグラスを用いた農作業支援システム「営農スマートガイド」の開発と、その効果検証に取り組んだ旨を紹介した。
 営農スマートガイドはスマートグラスまたはスマホを用いて農業現場にてそのまま使える作業ガイド。身に着けて作業するだけで、現場の判断や記録・共有をサポートしてくれるもので、初心者や未習熟者、国籍・言語を問わず同水準の作業実施を支援する。▽判断に迷わず収穫作業を可能にする「熟度判定」▽見た目で判断が難しい出荷・選別作業を支援する「形状推定」▽生育状況をらくらく記録するデータマッピング―などの機能を有し、作業支援のほか、グラス装着者が目にしたものを記録していくセンサーとしても活用できる。対象作物はトマトやイチゴなどで、順次拡大しているという。ナスやブドウ、梨、イチゴにおける選別支援や収穫支援、収量予測などに対応するAIシステムを開発し、梨の熟度判定試験では品種別にモデルを作成することで、正答率の向上を確認できたとした。また、自動撮影画像からナスの花数推定を行った検証では、花数は16・2%の平均誤差など一定の成果を得たという。
 宮内氏らはこれらのシステムの利点を活かす利用方法を考案することで、都市農業の現場での省力化や自動化を図ることができ、将来の都市農業DXにつながるのではないかなどと提案した。
 その他、第一部では日本大学の梅田大樹氏、川越義則氏による「ドローン空撮画像の活用」、明治大学の岩崎泰永氏による「環境情報・生育情報の収集と解析」―の講演が行われた。

 
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  経済志向が過去最高/日本政策金融公庫が食に関する志向など調査  
     
   (株)日本政策金融公庫は2月27日、「消費者動向調査(令和7年1月調査)」を実施し、食に関する志向をはじめ、日本の将来の食料輸入や環境に配慮した農産物・加工食品の購入について調査を行い、結果を取りまとめて公表した。同調査は今年1月、全国の20~70代の男女2000人を対象にインターネット経由で行ったもの。
 結果概要をみると、食に関する志向は、「経済性志向」45・6%(前回比1・4ポイント増)が平成20年の調査開始以来最高を更新。経済性重視は令和5年7月調査以来40%超えが続いており、高い水準を維持している。年代別にみると、20代と40代で大きく上昇した。「経済性志向」を選んだ理由は「物価が上昇しているから」(54・2%)が最も高く、次いで「他の好きなことにお金を使いたいから」(8・9%)、「将来や老後のために貯蓄を増やしたいから」(8・8%)の順だった。「経済性志向」の行動は「できるだけ安い商品を選んで購入」(73・0%)が最も高く、次いで「セールやポイントカード等を活用し、安く購入」(56・0%)、「必要以上の商品を購入しない」(39・4%)の順となっている。
 また、全体でみると令和6年7月調査に引き続き「経済性志向」「健康志向」「簡便化志向」が3大志向となっており、「健康志向」(44・0%、同0・8ポイント増)は上昇。「簡便化志向」(40・3%、同4・8ポイント増)は、調査開始以来初めて40%超えとなった。年代別では全ての年代で上昇したが、特に70代(前回比9・7ポイント増)や40代(同7・6ポイント増)などで大きく上昇した。
 また、「簡便化志向」の行動は「冷凍食品を活用」(44・3%)が最も高く、次いで「弁当惣菜など、調理の必要がないものを多く購入」(29・5%)、「カット野菜、カットフルーツなどを活用」(28・4%)などとなった。
 3大志向の次に多いのは、「安全志向」15・2%、「手作り志向」及び「美食志向」13・6%、「国産志向」11・5%などとなっている。
 一方、食料品を購入するときに国産品かどうかを「気にかける」割合は66・0%(前回比0・3ポイント減)は前回調査から横ばいで推移。長期的には減少傾向となり、「気にかける」のは年代が高くなるほど割合が高い傾向であった。
 日本の将来の食料輸入についての考えを聞くと、「不安がある」割合は81・2%と高い。不安があるとした理由は「気候変動や自然災害が輸出国における食料生産に影響を与え、必要な輸入量を確保できなくなる懸念があるから」(32・7%)が最多となった。
 他方、農産物購入時、環境に配慮した農産物かどうかを「気にかけている」とする割合は42・1%で、環境に配慮した方法で生産された農産物としてよく購入するものは「地産地消の農産物」(51・0%)が最も高くなった。環境に配慮した方法で生産された農産物を選ぶ理由は「食べる人の健康に配慮しているから」(64・3%)が最も高かった。

 
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  林機展を10月5,6日に宮城県石巻市で開催/林業機械化協会  
     
   一般社団法人林業機械化協会(島田泰助会長)は、今年の「森林・林業・環境機械展示実演会」を10月5、6の両日、宮城県石巻市の仙台塩釜港(石巻港区)雲雀野地区で開催することをホームページ上で発表した。今回は「みやぎ2025第48回全国育樹祭」の開催記念行事として宮城県との共催で開く。協会会員のメーカー等が開発・改良した最新の機械や海外から輸入した機械、高性能林業機械、チェンソー、刈払機、森林情報機器、安全用品など幅広い製品や取り組み、サービスをアピールする。今月13日から出展者の募集を開始しており、出展申し込み期限は4月11日まで。
 「森林・林業・環境機械展示実演会」は、国内唯一かつ最大規模の林業機械の総合展示会として全国に広く知られており、全国育樹祭の記念行事として行われる大型イベントとして定着している。
 ハーベスタ、プロセッサ、フォワーダといった高性能林業機械をはじめ、チェンソー、林内作業車、木材破砕機、防護服やヘルメットなどの安全用品を展示・実演し、その特徴や性能をアピールする場となっている。
 森林・林業・環境機械の普及とその安全使用の促進を目的に1981年から開催しており、昨年は10月20、21の両日に福井県勝山市のスキージャム勝山で開催。80の企業・団体が出展し、1万9000人が来場。最新機種の展示、実演、試乗体験やデモンストレーションなどで魅了した。
 会場では無人作業車や重機の遠隔操作システム、ドローンといったこれからの林業に欠かせないスマート林業の製品や取り組みを紹介するブースも目立ち、バラエティに富んだ最先端の林業機械が一堂に会した。また、ここ数年で造林関連機械の展示も増えてきており、造林作業に特化した多目的造林機やマルチャーなども並んだ。
 今年は10月に宮城県石巻市で開催。開催会場や日時が正式に決まったことから林業機械化協会では、出展企業の募集を開始した。
 出展概要は同協会ホームページhttps://www.rinkikyo.or.jp/news/view/173にアップしている。

 
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  5563億円で4%減/令和5年林業産出額  
     
   農林水産省大臣官房統計部は2月28日、令和5年林業産出額をまとめ、公表した。
 それによると、平成25年以降増加傾向で推移してきた林業産出額は、令和5年は製材用素材等の価格の低下や生産量の減少等から前年に比べ229億7000万円減少し、5562億5000万円となった。前年比でみると、96・0%と落ち込んだ。
 産出額の内訳は、木材生産3257億円(構成比58・6%、対前年比90・4%)、栽培きのこ類生産2199億2000万円(同39・5%、同106・4%)、薪炭生産71億9000万円(同1・3%、同112・5%)、林野副産物採取34億5000万円(同0・6%、同59・9%)となった。
 木材生産の産出額は、平成25年以降、新設住宅着工戸数が堅調に推移したことや、中国への丸太等の輸出量が増加したこと、再生可能エネルギーのFIT制度等の導入に伴って木質バイオマス発電に利用する燃料用チップ素材の利用量が増加したことなどにより増加傾向で推移してきた。
 しかし令和5年の木材生産は、前年に比べ348億円減少した。農林水産省では、燃料チップ素材の利用量及び丸太輸出量は増加したが、新設住宅着工戸数の減少により、製材用素材の価格の低下や生産量の減少などが影響した、と分析している。
 製材用素材等は対前年比15・2%減と大きく後退した。

 
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  電動スノーブレードなど新製品を2機種発表/和同産業  
     
   和同産業(株)(三國卓郎社長・岩手県花巻市実相寺410)はこのほど、新製品の「電動スノーブレードe―SB81」および「インバーター発電機WG3000is」を発表した。発売開始はいずれも6月で、4月1日から予約の受付を始める。前機は操作が簡単な雪寄せタイプの除雪機で、初心者でもスコップ代わりに雪の取り除き作業を進められる。後機は総排気量149立方センチの空冷4サイクルエンジン搭載の発電機。軽量・コンパクトで日常、非常時の電気需要に応える。
 電動スノーブレード「e―SB81」は、同社主軸商品である除雪機の最軽量機種。電動の手軽さ(電源はスイッチ1つ。低速・高速切り替え、前後進切り替えともにスイッチ1つ。速度はレバーの握り加減で簡単調整)を持ちながら、30センチの積雪まで対応できる。フル充電で約60分稼働し、その間に駐車スペース36台分(新雪で積雪量10センチの状況)の除雪作業をこなす能力を持っている。
 雪寄せタイプで、初心者でも気軽にスコップ代わりに使うことができ、ブレードは雪を寄せるために斜めに角度変更が可能で、迅速に除雪・道づくりが進められる。また、両サイドのブレードは工具なしで簡単に着脱、雪寄せの前・横の切り替えがラクにできる。さらに、バッテリー(リチウムイオン電池)の取り外しはカギを解除するだけのワンタッチ。機体収納の際はハンドルをたたんでコンパクト。ハンドルは2段階で高さ調整でき作業者に合わせられるなど、取り扱いは簡単・便利。玄関先や自宅の駐車場の雪かきに重宝する。
 同機の主な仕様は次の通り。
 ▽機体寸法=全長1410×全幅810×全高890ミリ▽装備重量=70キロ▽ハンドル高さ(2段階)=86/91センチ▽除雪幅=810ミリ▽同高さ=330ミリ▽作業面積=540平方メートル/時▽バッテリー=重量2・4キロ、標準作業時間約60分、標準充電時間約8時間(100ボルト電源)、使用温度範囲-20~20度C
 メーカー希望小売価格は税込み28万3800円。発売開始は6月1日で、4月1日から予約を受け付ける。
 インバーター発電機の新製品「WG3000is」は、定格出力3・0kVAながら本体重量を24・5キロ、機体寸法を長510×幅300×高480ミリと軽量・コンパクトに仕上げ、かつ低騒音仕様で、国交省の超低騒音認可を取得している。余裕の18アンペア以上で、一般家電を安心して使える。また、スマートフォンやタブレットなどを直接充電できるUSB給電ポートを備え、ボタン1つで簡単に伸縮できるキャリアハンドル(アルミ製ハンドルとPCV製キャスター)で、移動がラクにできるなどの機能を有している。
 燃料タンク容量は5・0リットル、連続使用時間は最大7・0時間。運転中に操作パネルのマルチメーター右下の表示切替ボタンを押すことで、電圧、アワーメーター、周波数を順次表示できる。標準付属品は直流バッテリー充電用コード、プラグレンチ、ドライバー、じょうご。コンセント形状は▽交流=単相100ボルト(AC30アンペア)、単相100ボルト(AC20アンペア)×2▽直流(バッテリー充電)=DC12ボルト▽USB=DC5ボルト、2・4アンペア×2。
 メーカー希望小売価格は税込みで27万5000円。
 同社は、日常の仕事や非常時など様々なシーンで活躍できる性能、装備を持っているとし、拡販に意欲を示している。発売開始は6月23日、予約受付は4月1日から。

 
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  伐採車両「プラテオ」推進/松本システムエンジニアリング  
     
   松本システムエンジニアリング(株)(松本良三社長・福岡県粕屋郡篠栗町和田5の2の25)は1月から、新製品「林業作業用伐採車両プラテオ」の受注対応を進めている。同機は、中部電力からの依頼を受け開発したもので、電線に倒れかかっている木を切断処理する装置。総重量8トン以下の中型車に積載し、ラジコン操作で安全に危険木を取り除くことができる。
 住宅被害に及んだ岩手県下の山火事は、先々週半ばの降雨でようやく下火になった感があった。気候変動の下、内外で大規模山林火災の模様が報じられているが、その予防措置としても、電線にかかる(かかりそうな)倒木や枝葉の処理は迅速に行われなくてはいけない。
 これらの現場ニーズから、電気のライフラインを守る目的で生み出されたのが「プラテオ」。折りたたみ格納式のローダーは高さ12メートル、水平9メートルの範囲で作業でき、先端には同社開発の「フェラーバンチャザウルス」を装着、グラップル作業、伐倒作業など1台5役の働きを果たす。感電防止の意味を含め、操作は離れた位置からラジコンで行う。車両にはアウトリガー(4式)を装備し作業の安定性を保つ。
 従来は高所作業車を使ったチェンソー作業で危険性が高かったが、同機のシステムにより安全性は格段に向上。さらにオプションの立体映像システム「ティラノグラス」を用いる地上からの遠隔操作で、一層安全を確保できる。
 また、格納姿勢にすればアタッチメントの脱着なしで走行でき、効率よく作業を進められる利点もある。
 松本社長は、ほかの電力会社からも問い合わせが来ているとしながら、人手で行ってきた作業を同機先端部で種々行えるように開発を積み重ねていけば、さらに用途は広がると展望、今後の需要拡大に期待を向けている。

 
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  油圧式マルチャー、1台で伐採と粉砕/丸善工業  
     
   丸善工業(株)(諏訪部行生社長・静岡県三島市長伏155の8)が地拵えや河川敷のメンテナンス作業に最適と普及を図っている油圧式マルチャー「MVM―1000」は、5~10トンクラスのバックホーに適合する木・竹・草の粉砕・刈取機。立木状態での粉砕が可能なため、伐採と粉砕を1台の機械で完結でき、しかも標準刃でそれぞれに対応、専用刃に交換する手間も要らず作業効率を向上させる。
 重量は400キロと同クラスの中では軽量で、切削幅は1000ミリと広いため、安定した作業と効率的な作業を両立。また、飛散防止カバーにより、飛散物による事故や怪我を低減させることができる。
 刃には、切削工具にも使用されているタングステン鋼を採用しており、非常に高い耐久性を持ち、長期間の使用に耐える。使用環境にもよるが、目安として寿命は約1年ほど。さらに、刃はボルトで固定されているため、万が一破損しても、六角レンチと鉄パイプを使って簡単に交換することができる。
 同機のその他の仕様は次の通り。
 ▽外形寸法=W694×D1290×H802ミリ▽立木切断直径=120ミリ▽使用圧力範囲=160~180bar▽最適圧力=180bar▽使用流量範囲~60~70リットル/分▽最適流量=70リットル/分

 
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  新マルチツール発売/工機ホールディングスジャパン  
     
   工機ホールディングスジャパン(株)(吉田智彦社長・東京都港区港南2の15の1)は2月28日から、同社製品初となるスターロックマックスブレード対応の「36VコードレスマルチツールCV36DMA」の発売を開始した。同機は36ボルトブラシレスモーターを搭載、負荷の大きい鋼材などでも切断が可能で、ブレードの振り角を4・0度に拡大したことにより切断速度の大幅な向上を実現。さらにレバー操作だけでブレードの着脱が行える構造とし、ブレード交換を容易化した。スターロックブレードに加え、スターロックプラス規格、スターロックマックス規格のブレードが使用可能になった。
 そのほか、(1)2灯式のLEDライト搭載で横に向けたブレードの刃先も見やすい(2)振動数は毎分6000~2万回の範囲でダイヤル設定できる(3)機構部と外側のハウジングをクッション性のある柔らかいゴムで絶縁することで振動を低減―などの特徴がある。
 機体寸法は長359×高130×幅88ミリ、質量は2・0キロ。充電時間は約19分(実用)/約25分(満充電)。用途は各種材料の切断、ポケット加工、コーキング・タイルなどの剥離、木材などの研磨など。
 希望小売価格は税別で7万3800円。

 
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  ハスク、やまびこがロボットの有効性アピール/ジャパンゴルフフェア  
     
   アジア最大級のゴルフの祭典といわれるジャパンゴルフフェア2025が7~9の3日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開かれ、ゴルフプレーヤー、ゴルフ場関係者など多数の来場者で賑わいをみせた。
 業界からは、芝生管理の効率化、省人化を目指す自律走行型の芝刈機をハスクバーナ・ゼノア(株)(P・ニルソン代表取締役・埼玉県川越市)とやまびこジャパン(株)(水嶋伸介社長・東京都青梅市)が出展し、関心を集めた。
 初出展のハスクバーナ・ゼノアは、新型のワイヤレスロボット芝刈機「CEORA546EPOS」をはじめ「オートモア」オンリーの出展構成で、これも同社初めての試み。会期中はプレゼンテーションステージとして毎日3回、同社の武田恒道東京支店チーフがハスクバーナ・ロボット芝刈機の歴史、「オートモア」の利点、ゴルフ場の各エリアに適したオートモア、そして新製品の、衛星情報を活用したエリアワイヤ無しで稼働する「EPOSシリーズ」の特徴を説明した。
 エリアに適したオートモアについては、▽広く平らなエリア(フェアウエイ、セミラフ、ラフ)=CEORA(刈高の低いカッティングデッキ付属)▽勾配のある複雑なエリア(フェアウエイ、セミラフ、ラフなど)=同550EPOS、550▽勾配の険しいエリア(セミラフ、ラフなど)=535AWD―をそれぞれ推奨。EPOSシリーズに関しては、衛星信号、オートモアの内部センサー、レファレンスステージョンを組み合わせることで誤差わずか数センチの精度で稼働でき、安全性とセキュリティーに配慮した設計、選択可能なカッティングパターンなどのメリットがあるとして、今後の普及拡大に期待を向けた。
 やまびこジャパンは、「ロボットが集球・芝生管理を革新する 人手不足対策・省力化対策・コスト削減に貢献します」を掲げ、「エコーロボティクスラインナップ」の(1)ロボット芝刈機RTKモデル(2)同集球機RTKモデルをアピール。
 (1)では、スタンダードモデルの最大作業面積が1万2000~2万4000平方メートルなのに対し、RTKモデルのTM―1050が4万5000平方メートル、同2050が7万5000平方メートル、また、(2)はスタンダードモデルRP―1200が3万平方メートルなのに比べRTKモデルのRP―1250は4万5000平方メートルと格段にアップ。RTKモデルでは、従来のランダム走行から直進的なパターンでの走行を実現。
 さらにスマホやタブレットを使うWEBシステムにより、刈る・充電などの指示、作業履歴の確認、エラー報告の受信など、利便性が向上していることも強調した。

 
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  新執行役員に足利氏/コベルコ建機・4月1日付役員人事  
     
   コベルコ建機(株)(山本明社長・東京都品川区北品川の5の15 大崎ブライトコア5F)は、4日開催の取締役会で、4月1日付役員人事を決定し、新任執行役員には足利茂城氏(企画管理部長)を選任した。退任する執行役員は絹川秀樹、山崎洋一郎の両氏。退任後、絹川氏は取締役(6月末予定で顧問)、山崎氏は(株)神戸製鋼所の執行役員となる。
 新任執行役員の足利氏は1969年8月生まれ、55歳。1992年3月に明治大学商学部を卒業後、2004年に同社に入社。マーケティング事業本部営業企画部長、企画管理部長などを経て今回執行役員に就任する。委嘱業務は企画管理部長及びグローバルITシステム部担当。4月1日付の取締役、執行役員の役職と新しい委嘱業務内容は次の通り。
 ▽取締役執行役員 平田誠二=内部統制統括部、内部監査部、法務部、総務人事部(安全衛生環境防災グループ除く)、企画管理部、原価企画部、財務部の担当▽執行役員 足利茂城=前記▽同 西岡基司=クレーン事業の総括、マーケティング事業本部の国内事業担当及び同事業本部クレーン営業本部長▽同 西田吉男=アフターセールス本部長及び生産本部、安全衛生環境防災の担当
 顧問の紀藤真治、福田泰宏の両氏は3月31日退任

 
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  4本部5支社体制に/レンタルのニッケン・4月1日付組織改編・役員体制  
     
   (株)レンタルのニッケン(藤良太郎社長・東京都港区東新橋1の9の1)は3日、4月1日付の組織改編並びに役員体制を公表した。組織改編については、付加価値の創出と生産性向上を通じた持続的な成長を実現するために行うとし、現行の6本部(29部)4支社体制から4本部(18部)5支社体制となる。また、支社は社長直轄組織に変わり、本社組織は機能軸による再編を行う。
 支社は北日本、関東、中部、西日本及び海外の5支社。
 役員体制は次の通り。
 (カッコ内は現職、氏名敬称略)
 ▽代表取締役社長=藤良太郎(代表取締役社長)
 ▽取締役常務執行役員営業・開発担当=五番一郎(取締役常務執行役員営業本部長)▽同業務本部長=空中太郎(同技術・サービス本部長)▽同経営企画担当=蒼生一郎(同経営企画担当)▽同管理本部長=宝家太郎(同管理本部長)
 ▽取締役=小濱雅典(取締役)、四方昌志(取締役)
 ▽常勤監査役=吉聴実(常勤監査役)▽監査役=片山二郎(監査役)
 ▽常務執行役員(株)N―LOGIパートナーズ代表取締役社長=小栗太郎(常務執行役員(株)N―LOGIパートナーズ代表取締役社長)▽同支社統括室長=剛太郎(同関東支社長(兼)関東支社管理部長)
 ▽執行役員管理本部副本部長(兼)リスクマネジメント部長=防人守(執行役員管理本部副本部長(兼)リスクマネジメント部長)▽同支社統括室付=青葉太郎(同営業本部副本部長)▽同管理本部副本部長(兼)人事部長(兼)健康相談センター長=情熱一郎(同管理本部副本部長(兼)人事部長(兼)健康相談センター長)▽同管理本部副本部長=綱一馬(同管理本部副本部長)▽同支社統括室付=栄太郎(同EX部長(兼)プラント部長)▽同業務本部副本部長(兼)サービス支援部長=冴太郎(同サービス統括部長)▽同西日本支社長=若士太郎(同西日本支社長(兼)西日本支社商品管理部長(兼)西日本支社管理部長(兼)BPR推進室副室長)▽同業務本部副本部長(兼)資産管理部長=黒鐘太郎(同資産管理本部長(兼)調達部長)
 〈以下は新任役員〉
 ▽執行役員中部支社長=平太郎(中部支社長(兼)中部支社営業部長(兼)BPR推進室副室長)▽同関東支社長=大志抱(データ経営推進室長)▽同開発本部長=烈剛(鉄道部長(兼)東日本鉄道支店長(兼)東日本鉄道営業部長(兼)技術開発部長)▽同情報企画部長=旭太郎(情報企画部長(兼)内部統制部長)▽同デジタル戦略本部長=白鷹太郎(デジタル戦略本部長)▽同海外支社長(兼)海外新規開発部長=純丸太郎(海外本部長(兼)海外新規開発部長)
 〈退任〉弾太郎、東武二郎、天道太郎

 
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  第11回農中森力基金の助成案件、6件を採択/躍進2025林業機械(9)  
     
   農林中央金庫(奥和登代表理事理事長)は10日、「公益信託農林中金森林再生基金」、通称「農中森力(もりぢから)基金」の第11回助成案件として6件を決定し、発表するとともに、2025年度の取り組みとなる第12回助成事業の募集を4月1日から開始することを明らかにした。16件の応募の中から選ばれた6案件には、合計1億4000万円を助成する。それぞれが地域の抱えている特有の課題などの解決を目指すとともに、事業実施態勢の整備などにも取り組む。
 農林中金が進める「農中森力基金」は今回、従来の森林施業の課題である「施業集約化」や「搬出間伐等」の取り組みに加え、森林の空間利用や生物多様性保全に関する事業なども助成できるよう拡充した。
 今回の決定案件は、山火事からの回復、共同施業団地化による路網整備と循環型森林施業の構築、森林サービス産業による森林経営モデルの構築、スマート林業を活用したマツ林の保全と活用モデルなど、地域が抱える課題を解決していくテーマとなっている。いずれも、国内の民有林の公益性を発揮させることを目指した活動となっている。
 16件の応募の中から採択された6案件の実施事業名と助成対象先は、発表順で次の通りとなっている。
 ▽南陽市秋葉山山火事からの超回復プロジェクト=米沢地方森林組合(山形県)
 ▽共同施業団地化による路網整備と循環型森林施業の構築(3年間事業)=出羽庄内森林組合(山形県)
 ▽公図未整備地区における荒廃民有林「東中千本スギ」再生事業=ぬながわ森林組合(新潟県)
 ▽「提案型集約化施業を軸とした森林サービス産業」による森林経営のモデル構築事業=南都留森林組合(山梨県)
 ▽次世代の吉野林業を新たに構築する―ウィッセン集材機の活用―=一般社団法人大和森林管理協会(奈良県)
 ▽慶良間諸島のリュウキュウマツ保全・活用を目指す~スマート林業を活用したマツ林の保全と活用モデル事業~(2年間事業)=沖縄県森林組合連合会(沖縄県)
 このうち、奈良県の大和森林管理協会の取り組みでは、奈良県庁が導入したスイスのウィッセン集材機を活用して、吉野林業に適した架線集材法を導入するとともに、担い手の育成、地域への普及を通じて新たな吉野林業の構築を目指す。
 また、沖縄県森林組合連合会が2年間の事業として取り組む「スマート林業を活用したマツ林の保全と活用モデル事業」では、ニーズの高いリュウキュウマツについて、離島から伐採・搬出・販売するスキームの確立を図るとともに、マツ林の保全と活用とを両立させるモデルの構築を目指す。
 山形県の出羽庄内森林組合が進める3年間事業では、市や推進機構が管理する山林を共同施業団地化することで、より効率的な路網配置の計画を作成し、大型トラックが通行可能な林業専用道(規格相当)を整備、地域全体の搬出間伐などの促進を図っていく。
 また、農林中金は併せて2025年度の同基金募集要項をまとめ、4月1日から6月30日までを実施期間として応募を開始する。来年の2月頃に審査結果の発表が行われる。
 応募は、助成金交付申請書を全国森林組合連合会に請求し、必要事項を記載の上、同連合会に提出する。
 問い合わせは、全国森林組合連合会・組織部林政課(TEL03・6700・4735)もしくは農中信託銀行(株)営業推進部(TEL03・5281・1420)まで。

 
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  大型化・スマート化が進展/滋賀・京都特集  
     
   滋賀県の農機市場は大規模農家や営農組合がそれぞれで合併する動きがあり、農機の大型化、後付けの自動操舵装置、ドローンといった機械の荷動きが活発となっている。京都府は北部の京丹後市を中心に大規模農家による営農が進む一方、京都市の以南では1町未満の農家も点在する。24年度は米価高騰に農家の投資マインドも高まりつつあったが、これも「一握りの大規模農家にとっては」という声が多く、全体的な底上げ感がない。このような背景から、農機市場における各社の営業活動も難しい局面にある。関係各社を取材した。
 
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  滋賀各社の対応:大規模そうにアピール/滋賀・京都特集  
     
   (株)北陸近畿クボタ(久保力社長)は、2024年1~12月の製品販売状況について、乾燥機、籾すり機、色彩選別機といった稲作関連機器の売上げが伸長した。24年の米価高騰に伴い、個人農家が消費者に米を直接販売するケースも増え、米の品質をより重視するようになった。そのため前述の機器のなかでも色彩選別機の荷動きが際立った。
 トラクタ、コンバイン、田植機については23年度に比べてそれぞれ台数ベースで小型が微減、一方、大規模担い手向けの大型の荷動きが活発化し、金額ベースでは増となった。滋賀営業部の上野文也部長は「地域にもよるが、今後、大きな営農組合も大規模担い手に作業を委託する事例が増えると思う。このような担い手にしっかりとアプローチしたい」と力を込める。現在、トラクタは60馬力、田植機は8条植え、コンバインは4、6条刈といったクラスが県管内の主流となっている。
 大規模担い手が農機の投資に当たり注視するのが補助金だ。補助金関連の情報をいかに早く担い手に提供するか、そこが営業の要となる。他県の営業部と同じく、滋賀営業部も本社のソリューション推進部と連携して最新の情報を入手し、担い手との迅速な情報共有を図っている。
 また、24年にはRTK基地局を安曇川、湖北、湖東、湖南、甲賀と5つの営業所に開設。これにより導入が進むGS機(直進アシスト機能搭載)、アグリロボ、ドローンの精密作業を実現している。
 滋賀第一ブロック担当の黒丸弘幸部長は「これから基地局開設の効果が出ると思う。正確な位置を保った散布作業が自動操舵で可能なため、今はドローンの契約が進んでいる」と手応えを話す。滋賀第二ブロック担当の山本由朗部長は「基地局に絡めて、トラクタはGS仕様の新製品を含めた『REXIA(レクシア・60~105馬力)』もしっかり提案したい」と話す。
 今年はトラクタ「SL600(60馬力)」及び田植機「NW80S―PF(8条植え)」に後付けの自動操舵装置を付け、滋賀県のスペシャル機として各営業所で実演していく。また、今年で8年目となる三位一体活動(クボタ、クボタアグリサービス、北陸近畿クボタとの連携)を通じ、より一層のスマート農機の推進に注力していく。
 ヤンマーアグリジャパン(株)中部近畿支社(山崎有支社長)の滋賀管内は、農機の販売について23年4~9月(上期)までは苦戦を強いられた。しかし同年8月頃、早場米の地域から「米の買取価格が上がるのでは」という風聞も手伝い、特に大規模農家の購買意欲は高まりつつあった。この流れで10月から農機の販売状況は好転の動きをみせ、12月には落ち着いた。
 滋賀県を統括する近畿営業部の宮本敏一部長は「米価の上昇がいかに農機の投資意欲に火をつけるかがわかる。しかし、米の値段は上がれど、農機の投資に至らない農家の方がいらっしゃるのも事実」と厳しい現状を話す。
 このような状況のもと、24年4~12月における主要3機種の荷動きは計画には至らなかった。一方、トラクタは25年3月までの通期でみると、24年並みに盛り返すと見込む。トラクタは50、60馬力、田植機は6、8条植え、コンバインは4条刈以上といったところが県内の主流となっている。
 これからは3月1日に発売したセル搭載のラジコン草刈機「YW500RC'AE」の拡販にも注力する。23年に発売の「YW500RC」も好調な荷動きをみせるなか、セル搭載の新製品は送信機からエンジンを始動でき、まさに誰もが操作しやすい草刈機であり、注目を集めている。宮本部長は「お客様からも評価が良い」と力を込める。また圃場を選ばないと好評のディスクロータリー「YDP802(適応馬力:50~120)」の実演をWebで受け付けており、これの拡販にも注力している。
 イベントは2月14~15日に湖東(東近江市)、21~22日に湖西(大津市)と湖南(守山市)の3支店にて展示会を開催。続けて3月7~8日には湖北(長浜市)と長浜(同)支店にて展示会を開催した。展示会では4月からの製品価格改定の告知も含めて、地域に適したトラクタ「YTシリーズ」及び田植機を軸に、ロータリー、あぜ塗り機、代かき機、播種機といった春商品の提案を果敢に行った。
 (株)ISEKI Japan 関西中部カンパニー(南孝明社長)では昨年、県管内で小・中規模の著しい離農が進むなか、米価高騰という吉報もこれら農家には響かず、厳しい年となった。
 米価高騰の前から各農機メーカーの製品や生産資材の高騰が続いたこともあり、「米価が上がったところで…」という声が多い。このような状況のもと、24年1~12月の販売については、23年の同時期に比べてトラクタが前年並み、田植機とコンバインは減となった(台数ベース)。
 一方、滋賀県発の「みずかがみ」や「きらみずき」といった品種の刈り取り時期が今や猛暑の8月中旬と前倒しになるなか、キャビン付きのコンバインが展示会で例年の5倍売れる動きもあった。また、田植機「さなえPRJ8(8条植え)」が右肩上がりで好調な売れ行きをみせている。
 コンバインは廉価なHFRシリーズの4042(4条刈/42・1馬力)と4050(4条刈/50・3馬力)が好評を博しており、引き続き推進していく。滋賀営業部の養覚敏哉部長は「これらコンバインには立体のエンブレムといった贅沢品は付いてません。しかしシンプルかつコンパクトで基本装備が充実している。中規模の営農組合といった層に価格面でのニーズに合致しているのでは」と期待する。
 大規模担い手への対応については、新たに設置した同社の大規模企画室にて、改めて「大規模農家とは」を定義して、これに当てはまる農家に狙いうちで提案活動を行う。また、要望の多いトラクタ、コンバイン、田植機の中古機が市場に出回らず、販売が難しいなか、この点は他県の営業所と情報共有をしながら対応していく構えだ。
 イベントは2月14日に「アグリジャパンフェスタin滋賀」を彦根市内で、3月7~8日には「春の大展示会」を同社の竜王センター(滋賀県蒲生郡)にて開催。トラクタ「BFシリーズ」やフルモデルチェンジした「アイガモロボ IGAM2」、後付自動操舵装置「CHCNAV」、「ラジコンスパイダーモア」などをPRした。
 今後の動きについて「新設の大規模企画室を通じてメーカーとしての存在感をいかにアピールできるか。ここが肝となる。引き続き省力化と高効率につながる提案を地道に行いたい」と養覚部長は力を込める。
 滋賀三菱農機販売(株)(福永昌由社長)は、24年度(1~12月)の販売状況について、23年度に比べてトラクタ及びコンバインは微減、田植機は増となった(金額ベース)。一方、乗用の管理機など防除機が192%、自走式草刈機やラジコン草刈機など、草刈り関連機械が155%と、それぞれ金額ベースで売上げが伸長した。
 昨年は米価高騰の影響もあり、県管内の顧客の農機投資マインドも上がった。これを受け、同社と滋賀県三菱農機会が毎年10月に開催する恒例イベント「滋賀ダイヤモンドフェ2024」では例年以上の賑わいをみせ、イベントの売上げは23年を上回った。一方、水稲のほか大豆も生産する大規模農家にとっては、10~12月にかけて収穫する白大豆が凶作となり、米価高騰を手放しで喜べない状況にもなった。
 主要3機種における今年度の販売の見通しについて福永社長は「24年と比較して少し厳しくなりそう。弊社管内では農地集積の動きが止まったように思う。しかし、離農がどんどん進む状況のもと、大規模農家や集落営農の合併が再び進むかもしれない」と話す。
 これまで点在していた農家(顧客)が大規模農家に吸収されることで、補助事業に合致した農機や省力化に直結する農機の提案、俊敏なアフターサービスがこれまで以上に要求されるようになる。福永社長は「このような提案とサービスをより強化して活動していく」と力を込める。
 具体的には、業界最高速の植え付けスピードを誇る田植機「XPS(クロスピーエス)シリーズ(6、8条植え)」や、耕うん作業を高速で行う高効率作業機のディスクハロー「KUSANAGI」など、今注目を集めている三菱マヒンドラ製品を地道に実演し、拡販を図る。
 また、小規模農家にはハウス内や果樹園でも使える新製品のトラクタ「X(クロス)Sシリーズ(18、20、23、25馬力)」をPRする。今後は、三菱マヒンドラ農機が上市する予定のトラクタ「XSシリーズ」の追加仕様、第2弾の「KUSANAGI」の拡販にも注力する。「トラクタはフルクロ仕様も作業機と合わせてしっかりと推進していきたい」と福永社長は意気込む。

 
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  京都各社の対応:訪問と実演に注力/滋賀・京都特集  
     
   ヤンマーアグリジャパン(株)中部近畿支社(山崎有支社長)は京都管内の動きについて、主要3機種の荷動きは滋賀県と同じような状況で推移した。しかし「滋賀よりも厳しい状況」と宮本部長は話す。今後、全体の約60%以上を占める兼業農家の農地(水稲)は、北部を中心に大規模化に向けて集積がますます進むのではないかと予測する。
 一方、府内ではネギを中心とした畑作を営む担い手や新規就農者の動きが活発化しており、この層にも焦点を当て、ヤンマー製品のPRを図っている。具体的には全自動ねぎ移植機「PW10'N」、汎用ねぎ平床移植機「PH20A'NHD」、ねぎ収穫機「HL10」といった製品である。
 特に1条植えの「PW10'N」は7枚の予備苗を搭載でき、作業者が操縦せずとも自動で植え付け作業を行う。同機は自動で水平制御するため、植付姿勢を一定に保つ。また、株間無段階調節ハンドルにより、広範囲に株間選択でき、傾斜地での株間調節も簡単にできる。同機の各操作レバーは手元に集中して配置されているため、操作が非常に楽というのも特徴。
 2020年度に農業食料工学会の開発賞を受賞した1条掘りの「HL10」は、白ネギの収穫作業を大幅に軽労化する。白ネギの収穫は、(1)うね崩し(2)掘り取り(3)搬送(4)土落とし(5)収束・結束と5つの工程がある。同機はこれを1台で行い、機体水平調節(手動UFO)にて隣接掘りを可能にした。また、工具不要でゲージ輪の跳ね上げと作業台の横置きができ、作業時に比べ全長を820ミリ短くして収納できる。
 宮本部長は「顧客訪問と実演を通じて、米関連製品及びこれら野菜作関連製品もしっかり提案・拡販していきたい」と力を込める。
 (株)ISEKI Japan関西中部カンパニーの京都営業部(小西正幸部長)は、24年1~12月の販売について、23年の省エネ関連の補助事業に絡み、色彩選別機や乾燥機、籾すり機といった機械の荷動きが24年の2月頃まで非常に活発となった。
 2月以降はこの反動を受けて販売状況は厳しくなり、23年度(1~12月)に比べてトラクタは横ばい、田植機及びコンバインは微減となった(台数ベース)。
 小西部長は「前述の補助金は近年まれにみる高額のもので、しかも申請した書類はほぼ受理された。この影響から新たな補助金を渇望する農家の方が多くなった。それほど補助金は重要な役割を果たしている」と話す。
 京都府管内ではトラクタは25~35馬力、田植機は4条植え(兼業)、5条もしくは6条植え(大規模)、コンバインは3条刈といったクラスが主流となっている。これらのクラスを視野に、これからはトラクタと作業機(あぜ塗り機やディスクハローなど)の実演に注力していく。また、後付け自動操舵装置「CHCNAV」が好評のため拡販に努める。
 今年度は府北部の京丹後市に点在する大規模農家に焦点を当て営業活動を続ける。これに伴い、農業や農機の知識が豊富な大規模担い手に対応するべく、引き続き若手社員に技術研修を行う。また、府南部に多い小中規模農家には個別実演を行い、訪問活動を続けながら井関商品をPRする。
 小西部長は「トラクタはBFシリーズやRTS5シリーズを実演機とし、これにCHCNAVや作業機を取り付けて地域に合った提案をしていく。イベントは3月1~2日に丹後営業所で開催。月には大規模農家に向けた『ジャパンアグリフェスタ』を同所で開催し、トラクタに特化してPRを図る」と力を込める。

 
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  JA全農しが:顧客満足度向上へ/滋賀・京都特集  
     
   JA全農しが生産資材部農業機械課(辻忠明課長)は2024年9月までの上期について、農機メーカーの製品価格の改定なども影響し、農機の供給に苦戦した。県の作況指数(24年産)は平年並みの100であったが、「収穫量はそれほど多くない」という組合員の声もあったようだ。
 そんな中、24年9月以降に米の価格が上昇。これが組合員の農機投資に対する意欲を高め、これまで農機の購入を留まらざるを得なかった状況を打破し「この機を逃さず更新しよう」という消費者心理から購入が進んだ。そのため下期前半から荷動きは活発化した。辻課長は「米価と作柄が購買意欲に与える影響は非常に大きい」と話す。
 24年4~12月の荷動きでみると、前年同時期に比べてトラクタは好調に推移し、126%と増となった(台数ベース)。田植機は農機メーカーによる24年度の製品価格改定を見込んで23年度に購入が相次ぎ微減(同)、コンバインは172%と大きく伸長した(同)。
 昨年6月に発売を開始した「共同購入コンバイン(4条刈・48馬力)」は、県内の大規模農家にとって小さいクラスである。一方、辻課長は「推進面において、同コンバインが大規模農家との話題の契機となり、そこから4条以上の大型コンバインを提案するなど、商談を進めるうえでのきっかけにもなった」と話す。近年は汎用コンバインも売上げを牽引している。
 推進面では生産者の要望をつかむため、トラクタ、コンバイン、田植機の購入者に「満足度調査」と題したアンケートを24年4月から実施。これにより生産者の本音を探り、要望にしっかりと応える推進活動に注力している。また、水稲以外の品目に関連する作業機の提案や肥料、農薬に関する勉強会も行っている。
 4月からはトラクタをはじめ共同購入コンバインの推進、そして1年間に3回開催する恒例の展示会を通じて、「生産コスト抑制」の提案及び「顧客満足度向上」につながる活動を行う構えだ。

 
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  京都商組:購買事業の目標達成/滋賀・京都特集  
     
   京都府農業機械商業協同組合(外賀裕理事長・20組合員)は、2024年2月19日に第78回通常総会をリーガロイヤルホテル京都にて開催。令和6年度(令和6年1~12月)の事業報告書及び決算関係書類承認の件、令和7年度の事業計画及び収支予算決定の件など全7議案を審議し、いずれも承認、可決された。
 24年度の共同購買事業では、恒例の展示会をガレリアかめおか(京都府亀岡市)で2、7月に開催。各月とも参加メーカーを含む約100人が同会に訪れ、賑わいをみせた。
 購買事業は目標額こそ達成したが、23年度比では減となり、「原料や生産資材の値上がりの影響、農家の減少もあり、厳しい状況が続いている」と購買部長の伊尾政次氏は話す。
 研修事業では、JA全農京都の丹波農機センターにて、農業機械整備技能検定の講習会を24年1月に開催。同月27日に実技試験、翌日に学科試験を行い、その結果、1級技能士は4名(合格率57%)、2級技能士は2名(同22%)が合格した。
 今後について「様々な要因が絡んで厳しさの増す組織運営を考えると、数十年前と比べて現在の商組の存在意義を改めて考える。今後は商組としてこれまで培ってきたことを活かし、商組の存在をこれまで通り維持することこそが重要になると思う」と伊尾部長は話す。

 
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  変わる水田政策に技術で対応/田植機・育苗関連機器特集  
     
   米不足、米価高騰が連日報道されるなど、米への関心が高まっている中、米、稲作をめぐる農政が変わろうとしている。農林水産省は、令和9年度からの水田政策の見直しの方向を打ち出し、今後の水田転作のあり方を検討していくこととした。米価高騰、米の生産・流通体制、政府備蓄米の放出、気候変動による作柄の不安定化など、多くの課題が明らかになる中、米に関する動向が注目されている。米に関連する話題を集めた。
 
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  機会除草で有機農法拡大/田植機・育苗関連機器特集  
     
   農研機構農業機械研究部門は7日、埼玉県さいたま市の農機研で開いた令和6年度農業機械技術クラスター総会で、両正条田植機を公開・展示した。
 両正条田植機と直交機械除草技術は、水稲有機栽培を対象としたもの。田植機の作業方向と直交する方向にも苗を整列して移植し、株間にも効果的な除草を行う直交機械除草技術を提案するとともに、この除草方法を可能とするポット苗両正条田植機をみのる産業(株)と共同開発(開発目標:植付位置精度±3センチ以内)した。さらに、田植機車体が共通であるマット苗両正条田植機の試作機を製作した。
 農林水産省が策定したみどりの食料システム戦略では2050年までに有機農の取り組み面積を100万ヘクタールに拡大する目標が掲げられている。現状の有機農業取組面積が2・5万ヘクタール程度であることから、大幅な拡大が必要である。面積拡大における課題の1つが雑草防除であり、栽培面積が大きな水稲において効率的な雑草防除技術を確立することが重要である。
 雑草防除技術としては、主に機械除草が使用されている。しかし、除草ロータが効果的に作用する条間に対して、稲株への損傷回避のために補助的なレーキ等を使わざるを得ない株間では除草効果が低いことが課題となっている。雑草量の多い圃場では取り残した雑草を手取りする必要があり、面積拡大の阻害要因となっている。
 そこで、株間でも効果的な除草が可能な直交機械除草体系を提案するとともに、これを実現する両正条田植機の開発を行っている。両正条田植機は田植機の作業方向と直交する方向にも苗を整列させ、圃場全体で基盤目状に苗を移植できる田植機である。これにより、機械除草機が田植機の作業方向だけでなく、その直交方向にも作業可能となり、株間の除草効果向上が期待できる。両正条田植機の開発では機械除草機の除草ロータと苗の接触を避けるため、植付位置精度±3センチ以内を開発目標とした。
 クラスター事業において、みのる産業(株)と共同でポット苗両正条田植機の開発を行った。試作ベース機のポット苗田植機(RXG800D)は、株間を変更できるHST(油圧無段変速機構)を具備している。RTK―GNSS受信機から取得する測位情報を基に、植付爪が目標角度となるようにHSTの変速比を調整し、意図した位置に苗を移植する両正条制御技術を開発し、受信機と共に試作機に搭載した。附属農場で行った植付位置精度試験では目標値を達成することを確認した。
 また、ポット苗両正条田植機の開発と平行して、両正条田植機の直交機械除草技術の実証用に、ポット苗田植機と車体が共通であるクボタ社製マット苗田植機をベースに、マット苗正条田植機の試作機を製作した。マット苗試作機でも目標とする植付位置精度に達しており、全国各地で実施している直交機械除草技術の実証試験で使用されている。

 
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  農研機構などがシンポジウム、施肥支援アプリ開発/田植機・育苗関連機器特集  
     
   農研機構九州沖縄農業研究センターは2月26日、福岡県のレソラホール及びWebにて、戦略的スマート農業技術等の開発・改良/輸出拡大のための新技術開発「省力除草、安定生産の水田有機栽培体系の実証と支援アプリケーション開発」成果報告会を開催した。戦略的スマ農プロジェクトSA2―106R「水田有機農業」コンソーシアムとの共催。令和4~6年度に実施したプロジェクトの成果として、有機米・有機大豆の輸出に関する需給動向、除草技術や施肥支援アプリ、暑さや病害虫に強い水稲品種、開発技術の現地実証試験の結果などが紹介された。開会挨拶した同センターの澁谷美紀所長は、戦略的スマ農プロで水田有機農業の課題を農研機構が中心となり推進してきた経緯を示し、今回はこれらの成果報告を行うとし、水田有機農業の生産性向上に資することを期待した。
 次いで、同プロジェクトの概要、有機米・有機大豆の輸出に関する需給動向、栽培技術、病害虫防除技術、現地実証試験について講演及び質疑が行われた。うち栽培技術では、(1)両正条植え水稲ほ場における高能率除草技術(2)有効積算気温に基づく機械除草時期の提示(3)有機水稲栽培における有機質資材肥効見える化アプリを用いた施肥量の適正化(4)排水性向上や土づくりのための緑肥栽培技術―が報告された。
 (1)は農研機構農業機械研究部門無人化農作業研究領域革新的作業機構開発グループ上級研究員・重松健太氏が説明。水稲有機栽培の機械除草にて、株間除草効果を上げるべく両正条制御技術を搭載した田植機を試作。自動直進・自動旋回・両正条田植え(枕地含む)の機能を搭載し、実証を行ったところ、植付位置精度は誤差3センチ以内を達成、直交除草や横方向の除草の早期実施により除草効果が向上し、除草率90%のプロジェクト目標の達成を確認できた。
 一方、(3)は農研機構九州沖縄農業研究センター暖地畜産研究領域飼料生産グループグループ長補佐・古賀伸久氏が講演。農研機構が開発・公開した有機質資材の肥効見える化アプリについて紹介した。これは畑・水田別に、家畜糞堆肥等の有機質資材を施用した際の、有機質資材由来の肥料成分(窒素、リン酸、カリ)がどの程度供給されるのか算出し、減肥が可能な肥料成分量を予測できるもので、農研機構「日本土壌インベントリー」サイトで無料公開している。同アプリを有機水稲栽培試験で実証したところ、慣行の有機栽培区で収量が低かったところほど、アプリ有機実証にて増収する傾向がみられたという。同アプリを活用して施肥設計を行い、肥料コスト低減を図ることができると述べ、安価な家畜糞堆肥と油かす・魚かすなど窒素肥効の高い有機肥料を組み合わせることを提言した。

 
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  直進田植機が有効~スマート農業情報交換会から/田植機・育苗関連機器特集  
     
   スマート農業推進協議会及び農研機構九州沖縄農業研究センターは1月16日、佐賀県神埼市の(有)アグリベースにいやまなどでスマート農業推進協議会第5回情報交換会及び暖地二毛作水田における周年スマート化実地勉強会を開催した(一部Web併催)。同センター及び同社などが「アグリベースにいやまスマート農業実証コンソーシアム」として取り組んだ令和元年度スマート農業実証プロジェクトの成果などを報告したほか、スマート農機の実演も行われた。久留米シティプラザで行われた情報交換会では、農研機構によるスマート農業推進協議会及びスマート農業施設供用プロジェクトの説明、農林水産省によるスマート農業推進施策の説明が行われたほか、▽スマート農業の経済性評価とスマート農業導入支援サービスの推進(ファーム・マネジメント・サポート代表・梅本雅氏)▽スタートアップ都市福岡市から生まれる新しいスマート農業技術のご紹介(福岡市農林水産局政策企画課・高林悠氏、Carbon Xtract(株)、(株)アイナックシステム、SACMOTs)▽ファームチャットを活用した農業データ連携の実践について~農業版生成AIの有効活用~((株)ファーム・アライアンス・マネジメント・小林和敬氏)―の3講演が行われた。ここでは、梅本氏の講演概要の一部をみる。梅本氏はスマート農業の経済性評価と、導入支援サービスの推進について紹介した。前者は令和元年度からこれまで全国217地区で実証を行っているスマート農業実証プロジェクトの成果を取りまとめて報告。スマート農機による作業別の省力効果については、ロボットトラクタの協調作業による省力化(労働時間削減)は30%前後になり、直進アシスト田植機は同11%程度と、自動操舵機能でも一定の省力化を実現した。また、自動水管理システムは約7割減と大幅な削減率をみせた。これを稲作経営全体でみると、スマート農業技術導入による稲作労働時間と稲作収量の変化をみたとき、各実証地区における稲作労働時間は平均9%削減、水稲単収は平均9%増加(各農場平均)となった。さらに実証地区の約3割において、10%以上の労働時間の削減効果が得られたという。また、単収増加は、センシングデータ等に基づく可変施肥や、それに加えて品種構成・施肥設計を改善した地区において顕著に現れたとした。また、スマート実証事業参画前後における法人経営、個人経営の利益・所得の変化をみると、実証経営の実証前(平成30年)から実証後(令和3年)にかけての経営収支の変化では、法人経営、個人経営とも収入、利益、所得は増加している。導入事例先から寄せられたスマート農業導入の効果についてみると、(1)圃場別収量データの活用等により水稲単収と収入増加を達成(2)スマート農機の導入と合わせた栽培改善・圃場の面的集約により、労働力を増加させることなく規模拡大・収入増加を実現―などがあげられた。このうち、(1)について詳細をみると、同経営では2000年以降規模拡大が進み、圃場枚数も増える中、100ヘクタールを超える頃から水稲単収が低下し、大きな問題になっていた。そこでスマート農業実証事業に参画して省力化を進めるとともに、収量コンバインを導入して圃場別収量データを取得。それらのデータと栽培支援システムを活用し、圃場別に品種や作型を再配置し、可変施肥により低収圃場の増肥やメッシュマップに基づく可変施肥を実施した。また、大区画圃場では作業負担が大きいため追肥は省略されてきたが、ドローンを用いて、生育状況に応じた追肥に変更した。これらの取り組みの結果、水稲収量は再び増加。令和2年には、規模拡大と合わせ、水稲の総生産量は33%増大を達成した。また、(2)の事例では平成30年に県の農地集積事業に参画。農地流動化が進む状況にあったこともあり、経営面積は30年の32ヘクタールから令和3年には106ヘクタールまで拡大した。このような状況のもとでスマート農業実証事業に参加し、ロボットトラクタ、自動運転田植機、直線キープ田植機、営農支援システム等を活用し、省力化と、熟練していない従業員の作業能率向上を図ることを計画。規模拡大が進む中で、労働力数は4人から5人へと1名の増加のみで約70ヘクタールの規模拡大に対応したところ、規模拡大に伴い売上高は大きく増加した。水稲の収量は、コシヒカリは低下しているが、あきたこまちは、面積拡大にもかかわらず増加した。さらにスマート農機の導入に加え、水稲湛水直播栽培の面積増加、農地の集約化、自動運転田植機等の自動操舵機能を活用した若い従業員の技能の向上、品種・作型配置の見直しなど栽培面、圃場条件面での改善も併せて実施できた。
 
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